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富士通と米Red Hat、ミッションクリティカル領域のLinuxサポートで協業

長期安定運用を望むユーザーの声に対応

【左】富士通、サーバシステム事業本部長の豊木則行氏、【右】Red Hat、Vice President, Global Business Developmentのガス・ロバートソン氏

富士通、サーバシステム事業本部長代理の泉水澄氏
 富士通株式会社と米Red Hatは11月18日、ミッションクリティカル領域のLinuxサポートサービスで協業すると発表した。富士通が培ったメインフレームシステムの保守サポートノウハウを基に、サポート期間の拡大などを図ったサポートサービスを両社共同で開発。富士通を通じ、同日より日本国内で販売を開始し、順次グローバルに展開していく。

 両社が提供を開始するのは、「SupportDesk Linux-拡張サポート(以下、拡張サポート)」と「SupportDesk Linux-長期サポート(以下、長期サポート)」の2種類。富士通の運用・保守支援サービス「SupportDesk」の1メニューとして提供される。特長は、ミッションクリティカル領域でLinuxを活用する際の、長期安定運用を望むユーザーの声に対応した点。具体的には、RHELの特定アップデートリリースに対する個別障害修正の提供期間を延長している。

 一般的にRHELの最新アップデートリリースは6カ月ごとに行われ、ここで障害修正と機能改善が実施される。問題がなければリリースごとに最新アップデートを適用していけばよいわけだが、ミッションクリティカル領域のシステムでは、新機能追加が非互換を招くなど、最新アップデートにより安定性を損なうリスクが大きい。そこで機能改善は検証を待って、取りあえず障害修正だけ確実に行いたいというのが、ユーザーの正直な声という。

 ところが通常のLinuxサポートでは、個別障害修正は最新アップデートリリースに対してのみ提供される。このため、継続的に障害修正を行っていくためには、6カ月ごとの機能化以前も含んだ最新アップデートを行わなければならない。

 「導入したシステムを更新せずに長期間利用したい、というミッションクリティカル領域のユーザーのニーズに応えるには、新しいサービスが必要だった」と富士通、サーバシステム事業本部長代理の泉水澄氏は語る。

  拡張サポートおよび長期サービスでは、こうした声に応え、特定のアップデートリリースに対するサポート期間を拡大。特定のバージョンに対して、数年にわたって、障害修正のサポートを提供するようにした。

 具体的に拡張サポートでは、RHEL 5.2/5.4/5.6(今後リリース予定も含む)に対し1.5~2年間、長期サポートでは、RHEL 5.3/5.7に対し5年間、障害修正のみを提供する。RHELの最新アップデートを慌てて適用せずとも障害修正が行えるため、「ユーザーはシステムの長期安定運用が可能になる」(同氏)。

 通常のLinuxサポートが、部門業務システムやWebなどの機能系システム向けならば、「拡張サポートが基幹業務システム向け、長期サポートは金融・通信業界などの社会システム向けとなる」(同氏)。

 価格は、拡張サポートが、PRIMERGYのローエンド構成時で36万円(税別)から。長期サポートが、PRIMEQUESTのローエンド構成時で300万円(税別)から。


拡張サポートの概要 長期サポートの概要 サポート体制

 新サポートサービスは今後、Red Hatによってグローバル展開される予定。まずは、長期安定運用のニーズが高い日本から、協業歴の長い富士通とともに、国内展開を図った形だ。富士通とRed Hatは2003年よりグローバル提携を開始し、同年12月には「共同開発推進室」をRed Hat本社内に開設。富士通の開発支援の下、RHEL 4やRHEL 5の提供が行われてきた。

 Red Hatで戦略的提携などを担当するVice President, Global Business Developmentのガス・ロバートソン氏は、「今回のサポートサービスは2年近く両社で検討した結果。深い関係にある富士通と一緒でなければ実現できなかった。OSSでは協業を通じてのイノベーションが重要だとよくいわれるが、その好例となるだろう。グローバル展開にあたっては現在、ほかのパートナーと相談中。今後もパートナー各社の協力を得て、経済性を考慮しながら、ミッションクリティカルのニーズを満たすための新しいアプローチを行っていく」と発言。

 今後のマーケティング戦略としては、今回のプログラムによりミッションクリティカル領域の厳しい要求にも耐えるサポートが実現したことを周知するほか、プログラムに対応したOEMパートナーのサーバー向けに「アドバンスド・ミッションクリティカル」ロゴを提供し、信頼感を熟成。さらにRed Hatと富士通をはじめとするパートナー各社が提供するサービスが業界内でも独自的であることを周知していくとした。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  米Red Hat
  http://www.redhat.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/11/18-2.html


( 川島 弘之 )
2008/11/18 15:06

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