ヴイエムウェア株式会社は11月18日、仮想化ソリューションイベント「VMware Virtualization Forum 2008」を開催した。基調講演には、米VMwareワールドワイドフィールドオペレーション担当上級副社長のカール・エッシェンバック氏および米VMwareワールドワイドマーケティング担当副社長のカーシック・ラウ氏が登壇。新コンセプトの「Virtual Datacenter OS」や「vCloud イニシアティブ」など、同社の新戦略が紹介された。
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米VMwareワールドワイドフィールドオペレーション担当上級副社長のカール・エッシェンバック氏
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本番導入したい仮想化ベンダーではマイクロソフトなどを抑えてトップに
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エッシェンバック氏はワールドワイドでの同社の動向を紹介。「VMwareの利用企業は全世界で12万社以上、40カ国で展開している。直近の2008年第3四半期の売上は、金融危機の影響を受けることなく対前年同期比で32%増の4億7200万ドルとなった」と、順調にビジネスが展開しているとした。
仮想化が大きく支持されている理由について、「企業のIT部門は予算・人員の削減が求められながらも、ITの効率化というプレッシャーそのものは増加している。ITのキャパシティとビジネスニーズの間で大きなギャップが生まれるが、これを埋めるのが仮想化。特にVMwareは、データセンターだけでなくデスクトップも含めてトータルで仮想化を支援できるのが選ばれている理由」と、単なる仮想化だけが支持されているのではなく、幅広く仮想化環境を構築できる点が支持を受けている大きな要因であると述べた。
日本国内でも同様で、「5000社以上の企業で採用していただいており、売上は毎年倍増するほどに市場が成長している。また、8月に公開した無償のVMware ESXiのダウンロード数も、この3カ月で1万以上と大きく注目を集めている」と、国内でも高い関心を集めていると紹介。「今回のイベント参加者にアンケートしてみると、仮想化導入の目的として、管理コストの削減、サーバー導入期間の短縮、サーバーリソース統合といったニーズが上位に上がっていた。また、どのベンダーの仮想化製品を本番環境で利用したいかという問いに対しては、VMwareが77.4%と他社を圧倒していた」と、日本国内での注目度も非常に高いと述べた。
同社が次に目指すのが、クラウドコンピューティングでの仮想化利用だ。「9月にデータセンターそのものを仮想化するVirtual Datacenter OSを発表した。あわせて、仮想化によるデータセンターのクラウド化を目指したvCloudイニシアティブも発表している。これらを利用することで、コンピューティング・ストレージ・ネットワークをすべて仮想化し、アプリケーション・サービスをそれらの上で実行できる。さらにクラウドサービスを提供するプロバイダのリソースを利用することで、企業内のサーバーリソースをサービスプロバイダの環境で動作させるなど、さらに柔軟な運用が可能になる」と紹介。エッシェンバック氏は、「こうしたサービスまで提供できるのはVMwareだけだ」と、他社との違いを強調した。
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米VMwareワールドワイドマーケティング担当副社長のカーシック・ラウ氏
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続いて登壇したラウ氏は、仮想化ソリューションの今後の方向性を紹介した。ラウ氏はまず前提条件として、「コンピュータだけを仮想化するだけでは不十分で、ストレージ・ネットワークのすべてを仮想化することから始まる」と、ハードウェアリソースのすべてを仮想化することが重要であると説明する。「ハードウェアリソースをすべて仮想化することで、個別のハードウェアに障害が起きても、サービスを中断することなく移行することが可能になる。また、リソースをプールして利用できるようになるため、一元管理やサービスレベルの管理も容易になる。動作しているアプリケーションの優先順位付けも可能だ」と、単純なサーバー仮想化にとどまらず、企業のデータセンター全体を仮想化することで得られるメリットを紹介した。
同社では障害対策に対応した製品も数多く提供しており、2009年にはサイト全体の障害対策を実現する「VMware Fault Tolerance」を投入する予定と発表した。「これは異なるサイト上に同じ仮想マシンを動作させることで、ハードウェア障害などが起こった際に、すべての仮想マシンのフェイルオーバーを実現するもの。ダウンタイムもデータ損失もなく、複雑なクラスタリングや専用ハードウェアも不要だ」と、仮想化環境を応用することで、耐障害性も高まると述べた。
また仮想化による自動化のメリットも紹介。「たとえばアプリケーションを開発する場合、従来ではハードウェアを用意するところから始めたが、仮想化であれば簡単に環境を用意できる。また、Lifecycle Managerといった製品を利用すると、開発・テスト・統合・ステージング・本番導入という段階を自動的に展開することも可能。そのほか、Site Recovery Managerによりデータセンター全体のフェイルオーバーを自動化することもできる」とした。
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VMware Viewによりいつでもどこでも自分のデスクトップにアクセス可能に
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クライアント向けの仮想化としては、VMware Viewを紹介。「ユーザーが望んでいるのは、いつでもどこでも自分のデスクトップにアクセスすること。これに対して管理者は一元化したいと考えている」と、企業のIT部門と利用者の間にギャップがあると説明。「VMware Viewは、デバイス中心のデスクトップから、ユーザーや情報を中心としたデスクトップを実現するもの。仮想化されたデスクトップをサーバー上で稼働させることで、オフィスにいるときはシンクライアントとして利用でき、外出するときは、仮想マシンそのものをクライアントPCに載せて利用することができる。ユーザーはいつでもどこでも同じデスクトップを利用できる。管理者にとっては、プロビジョニングやアップデートなどが容易に行え、ポリシー適用も可能になるのが特長。VMware Viewは2009年に製品化を予定しており、スマートフォンなど携帯端末からもアクセスできるようにするとしている。
■ URL
ヴイエムウェア株式会社
http://www.vmware.com/jp/
( 福浦 一広 )
2008/11/18 15:47
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