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「企業内のITコンシューマ化が進み、状況はより複雑に」-米SymantecヒューズCSO

Symantec Vision 2008 Tokyo基調講演

米Symantec CSO(Chief Strategy Officer)兼エグゼクティブバイスプレジデントのグレッグ・ヒューズ氏
 株式会社シマンテックは11月21日、Symantec Vision 2008 Tokyoを開催した。基調講演として米Symantec CSO(Chief Strategy Officer)兼エグゼクティブバイスプレジデントのグレッグ・ヒューズ氏が登壇。現状のトレンドおよびワールドワイドでの方針について説明を行った。

 最初に登壇したグレッグ・ヒューズ氏は、「情報中心」のインフラの重要性を説明。「世界中でユーザーと話をしていると、すべてに共通しているのは、大量に増える情報をどうやって管理するか、どうやったら効率的なビューを実現できるかに頭を悩ましていること。情報は2年ごとに倍増しているといわれ、今後はいかに情報中心のインフラを構築していけるかが重要になる」とした。

 ただし「それは簡単なことではない」と同氏。情報への重要度が増すとデータストレージなどの重要性も増していく。そしてさらに高度なセキュリティの問題が発生してしまう、というのだ。特にインフラのクラウド化が始まった今日、「機密性の高い情報が外部で管理されるケースも増えるだろう」とし、企業のリスクはますます上がっていくと指摘する。

 こうした中、今後のトレンドを同氏は次の4点にまとめる。

 1つ目は「攻撃のターゲットが情報へ移っていく」という点だ。これまで主にインフラを標的にしてきた攻撃の多くが、今後は情報をターゲットにするだろうというのだ。実際にカード情報やオンライン情報に対するインシデントを見ると、この問題はすでに顕在化している。

 攻撃件数の増加も由々しき問題だ。同氏によれば「指数関数的に増えており、2008年8月に発生した攻撃だけでも、2007年1年間の件数を超えている」という。このため「情報主導型の防御が重要。そのためにはまず情報を分類し、守るべきものは何かを把握しなくてはいけない」。

 2つ目が「バックアップストレージのディスクへの移行」。これにより「オペレーションコストを下げるとともに、バックアップ・リカバリのプロセス自体も短縮することが可能になる」と説明したのち、「すでにアーカイブ、バックアップ、DRの境界線はぼやけている」と付け加えた。

 3つ目が「ITガバナンス」。これに関しては「セキュリティ・情報管理・コンプライアンスと決めることは多いが、今後はこれらが自動化されることが求められる。そのためにITがますます重要になるだろう。ポリシーが全社的に統一されていることが肝心。各部門を通しての一貫性が求められるだろう」とした。


複雑性解消のためのソリューション群
 最後が「ITのコンシューマ化」。これは少しユニークな話で、「若いころからPCに触れた世代が増えるにつれ、今後自分のノートPCを会社に持ち込むというスタイルが増えるだろう」という。「こうした世代は、IT部門より自分の方が知識があると考える節がある。与えられるツールではなく、自分で選択したツールを隠れてでも業務に使う、という流れが起こるはずだ。すでにそういう環境を実現している企業もある」という。

 この話は「情報中心」や「ITガバナンス」とはベクトルが逆である。同氏は「そのため、エンドポイントセキュリティにも同じような意識の方向転換が必要になるだろう。状況は一層複雑になっていく」と語った。

 以上4点を挙げたあと、「当社は情報指向のニーズに応える製品を持っている。今後も自社の投資と買収を行い、幅と奥行きをもって、複雑性の排除に貢献したい」と発言。具体的には「情報がどこにあっても完全に防御できる仕組み、容易な管理、自動コントロールという価値を提供していく」とした。



URL
  株式会社シマンテック
  http://www.symantec.com/jp/

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( 川島 弘之 )
2008/11/21 17:29

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