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リコー、2008年度通期見通しを再度修正へ


2008年度第3四半期連結決算
 株式会社リコーは1月29日、2008年度第3四半期(10~12月)連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比9.0%減の5020億円、営業利益は56.9%減の213億円、税引前利益は97.6%減の11億円、当期純損益は前年同期の321億円の黒字から、48億円の赤字に転落した。

 昨年8月に買収したIKON社による販売増加、コストダウン効果などがあったものの、為替の影響、IKONの買収に伴う経費などが増加し、それが減少要因となった。

 地域別では、国内売上高は前年比9.6%減の2210億円、海外売上高は8.6%減の2810億円。海外売上高は為替の影響を除くと、前年同期比11.9%増になっているという。

 国内については、画像&ソリューション分野、産業分野、その他分野のすべての分野において、売り上げが低調に推移した。

 一方、海外では米州の売上高が22.8%増の1328億円、営業損失は73億円の赤字。欧州は売上高が22.6%減の1195億円、営業利益が42.1%減の66億円、その他地域は売上高が35.9%減の285億円、営業利益が75.5%減の17億円(いずれも内部消去分を除く)となった。

 販売体制の強化やプリンタ事業の拡大などにより、各地域でカラーMFPやプリンタの売り上げが増加したものの、景気の低迷や円高などの減収要因の影響を受けたという。

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年同期7.2%減の4439億円、営業利益は34.9%減の412億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比11.6%減の3839億円、ネットワークシステムソリューションが35.3%増の599億円。

 一方、産業分野は、売上高は24.4%減の259億円、営業損益は前年同期の13億円の黒字から、17億円の赤字に転落。その他分野の売上高は、17.7%減の321億円、営業損益は前年同期の2億円の黒字から10億円の赤字となった。


分野別売上高 事業別売上高 所在地別売上高

専務執行役員経理本部長の三浦善司氏
 専務執行役員経理本部長の三浦善司氏は、「利益項目はすべて減益。かなり厳しい状況にある。海外は為替の影響を除くとプラスだが、IKONの買収の影響が450億円あり、これを引くと前年を下回る。手放しでは喜べない状況。地域別では、米州が赤字だが、黒字転換までもう一歩。2009年度は離陸する」としたほか、「これまで全社で10%の営業利益率を目指すとしてきたが、牽引役の画像&ソリューション分野の営業利益率が9.3%に下がったことは大きな問題。早急に改善していかなくてはならない。また、画像&ソリューション分野以外のすべての領域において課題がある」とした。


2008年度通期業績見通し

前年度比増減分析
 なお、同社では、2008年度の業績見通しを下方修正した。10月に続いての修正となる。

 売上高は前年比3.6%増となる2兆1500億円と10月公表値を据え置いたものの、国内は410億円減の9590億円、海外は410億円増の1兆1910億円となった。

 営業利益は500億円減の前年比44.9%減の1000億円、税引前利益は同720億円減の59.9%減の700億円、当期純利益は520億円減の67.1%減となる350億円とし、減収減益の見通しとする。

 同社では、業務改善および構造改革・先行投資の効果刈り取り加速を目的とした「全社緊急対策&構造改革加速プログラム」を実施。「短期緊急対策の実施」、「構造改革刈り取りの加速&追加施策の実施」、「成長のための施策展開」の3つの実施カテゴリーから取り組む姿勢を示した。

 「短期緊急対策の実施」は、すぐに実行する施策と位置づけ、政策費も含めた経費の抜本的見直し、徹底的な支出の削減、生産変動への対応を掲げる。

 「構造改革刈り取りの加速&追加施策の実施」では、2007年度から行っていた構造改革への取り組みや、欧米へのIT投資、販売体制の再編などの先行投資の効果刈り取り、欧州の販売会社統合や日本における7統括販社体制へのシフト、販売業務などのバックオフィス業務を担当する新会社への業務統合といったことによる会社統合効果などの刈り取り、プロセス改革の促進、グループ資産の徹底的なスリム化などに取り組む。

 また、「成長のための施策展開」では、プロダクションプリンティング事業の拡大、IKONによる拡大、新工場の建設などを含めた。

 新工場では静岡県沼津や宮城県仙台の重合トナー工場新棟の竣工のほか、今年8月の竣工を予定しているタイの新工場の稼働を予定通り行うこと、手狭になった中国の製造拠点の整理、拡大などにも取り組むという。

 三浦専務執行役員は、「2008年度下期をボトムに再び成長軌道に乗せる。2009年度の具体的な数字には現時点では触れることはできないが、なんとしてでも増収増益を達成したい。できないことはないと考えている」とした。


全社緊急対策&構造改革加速プログラム 構造改革加速プログラムによる効果

 なお、一部報道にあった人材派遣の問題については、「契約期間内での契約解除はしない。いま契約している派遣社員については、3月までは手をつけない。生産現場においては、200人の余剰があるが、ほかの部署に回したりすることで対処する。また、4月以降については、生産調整の結果、株式会社リコーおよび国内の拠点で、約600人が余剰が見込まれる。350人については、ワークシェアリングの手法を用いて、残業をしない、時短を行う、別の事業所で吸収するといったことを考える。また、250人に関しては契約を更新しない考えだが、法定よりも長い期間で事前に通知をしたり、住居の問題についても個別に相談し、給与が落ちる場合には福利厚生でカバーするなどのセーフティーネットといえるものを用意する」などとした。



URL
  株式会社リコー
  http://www.ricoh.co.jp/

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( 大河原 克行 )
2009/01/30 00:00

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