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富士通、4億5000万ユーロで富士通シーメンスを完全子会社化

IAサーバーの開発拠点を一元化

代表取締役社長の野副州旦氏

富士通シーメンスの概要
 富士通株式会社と独Siemens AGは11月4日、Siemensが保有するFujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.(以下、富士通シーメンス)の全株式を富士通が取得することで合意したと発表した。富士通はSiemens保有の株式を約4億5000万ユーロ(約562億5000万円)で取得する。株式の移管は、関係機関の承認を経て、2009年4月1日に有効となる予定。

 富士通シーメンスは、富士通とメインフレームの供給関係にあったSiemensと、1999年に50対50の割合で設立した合弁会社。ヨーロッパ、中東、アフリカ地域において、サーバー、PC、ストレージなどの製品のほか、インフラサービスなどを提供している。2007年度の売上高は66億1400万ユーロ、営業利益は7200万ユーロ。従業員数は約1万人。

 今回の完全子会社化について、同社代表取締役社長の野副州旦氏は、「もともと設立から10年を迎えた時点で事業をどう継続するかの判断を行うことを合意していた。来年がその10年目になるにあたり、Siemensが“エネルギー”“インダストリー”“ヘルスケア”の3分野に事業集中する戦略をとり、富士通がグローバル化の戦略をとったことで、今回の判断となった。金額については、両社にとってよい金額ということで合意した」と説明。

 富士通シーメンスを完全子会社化するメリットについては、「富士通のプロダクトをグローバルに展開できるのが最大のメリット。製品展開にあたって、これまで半年から1年の遅れが起きていたのは事実。今後タイムツーマーケットの製品展開が可能になるだろう。また、製品ラインアップの統一により、重複を解消し競争力のある商品を提供できる」と述べた。

 なお、今回の完全子会社化にあたり、富士通ではIAサーバーの開発拠点を富士通シーメンスに一元化することも発表。「製品開発は富士通シーメンスで行い、BTOによりローカル化を実現する」と、各地域のニーズに対してはBTOなどで対応する考えを示した。

 Siemensブランドが使えなくなるデメリットについては、「富士通シーメンスの設立時から十分なブランドは築いていると考えている。とはいえ、Siemensブランドがないままで、どう高付加価値サービスを提供するか、今後問われることになるだろう」とし、新しいパイプ作りの際に、イギリスにある富士通サービスと協力してサービス提供を行う考えなどを示した。

 野副氏は、「社長就任時、“フィールドイノベーション”“グローバルカンパニー”“地球環境貢献”の3つのテーマに取り組んでいくと述べたが、今回の富士通シーメンスの完全子会社化はグローバルカンパニーへの第一歩となるもの。これまで不十分だったサービスとプロダクトの両輪を海外で実現していきたい」と述べた。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  独Siemens AG
  http://w1.siemens.com/
  Fujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.
  http://www.fujitsu-siemens.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/11/4-2.html


( 福浦 一広 )
2008/11/04 18:15

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