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「ITは不況を切り抜ける一つの要素、今こそ攻めのITを」マイクロソフト佐分利常務


 マイクロソフト株式会社は、IT施策「Save Money.キャンペーン」を発表した。経済危機の影響を受ける企業に対して、IT活用で企業活動に刺激を与えたいという考えの取り組みだ。このキャンペーンの狙いについて、同社執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン裕氏に話を伺った。


執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン裕氏
―Save Money.キャンペーンですが、ストレートなネーミングですね(笑)。

佐分利氏
 ええ(笑)。名称については、いろいろと議論しましたが直球勝負でいこうということで、Save Moneyとしました。「苦境をのりきる、攻めのITを」とつけているように、厳しい経済状況の今こそ、攻めの投資をしていただこうと考えています。これはマイクロソフトだけが行うものではなく、パートナー各社を巻き込んだ形で実施します。


―経済状況が悪化している中で、攻めのITといってもなかなか受け入れられないのではないでしょうか?

佐分利氏
 確かに、経済状況が厳しくなれば、コストカットを考える経営者がほとんどでしょう。それも一律カットというのが多いかもしれません。しかし、これでは将来投資すべき分野にも悪い影響を与えてしまいます。

 大前提として、日本のITがどういう状況にあるか理解する必要があります。内閣府の調査結果を見ると、1980年代の日本の生産性は、アメリカと比べても圧倒的でした。ところが、ITが普及しはじめた1990年代以降は日本の生産性が落ち始めています。今では、ホワイトカラーの生産性は欧米の7割程度という調査結果もあります。これは非常に残念なことです。欧米の企業で働いている人が7時間で仕事を終わらせているのに、自分の部下は10時間かかっているということですから。


―日本では、ITはコストセンターという意識が根強いですよね。

佐分利氏
 欧米ではCIOは重要なポジションですが、日本では全企業の4%程度にしかCIOはいません。そのうち、3分の2は兼務というのが現状です。これでは、ITを戦略的に使いこなすことはできません。

 実は、IT活用度が高い企業ほど業績がよいという結果が出ています。その中でもマイクロソフト製品を導入している企業ほど業績が向上しているという結果も出ています。ITが不況を切り抜ける一つの要素であるという点を理解していただきたいというのが、キャンペーンの目的でもあります。


―具体的な取り組み内容はどのようになっていますか?

佐分利氏
 いくつかありますが、まず仮想化は大きなキーワードですね。仮想化技術を利用することで、サーバー統合によるコスト削減のほか、物理サーバー数を削減することによる省電力が可能です。また、System Centerを利用することで管理コストの削減も可能です。マイクロソフト社内では3500台あるサーバーのうち、4分の1を仮想化することで約10億円のコスト削減を実現しています。

 また、ユニファイドコミュニケーションも大きなキーワードです。対面での会議の重要性は理解していますが、簡単な会議であったり、素早い意志決定が求められる場合などは、ユニファイドコミュニケーションが有効です。導入により、出張費を約30%削減したお客さまもいらっしゃいます。出張の行き帰りに、新幹線の中でビール飲むのもいいですが(笑)。

 また、サーバーの利用コストについても削減可能です。中堅企業向けのWindows Essential Business Server 2008と中小企業向けのWindows Small Business Server 2008を使うことで、ライセンス料金を25~30%削減できます。


―ITを活用するといってもさまざまですね。経営者としては、どこから手をつければいいのでしょう。

佐分利氏
 やはりコミュニケーションが第一ではないでしょうか。グループウェアの導入により予定管理を行うところからスタートすることになります。続いて、コラボレーションが有効です。情報活用の重要性を理解することが大切です。

 また、ホワイトカラーの作業を分析してみると、検索と加工という作業だけで全体の4分の1の時間が費やされています。こうした点を改善するだけでも、生産性を向上させることが可能ということです。われわれとしても、事例をたくさん出すことで経営者の意識を変えていきたいですね。


―導入効果が一目でわかるようなツールがあるといいですね。

佐分利氏
 2年くらい前にアセスメントツールを提供したことがあります。ただ、さまざまな分析を行うなど、非常にコストのかかるものでした。また、大企業向けにワークスタイル分析も行っていました。こうしたサービスをあらためて提供する必要があるかもしれませんね。


―最後に、読者に対してメッセージをお願いします。

佐分利氏
 IT投資の現状を見ると、アメリカの場合、組織全体の最適化のステージまで進んでいますが、日本は部門内最適化の段階にとどまっています。IT投資に積極的な企業ほど、労働生産性も高まっています。

 われわれは、ITをピンチを乗り越えるテクノロジーだと考えています。今回のキャンペーンを機に、みなさまのお手伝いをさせていただきたいですね。


―ありがとうございました。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Save Money.キャンペーン
  http://www.microsoft.com/japan/business/SaveMoney/software/

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( 福浦 一広 )
2008/12/26 09:00

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