ファイアウォールなどのセキュリティ製品を手がけるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(チェック・ポイント)は、NECとの提携を強化。NECから、同社のセキュリティソフトウェアをベースにした新アプライアンス「UNIVERGE UnifiedWall」が発売されることになった。この提携の意味と、今、日本市場において同社が重視している点は何なのか、イスラエルCheck Pointのグローバルフィールドオペレーション担当副社長、アムノン・バーレブ氏に聞いた。
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Check Pointのグローバルフィールドオペレーション担当副社長、アムノン・バーレブ氏
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NECから提供される新アプライアンス「UNIVERGE UnifiedWall」
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―まず、今回のNECとのアライアンスについて、その意義を説明してください。
バーレブ氏
NECには、アプライアンスの認定について投資をしてもらい、共同開発のためにお互い行き来をしてきました。ただ、NECとは8年前から仕事をしており、長く良い関係を築いてきた経緯がありまして、今回新しくパートナーになったというわけではありません。日本全体をカバーされているNECとの関係を強化した、ということです。NECは日本市場を知り尽くしていますからね。
ただ、今回新しい点が2つあります。まず1つは、ハードウェアが一新されたということで、RAID機能などを搭載しました。2つ目は、当社製品を利用し、ファイアウォール以外もフル搭載したUTMであるということです。数年前から、ファイアウォール以外の当社の機能も受け入れられるようになってきていましたので、フル機能を搭載することができました。
―しかしそうすると、自社の「UTM-1」とバッティングしてしまうのではないですか?
バーレブ氏
当社は、どの製品でもお客さまが使ってくださればうれしいのです。オープンサーバーでも、NEC製品でも、UTM-1でも構いません。当社は、ソフトとアプライアンスの双方を提供している、とてもユニークな立ち位置にあり、お客さまには選択する自由があります。NECのアプライアンスがハッピーであれば、当社もハッピーなのですよ(笑)。
―選択肢を増やすということでは、NEC以外にも、すでにいくつものパートナーから製品を提供していますね。増やしすぎると、逆に分かりにくくなってしまう懸念はありませんか?
バーレブ氏
そうですね、迷ってしまうことはあると思います。ニーズを満たすためにさまざまな製品を提供しているのですから、各ベンダーと協力して、どれがお客さまに適しているかを探すお手伝いをしていきたいと考えています。
―そうなると、製品をユーザーに届けるSIerやNIerとの関係も、いっそう重要になりますね。
バーレブ氏
はい。当社製品はパートナーからしか購入できませんので、当社では、パートナープログラムがとても重要だと認識しています。幸い、日本でもいいパートナーに恵まれていますし、日本向けの新しいパートナープログラムも考えていますので、当社とともに市場へ投資していきたい、というパートナーが見つかりましたら、ぜひ組んでいきたいですね。
また、カバーしている領域はパートナーごとに異なります。例えば、NECにはSMB領域で期待していますし、違うパートナーではエンタープライズ領域を対象にしています。日本でも当社のプレゼンスを拡大したいと考えていますので、パートナーはとても重要。今後も投資を続けていきたいと思っています。
―CEOによれば、国内でのビジネスが順調とのことですが、好調の理由は、具体的にはどのような点でしょうか?
バーレブ氏
まずは、製品がとてもいいことでしょうか(笑)。エンドポイントに関しても、フルディスク暗号化とメディア暗号化を組み合わせるなど、データセキュリティのマーケットリーダーですし、データセキュリティ、パーソナルファイアウォール、アンチウイルスなど、すべての機能をシングルエージェントで出している点も評価されています。
大手SIerとしっかり組めたことなど、良いパートナーシップに恵まれたことも一因ですね。別の製品では、アプライアンスがあります。購入も管理もサポートもシンプルになっている点が、日本市場では受けたのではないでしょうか。もちろん、日本のチームにおける日々の努力も評価していますよ。
―エンドポイントとアプライアンスの相乗効果もあるのでしょうか?
バーレブ氏
もちろんあります。アプライアンスから暗号化へ、またその逆、といったクロスセルは期待できますし、ファイアウォールとして導入してからUTMへ、というアップセルも期待できます。これまではファイアウォールとアンチウイルスがあればいいといわれてきましたが、ゲートウェイセキュリティで重要な機能が増えてきまして、エンドポイントも機能を増やさないと対応できない状況です。デスクトップからゲートウェイまで1つのコンソールで管理でき、一貫したポリシーを持てるのはセキュリティ上重要なことですが、当社は、すべてを1つでコントロールできる唯一の企業なのです。
―Check Pointのビジネスの中で、もっとも成長が期待できるセグメントはどこでしょうか。
バーレブ氏
当社の世界的なビジネスの経験からは、業種よりもサイズに特徴があることが分かっています。日本ではハイエンドが多く、SMBへの投資を始めたばかりですが、ぜひこのセグメントを狙っていきたいですね。
―ただ、日本のSMBは開拓が難しいといわれています。NECとの関係強化もその一環なのでしょうが、それ以外にCheck Pointとして、特別な取り組みは考えていますか?
バーレブ氏
やはり、適切なパートナーと組んでいかなければいけないでしょう。SMBでは、高速で、シンプルで、セキュリティが高い製品が求められますから、何度も話に出てきているアプライアンスのアプローチは適しています。
また、通信事業者やxSPは、彼らのお客さまのセキュリティを高めたいというニーズを持っていますので、SaaS、つまり「Security as a Service」というビジネスモデルもあるでしょう。サービスを売る立場にいる彼らは、とても柔軟性の高いソリューションを必要としており、当社製品を有効に使ってくれています。
―そのほかに、カバーを広げていきたい領域はありますか?
バーレブ氏
SMBだけではなく、それ以外の市場に対しても当社が持っているものがありますからね。例えば、ハイエンドで使われている仮想化対応の製品や、マルチドメインシステム、SSL製品なども提供を強化したい。またエンドポイントセキュリティとして、メディア暗号化は提供していますが、この先のロードマップとしてDLP機能を追加する計画があります。DLPソリューションは競合ベンダーも提供してはいるが、複雑なものが多くて、使いやすいものではない。また、検知のみで防御をしてくれない製品も存在しますが、防御がとても重要なのです。それに加えて、ユーザーが使いやすく感じてくれる、シンプルさも大変重要です。これを解決できるのは、当社だと考えています。
受けいれられていくようであれば、製品も機能もソリューションも、もっと広く増やしていきたいですね。
―ありがとうございました。
■ URL
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社
http://www.checkpoint.co.jp/
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