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日本オラクル、国際会計基準への対応支援策を説明


IFRS採用で期待される効果

アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 ディレクターの桜本利幸氏
 日本オラクル株式会社は12月19日、国際会計基準に関する説明会を開催。同基準を取り巻く状況と、日本オラクルの取り組みを説明した。

 会計基準として欧州連合(EU)ですでに適用されているIFRS(International Financial Reporting Standards、国際財務報告基準)は、欧州を中心にアジア、豪州などで広く採用され、米国でも採用される方向性が打ち出されているという。また日本でも会計基準の統合に向けた動きが加速しており、企業としては何らかの対応が迫られている状況だ。

 会計基準を変更することは、企業にとっては大きな負担になる。しかし、「規制対応なので仕方なくやるのではない、というのが当社の主張だ」と、アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 ディレクターの桜本利幸氏は話す。例えばグローバル企業である米Oracleでは、さまざまな国のステークホルダーに対して、業績の報告やIR活動を行っているが、「同じ数字なのに、それぞれの地域に応じた資料を作らなければならないという点で苦慮している」(桜本氏)。

 これが、国際会計基準という“度量衡”に統一されれば、出す方としても非常に作業が楽になるのだという。また、経営という側面から考えても、グループ全体から同じ度量衡、目線、性質のデータが上がってくれば有効に活用しやすいし、内部統制やリスク管理がますます重要になる中では、1つの会計基準でやるということはメリットになる。

 もちろん、相当な負担が発生するのも事実だ。桜本氏は、負担について「短期・中長期の項目が次々に出てくる上。四半期開示を、しかも45日以内に開示してくれというのは、いわば二重苦三重苦だ」と指摘。「これを人手でやるのは無理なことで、使えるところはITでやるのがいいのではないか」とも述べた。


IFRSへの対応プラン

シェアードシステムソリューション

アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネジャーの安池俊博氏
 こうした問題に対処するため、日本オラクルでは、1)影響分析と戦略策定、2)連結システムの見直し、3)業務と業務システムの見直し、4)ビジネスの最適化、という4つの段階にわけて、顧客の対応を支援するという。

 このうち2)と3)を解決するものとしては、Oracle EBSなどを用いる「シェアードシステムソリューション」を推進している。アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネジャーの安池俊博氏によれば、2)では連結システムの見直しを行うが、その影響は業務システムまでを含めて広い段階に及ぶため、3)を含めた形で対応した方が効果が出せるとのこと。

 そのためシェアードシステムソリューションでは、グループ全体で業務を標準化し、1つのアプリケーションの中で管理を行うようにする。つまり、ローカルGAAP(Generally Accepted Accounting Principles)もIFRSも、また会計だけでなく販売などのシステムも含めて1つの仕組みで運用することになるのだという。「帳簿が1つになることでコスト削減が図れるほか、元帳管理、セグメント管理でも統合によるメリットが受けられる」(安池氏)。

 これを実現するために必要になるものはいくつかあるが、その例として安池氏は、複数のトランザクションを、複数の会計基準に変換して記帳する機能を紹介。会計基準は国際対応になっても、税務上は依然として日本基準の対応が必要になるなど、複数会計基準のサポートが求められるケースが多いため、こうした機能が役に立つのだとした。

 一方で、業務システムがばらばらで、まとめていくには相当の時間を要するケースなどについては、2)を単独で行うアプローチもある。日本オラクルではこの場合に用いるソリューション「Hyperion Financial Management」も用意しており、いずれのケースでも実績を積んでいるとのこと。同社では両面のソリューションを取りそろえ、特に、広範な情報開示が求められる上場企業を対象として、営業を進める考えである。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2008/12/19 16:26

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