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左から、日立 情報・通信グループ 産業・流通システム事業部 副事業部長の奥出聡氏、執行役常務 情報・通信グループ 副グループ長兼システムソリューション部門CEOの中島純三氏、独SAP Senior Vice President, Global Service Partner, Global Ecosystem&Partner Groupのマンフレッド・ハイル氏、SAPジャパン 代表取締役社長兼CEOのギャレット・イルグ氏
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株式会社日立製作所(以下、日立)と独SAPは12月2日、新たなグローバルパートナー契約を締結した。以前より提携関係にある両社だが、今後はSAPソリューションのマーケティング、販売、システム構築に至る、さらに広範囲な協業をグローバルで推進していく。
両社のパートナーシップの歴史は長い。日立は1994年よりSAP事業をスタート。以来、「サービス」「テクノロジー」「ソフトウェア」「チャネル」「ホスティング」と5つのカテゴリでパートナー契約を締結してきた。今回さらに、大規模な「グローバルサービスパートナー」契約を結ぶことで、SAP事業の拡大を図る狙いだ。
具体的には、これまで独立して行ってきた日本と北米でのSAP事業をグローバルレベルで統合。海外拠点を連携させて、SAPのビジネスアプリケーションや技術、サービスを全世界共通のソリューションとして提供するとともに、中国や欧州などにも事業拡大していく。
登壇した日立 情報・通信グループ 産業・流通システム事業部 副事業部長の奥出聡氏は、「当社の日本以外でのSAP事業が立ち上がるとともに、顧客のグローバル化が加速している」と協業背景を説明。海外拠点を連携させることでそうしたニーズに対応が可能となり、「例えば、日系企業が海外進出する際に、米Hitachi Consultingやインドのパートナーなどと連携したシステム導入支援が可能となる。また、海外企業が世界中に事業拡大する際も、日本・米国・アジア・欧州の拠点が連携することで、確実で高付加価値なサポートが行える」と協業強化の効果を語った。
グローバル体制としては、日立を中心に、北米はHitachi Consulting、欧州はHitachi Consulting Europeがフロントとなり、経営コンサルティングからSAP設計・構築・運用支援までを一貫してサポートする。また、グローバル連携を統括する「日立SAPグローバルセンタ」を日本に新設。各地域間の情報交換・発信などの取りまとめを行っていく。
併せて、両社の技術融合も推進していく予定。日立は、SAPジャパンの共同研究施設「SAP Co-Innovation Lab Tokyo(COIL Tokyo)」で積極的に共同活動を行い、新技術の検証や日立オリジナルソリューションの開発を進める方針だ。
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SAP事業のグローバル体制
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各事業拠点で連携して、顧客のグローバル化をサポート
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日立のグローバルSAP事業戦略
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奥出氏は、日立のSAP事業ビジョンを「顧客のグローバル化に寄与するSAPシステムの提供を通じて、日立のSAP事業も発展させることだ」と説明。今回の協業強化に伴う戦略について、「APJでは日本発のロールアウト案件へ積極的に対応し、北米ではグローバルパートナー指定案件へ参入する。また欧州ではSAPソリューションのプレゼンスを向上させていく」とし、地域特性を重要視する姿勢を見せた。
事業の大規模化に併せ、SAP要員の育成も進める。「2008年に1600人のSAP認定資格取得者を、2011年までに2080人に増員。そのうち200人を、SAP NetWeaverなどSAPの最新技術エンジニアに育てる」(同氏)とのこと。
両社は、SAPとマーケティングやプロモーションを共同で行い、日立既存の海外プラント案件や公益インフラ事業案件へのSAPソリューション追加提案などで新規市場も開拓。これらの施策により日立では、「国内と海外の売り上げ比を3対1に持って行き、ビジネス規模としては、2008年の380億円から2011年には600億円まで拡大する」(同氏)方針だ。
なお、今回両社が締結したグローバルサービスパートナー契約は、「SAPのパートナープログラムでも最上位レベルのもので、世界に20社しかいない」(SAPジャパン、代表取締役社長兼CEOのギャレット・イルグ氏)という。同氏は「日立はグローバルカバレッジやサービスレベルもさることながら、技術力やハードウェア、ミドルウェアに至る総合的な能力が高い。米IBMや米Accentureなどもグローバルサービスパートナーに名を連ねているが、日立はSAP AWARD OF EXCELLENCE 2008で初めて同時に4部門を受賞した企業。こうした企業とのパートナーシップは今回が初めて」と日立を評価。
その上で「協業は結婚と同じで多大な準備が必要。日立とSAPは(1994年の提携から)15年かけて準備をしてきた。市場ではともにリーダーである両社が手を取って、顧客のためにイノベーションを起こしていくことをコミットする」(イルグ氏)と力強く宣言した。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
独SAP
http://www.hitachi.co.jp/
SAPジャパン株式会社
http://www.sap.com/japan/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/12/1202.html
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( 川島 弘之 )
2008/12/02 15:37
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