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マイクロソフト、ハードウェア開発者向けイベント「WinHEC Tokyo 2008」を開催

「Windows 7はパートナーエコシステムを重視して開発されたOS」

マイクロソフトディベロップメント株式会社プランニング&PCエコシステム プリンシパルグループ プログラムマネージャーの陣内裕輔氏
 マイクロソフト株式会社は12月16日、ハードウェア開発者向けのイベント「WinHEC Tokyo 2008」を開催。キーノートには、マイクロソフトディベロップメント株式会社プランニング&PCエコシステム プリンシパルグループ プログラムマネージャーの陣内裕輔氏が登壇し、「Engineering Windows 7」と題し、ハードウェア開発者向けに次期クライアントOS「Windows 7」の特長が紹介された。

 Windows 7の開発にあたり大きく意識したのが、Windows Vistaでの不満点の解消だ。Windows VistaはWindows XPリリースから5年経過していたため、リリースを急いだ面があった。そのため、デバイスドライバやサービスの準備が不十分となり、結果として信頼性にも影響したという認識だ。「Windows 7への道のりの通過点として、Windows Server 2008のリリースとWindows Vista SP1のリリースは大きな意味がある。Windows Vista SP1のリリース以降、OSのクラッシュ率が大きく低下した。OSがクラッシュする原因のうち、カーネルそのもののエラーで起こるケースは非常に少なく、多くはデバイスドライバやサービス、アプリケーションといったものの相互接続が原因。Windows 7では、こうした点を考慮し、ソフト・ハード・サービスといったエコシステムを重視して開発している」と、OS単体を開発するというよりも、パートナーとのリレーションを重視した開発を心がけていると強調した。

 また、パフォーマンス面でも細かなチューニングを実施。起動パフォーマンスの向上のほか、消費電力量の削減などが行われている。「DVDビデオの再生の場合、Windows Vistaでは何度もCPUにアクセスしていたが、Windows 7ではなるべく使わないように工夫している。これにより、CPUの占有率がWindows Vistaが16%なのに対して、Windows 7では12%まで抑えている」と、Windows Vistaの課題を一つずつつぶしていることを紹介した。


Windows Vista SP1ではクラッシュ率が低下 Windows 7では消費電力量も改善 DVDビデオ再生時のCPU利用率(中央)。Windows Vistaでは何度もピークを迎えているが、Windows 7ではほとんど変わらない

タッチデバイス対応機能もWindows 7の特長
 そのほか、互換性についても重要な課題であると陣内氏は指摘。「Windows Vistaで採用されたUAC(ユーザーアカウント制御)はマルウェアへの対策として有効であったが、強固すぎたためユーザーにとって使いにくいものになってしまった。Windows 7ではバランスをとる方向で調整している。また、Windows Vistaで用意されたドライバに関しては、Windows 7でもそのまま使えるようにしている」と述べた。

 ユーザーエクスペリエンスに関しては、デバイスの扱いをユーザー視点に変える努力が行われている。「Windows Vistaでは、PCに接続したデバイスはPCの視点で分類し表示されている。そのため、どれがどのデバイスなのかがわからないという欠点があった。Windows 7では、[デバイスとプリンター]という機能により、PCに接続されたデバイス単位でわかりやすく表示されるようになっている」と紹介。「また、デバイスごとに実際の製品をアイコン化して表示することもできるので、どのデバイスかを簡単にみわけることも可能」と、見た目で簡単に区別できるよう工夫されている点を強調した。

 デバイス関連では、デバイスステージというデバイスごとの高度な機能を使いやすくする機能も用意。複合機能プリンタ・携帯電話・ポータブルメディアプレイヤー・デジタルカメラの4つのカテゴリーが用意され、デバイスで利用可能な機能を一覧表示したり、解説ビデオやマニュアルなどの閲覧が可能なようにするといった使い方をベンダーごとに行えるのが特長となっている。


Windows Vistaでは標準のデバイスアイコンが複数表示されるため、どれがどのデバイスかの区別が難しい Windows 7では、デバイスごとの製品イメージを表示可能になったため、一目で理解できるようになっている。また、マルチカードアダプタなどWindows Vistaで複数デバイスで表示されていたものも、ひとつのアイコンで表示されるようになっている Windows 7の新機能「デバイスステージ」。Windows標準のUIながらも各ベンダーごとにカスタマイズできるのが特長

Windows Server 2008 R2の強化点
 同時期に開発完了を予定しているWindows Server 2008 R2では、対応CPUコア数を現行の64コアから256コアまで拡大すること、64ビット版のみ提供すること、Hyper-Vのライブマイグレーション対応やVDIでのマルチメディア対応といった仮想化機能の強化が行われることも紹介。Windows 7と組み合わせることで、さまざまな機能が利用できるとアピールした。

 最後に陣内氏は、「ハードウェア開発者のみなさまには、早い段階でのWindows 7の評価をお願いしたい。Windows 7は開発者の声を反映することを意識したOS。来年初頭にはベータ版を公開する予定でいるので、評価およびWindows 7対応製品の開発をお願いする」と、Windows 7がパートナーと共に作り上げているOSであることを強調した。


 なお同社では、ソフトウェア開発者やIT管理者などを対象とした「Microsoft Tech Days 2009」を2009年1月28日・29日に開催。Windows 7やWindows Server 2008 R2のほか、クラウドサービスのWindows Azureなども国内で初めて紹介される予定となっている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japam/
  WinHEC 2008 Tokyo
  http://www.microsoft.com/japan/events/winhec/2008/
  Microsoft Tech Days 2009
  http://www.microsoft.com/japan/events/techdays/


( 福浦 一広 )
2008/12/16 14:25

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