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「データ中心のセキュリティソリューションが必要だ」-英Clearswift CEO


 Webとメールのセキュリティを提供しているセキュリティベンダー、英Clearswiftは2008年7月に、新しいCEOとしてリチャード・ターナー氏を迎え入れた。米RSA SecurityでAPAC担当やEMEA担当の副社長などを歴任し、10年以上セキュリティ業界でビジネスに携わってきたターナーCEOに、Clearswiftの特徴や強みなどをうかがった。


英ClearswiftのCEO、リチャード・ターナー氏
―まず、Clearswiftに入社した理由を教えていただけますか?

ターナーCEO
 10年前から市場トレンドを見いだして、セキュリティに関する問題を解決しようとしていましたし、ほかの情報セキュリティ企業とは違った、さまざまな方向からセキュリティに対応してきた点を評価しました。


―具体的には、どういった点でしょうか。

ターナーCEO
 セキュリティ業界ではこれまで、顧客企業にデータをロックしろ、情報の周りに壁を作れ、といってきましたが、これは情報ではなくインフラを守ってきただけではないでしょうか。翻って当社では、データそのものに焦点をあて、情報を共有しながら保護することに注力しています。データをロックしてしまえば、共有ができなくなる。それがさまざまなパートナーとのコラボレーションを止め、最終的には企業の成長を止めてしまいます。

 別の側面では、ほかの企業は、インバウンドのみに注目していた中で、インバウンドとアウトバウンドの脅威双方に注目してビジネスを行ってきました。過去の情報関係の事件を見ると、ほとんどといっていい確率で、組織の中に問題があるからです。そしてもう1つ、セキュリティは一回整備を終えてそこで終わり、というものではありませんから、先を見据えたプロアクティブで、かつ動的なものであるべきです。

 繰り返しますが、よいセキュリティとはコンテンツ中心であって、インフラ中心のものではありません。その企業に力を与えるものであるべきで、制約するものであってはいけないのです。

 今、セキュリティソリューションは普及していますが、企業はまだ情報の流出を止められていません。こうしたことからも、10年前に当社が先取りして予測した事柄が正しかったことを、おわかりいただけるのではないでしょうか。


主力製品の1つである「MIMEsweeper Web Appliance」
―Clearswiftのこうした考え方は、実際の製品にはどう反映されているのでしょうか。

ターナーCEO
 Webやメールなどの重要なインフラがありますが、次世代の人が事業環境の中に入っていくと、SNS、ブログ、IM(インスタントメッセージング)などのWeb 2.0コンテンツも重要になってきます。こうした新しい環境では新しいリスクも生まれているのですが、コンテンツを止めてしまうのは効果的なやり方とはいえません。必要なのは、情報の価値を理解すること。情報の内容を見て、正しい使い方をしているかどうかを判断しなくてはいけません。

 当社のテクノロジーでは、Webとメールを保護する技術を融合し、ディープコンテンツインスペクション技術を用いて、Web 2.0も含めたアウトバウンドとインバウンド双方のセキュリティを提供できます。管理も、1つのポリシーエンジンのユーザーインターフェイスを使って、集約して行える。また例えば、メールセキュリティ製品のEmail Applianceでは、ウイルス対策、迷惑メール(スパム)対策、ディープコンテンツインスペクションなどの技術を1つのデバイスへ統合していますから、異なった技術が必要なお客さまにも、1つのデバイスで提供できるのです。このように、管理関係の負担も少なく、TCOを削減できるパッケージを提供しています。


―製品は、どのようなユーザーに受け入れられていますか?

ターナーCEO
 当社は、非常に幅広い顧客を持っています。ふつう、セキュリティを必要としているのは大企業だけだと思われがちですが、組織が小さくでも、ビジネスデータに価値があるという点では同じですから、重要なのはデータだということが理解されはじめていまして、大企業から中小企業、官公庁、金融、テレコム、製造業など、さまざまな分野にひろく採用されています。

 現在ではコンプライアンスが重要視されているので、企業にとってのリスクはますます大きくなっていますが、データとセキュリティの重要性はますます大きくなっているのです。


―今後の製品展開で予定していることはありますか?

ターナーCEO
 つい先ごろ、DLP製品の「CONTENTsafe」を発表しました。12月に提供を開始し、日本では来年発売する予定です。市場にある類似製品では、会社、つまりIT部門が流出させてはいけないデータを分類する必要があるのですが、IT部門に負担がかかりますし、何より、彼らでは何が機密情報なのかを正確に判断できない可能性があります。CONTENTsafeでは、ユーザー部門がIT部門に頼ることなく、自分で機密情報を分類できます。これが特徴です。


―ありがとうございました。



URL
  クリアスウィフト株式会社
  http://www.clearswift.co.jp/

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( 石井 一志 )
2008/10/31 15:01

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