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システムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏
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IT投資における4つのセグメントと、その対応策
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アクセンチュア株式会社は12月18日、定例の記者説明会を開催。その中でシステムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏は、不況の中で企業がどうIT投資を考えるべきか、という点などを解説した。
いうまでもなく、現状の「冬の時代」をどう乗り切るかという点は、経営者にとって頭が痛い問題である。ITも人ごとではなく、10%、20%といった予算削減を求められる企業がほとんどではないかという。しかし、沼畑氏は、「今投資を止めれば、将来のケーパビリティが下がる。オペレーションコストは増加するし、人の能力もITの能力も落ちてしまう」という点を指摘。ITを強化する投資をやめるべきではないと主張する。
アクセンチュアでは対策を考える上で、IT投資を具体的に、4つのセグメントに分けて考えている。まず1つ目は、自社ビジネスを伸ばすための「ビジネス成長型の投資」だ。ただ、必要とはいっても以前のように大きな投資を行える時勢ではないため、この分野では「小さくしてリニューアルする」(沼畑氏)ことも重要だという。例えば、メインフレームのリプレースをする際に、システムと現状を詳細に分析。その結果をもとに、使っていない部分は捨て、またERPやCRMといったほかのシステムへ寄せられる部分を省いていけば、最小限のリニューアルで効果を上げることが可能になるのだと説明する。
また2つ目の、「IT特化型投資」によって、IT自身に投資をし、その能力を高めていくことも効果があるという。沼畑氏は、コストにおける人件費のウエイトが高いことや、マルチベンダー化で管理コストが増えることなどを指摘。開発や品質管理の方法論を整備し、自分たちがやらなくていい領域を外に出せるようにすることも意義があるとした。「今、アプリケーションのマッピングをすると、アプリケーションやデータの重複、老朽化の度合いがわかる。どこが重複して、痛んでいるかが見えるので、立ち止まって整理する必要があるだろう」(沼畑氏)。
3つ目は、もっとも大きな負担となる「オペレーションコスト」だが、ここでは、過去の投資を生かすのか、それとも捨てるのかといった判断が必要になる。不要な資産を廃棄する一方で、例えば、古くなった多数のクライアントPCを入れ替える代わりにシンクライアントソリューションを導入。アプリケーションを提供するサーバー側のみを強化して、配信を受けるPCは古いものをそのまま利用するなど、使える資産、人材を再配置することがコストの削減につながるとした。このほか、標準化も効果的なほか、仮想化やインフラの統合、オフショアなども効果があるという。
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アクセンチュアのITコスト削減アプローチ
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最後の分野としては、「隠れたコスト」が問題になる。本来はIT部門がすべて管理して適正化すべきではあるのだが、例えば営業部が独自で立てたグループウェアなど、企業内には隠れたITコストが存在しているのが現状だ。沼畑氏は、以前は伝票をすべてチェックしながら洗い出す作業が必要だったものの、現在ではディスカバリーツールによって、機械的に見つけ出せるようになったため、「こうした見えないコストを見つけ出し、徹底的にIT側に寄せていくことによって、次なる施策を打ちやすくする必要がある」と述べている。
なお、アクセンチュアでは要素分解によって、これらのコストを、収益を伸ばすために必要な「機動的支出」と、運用や法規制対応に必要な「固定的支出」に分け、それぞれに対してコスト削減アプローチを提供できるとのことである。
■ URL
アクセンチュア株式会社
http://www.accenture.com/Countries/Japan/
( 石井 一志 )
2008/12/17 17:39
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