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日本AMD、2009年事業方針を発表-CPUとグラフィックス両方を持つ強みを生かす


代表取締役社長の吉沢俊介氏

2009年の事業戦略
 日本AMD株式会社は1月29日、2009年の事業方針に関する記者説明会を開催。45nmプロセス製品の積極的な投入のほか、プロセッサとグラフィックスの両方の技術を持つ強みを生かした取り組むことなどが発表された。

 同社代表取締役社長の吉沢俊介氏は、2008年を振り返り「2006年に買収したATI事業の体制統合が完了したのが2008年。また、Alphaプロセッサの生みの親であるDirk Meyer氏がCEOに就任するなど、トップマネジメントが交代した年でもある。日本においても、10月に私が社長に就任するなど、体制の刷新が図られた」と紹介。「製品においては、45nmクアッドコアOpteronを投入するなど、45nmプロセスへの移行を開始したのも2008年」と、今後につながる製品開発が行われた年であったとした。

 2008年の同社の動きでは、ファブレスビジネスモデルに移行したことも大きな話題となった。「アブダビの投資会社と共同で半導体製造企業を設立することで合意しており、近日中に社名や概要なども発表できる段階になっている。ファブを自社で持たないことで、回路設計やセールス&マーケティングに集中できるのが大きなメリット。(インテルのように)巨大なリソースを持つ相手と戦うには、コアコンピタンスに集中することが有効だ」と、限られたリソースを有効活用していく利点を強調した。

 2009年については、45nmプロセス製品を積極的に市場投入することを発表。「すでに出荷を開始したPhenom IIなど、引き続き45nm製品を投入する。また、ATIとの事業統合も完了しており、グラフィックスを持つ強みを生かした取り組みも強化する」と紹介。また、Yukon(開発コード名)やCongo(開発コード名)といったメインストリームPCの性能を持ちながら低消費電力・低価格化したプロセッサの投入による市場開拓などを行う考えを示した。


メインストリームノートPCとネットブックのすき間をうめる「Congo」と「Yukon」 YukonとCongoはノートPC以外にもデスクトップPCでの利用も検討しているという

 説明会では、プロセッサのロードマップも公開。エンタープライズ分野では、HT3フル対応の45nmプロセス6コアのIstanbul(開発コード名)を2009年後半に投入。また、次世代サーバープラットフォームであるFiorano(開発コード名)も2009年半ばに投入する予定であるとした。


65nmクアッドコアOpteronと45nmクアッドコアOpteronの消費電力の比較。同じシステムでプロセッサを交換しただけでも10%程度の省電力を実現している LAMP環境でのベンチマーク。Xeonを上回る結果となっている エンタープライズ分野向けCPU・プラットフォームのロードマップ

 世界的に経済が悪化していることについて、吉沢氏は、「世界経済の急速な減速により、コンシューママーケットで大きな影響を受けているのは現実だ。しかし、AMDはこれまでにも業界の大きな変化を経験してきているが、ユニークな考えで独自の事業を行っていることが差別化につながってきている。(市場環境の変化を)チャンスとしていきたい」と、オバマ大統領が唱えている“Change”に対して、“Chance”をキーワードに取り組む考えを示した。



URL
  日本AMD株式会社
  http://www.amd.co.jp/


( 福浦 一広 )
2009/01/29 17:19

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