Enterprise Watch
最新ニュース

BSAが2009年の活動基本方針を発表、組織内違法コピーの情報サイトも公開


日本担当顧問の石原修弁護士

違法コピー状況調査

日本における組織内違法コピーの情報提供数
 ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は1月29日、2008年の活動報告を行うとともに、2009年の活動基本方針を発表した。あわせて、組織内違法コピーに関する情報サイト「違法告発.com(145982.com)」を本日より公開した。

 BSAは、安全・安心のコンピュータ/インターネット環境作りに貢献することを目的として、「政策提言活動」「権利保護支援活動」「教育啓発活動」の3つの活動を中心に展開している。日本担当顧問の石原修弁護士は、国内の違法コピーの現状について「違法コピー率は年々下がっており、2007年は23%まで低下した。これは、世界4位の低違法コピー率となる。一方で、損害額は2112億円と依然高いままで、世界ワースト8位となっている」と説明した。

 また、国内での組織内違法コピーの情報提供数は毎年増加傾向にあり、「2008年は過去最高の544件の情報提供があり、2003年の178件から5年で約3倍に増加した。2008年の通報情報の内訳は、ソフトウェア関連とマスコミ関連がともに16%で上位を占め、次いで公共関連が6%だった」という。

 全世界の状況を見ると、2007年の違法コピー率は38%で前年から3%上昇。損害額も20%増加して480億ドルに達している。これについて石原弁護士は、「新興国におけるPC台数の急増が大きく影響していると考えられる。特に、アルメニア、バングラディッシュ、アゼルバイジャン、モルドバなどでの違法コピー率が非常に高い」としている。

 こうした違法コピーの現状を背景に、2009年に向けては、イノベーションをめぐる世界情勢の変化や、パブリックセクタにおけるソフトウェア資産管理(SAM)への関心の高まり、さらには急速な景気後退がIT投資に与える影響を考慮して、政策提言活動、権利保護支援活動、教育啓発活動、それぞれの基本方針を固めたという。

 具体的に、政策提言活動では、競争力の源泉であるITの価値を共有し、日本のイノベーションに貢献する政策提言を強化する。日本担当事務局長の松尾早苗氏は、「パッケージからSaaSへの移行や通信と放送の融合など、革新的なIT技術による新しいビジネスモデルが普及する中で、知的財産や情報通信分野においても新たな法的論点の迅速な議論が必要になる。さらに、米国の新政権や中国での法整備・法改正など、イノベーションをめぐる世界情勢が大きく変化していることにも対応していかなくてはならない」とし、「イノベーションと政策」を国際的論点で議論できる場を提供するとともに、政府やほかの政策団体との連携をより緊密化することで、さらに積極的な政策提言を行っていく方針。


日本担当事務局長の松尾早苗氏

違法告発.comのトップページ
 教育啓発活動では、パブリックセクタにおけるソフトウェア資産管理(SAM)の普及強化を図る。「大学や自治体などを対象にしたSAM支援活動を通じて、パブリックセクタでのSAMニーズが高まっていることを感じた。さらに、パブリックセクタからの情報提供数が増加していることを受け、新たにパブリックセクタ部会を発足した。これにより、パブリックセクタに特化したSAM支援活動を提供し、より迅速かつ広範なSAMの普及を目指していく」(松尾氏)としている。

 権利保護支援活動では、情報提供窓口とその安全性の認知拡大、および悪質なネット販売の取り締まり強化を目指す。松尾氏は、「世界的な景気後退が進む中で、企業業績悪化による組織内でのソフトウェア不正使用の拡大と、それにともない、やむを得ず不正使用を強いられる従業員の増加が懸念される。また、インターネットでの海賊版販売や違法ダウンロードなど悪質な違法サイトの巧妙化が進んでいる」と指摘。これらの被害を最小限に抑えるため、情報提供窓口とその安全性の認知拡大を積極化するとともに、違法コピーに対するメンバー企業の積極的な権利行使を支援していく。

 本日から公開した情報サイト「違法告発.com」も権利保護支援活動の一環となるもので、組織内違法コピーの実態と過去の通報経験者の体験談などをまとめて提供する。主なコンテンツとして、「違法コピーのある風景」「BSAへの情報提供が安心な4つの理由」「私が決断した理由」の3つを用意。「違法コピーのある風景」では、BSAに通報された案件をヒントに、組織内違法コピーがどのように行われているかを読み切り漫画で紹介する。「BSAへの情報提供が安心な4つの理由」では、日本担当顧問の石原弁護士が、BSAに情報提供しても安心な理由を4つのポイントで回答する。「私が決断した理由」は近日公開予定のコンテンツで、通報経験者へのアンケートをベースに、通報から違法コピー状態の改善までの間の体験を紹介する。



URL
  ビジネスソフトウェアアライアンス
  http://www.bsa.or.jp/
  プレスリリース
  http://www.bsa.or.jp/press/release/2009/0129_02.html
  違法告発.com
  http://145982.com/


( 唐沢 正和 )
2009/01/29 15:40

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.