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代表取締役社長の大塚裕司氏
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2008年12月期の連結決算概要
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株式会社大塚商会は2月3日、平成20年12月期決算を発表した。連結売上高は、対前年同期比0.5%減の4671億5400万円、営業利益は9.9%減の270億8900万円、経常利益は9.5%減の276億2800万円、当期純利益は23.8%減の143億7100万円となった。
この結果に対し、同社代表取締役社長の大塚裕司氏は、「公表予算未達、前年割れとなった。上期は増収増益とお話ししていたが、下期は減収減益、特に第4四半期(2008年10~12月)は急速に厳しい環境となった。IT活用の潜在ニーズは依然高いものの、投資についてはお客さまの単価ダウンが目立ち、投資の先送り、抑制による買い控え傾向が第3四半期、第4四半期に明確に現れた」と下期の景況悪化により、通期で減収減益となったと説明した。
この結果に対しては、「より地域に密着した営業体制を構築した結果、昨年度の取引件数は1.6ポイントアップしており、営業支援システムSPR活用により、見積もり件数も6.8%増加している。お客さまあたりの単価が上期には116万4000円だったのに対し、下期では96万6000円へと下がり、その結果、減収減益となってしまった」(大塚社長)と下期に顧客の単価ダウンが進んだ。
なお、自己資本比率は前年の43.5%に比べ49.2%とアップし、有利子負債も減少していることから、「資金繰りは厳しい環境だが、財務体質の健全化は着実に進展している」という。
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売上高・利益の状況
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売上高 四半期ごとの推移
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経常利益の四半期ごとの推移
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セグメント別売上高
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連結売上高のセグメント別内訳は、システムインテグレーション事業が4.7%減の2664億7600万円、サービス&サポート事業は6.1%増の1987億6100万円、その他の事業が19.2%減の19億1600万円となった。
SI事業の売り上げが減少しているにも関わらず、サービス&サポート事業の売り上げは増加しており、「あらためてサービス&サポート事業の重要性を痛感する結果となった」(大塚社長)としている。
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単体決算 セグメント別売上高の詳細
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大塚商会、単体の売上高は、0.1%減の4371億300万円、営業利益は9.2%減の252億1500万円、経常利益は8.3%減の259億7400万円、当期純利益は24.2%減の139億円。
顧客の年商別構成比は、売上高10億円未満の企業の割合が26.87%、10億~100億円未満が28.47%、100億円以上が44.66%で、売り上げ100億円以上の企業の割合が前年よりも1%アップしたが、10億円未満の企業の割合が減少している。
業種別売り上げ構成比では、最も割合が高いのは前年に続きサービス業だが、比率は前年より少なくなり、3番目に割合が多い卸売業も前年を下回ったが、それ以外の業種では金額、シェア共に増加している。
重点事業の状況については、オフィス機器の通信販売事業「たのめーる」を含むMRO(メンテナンス・リペアー&オペレーション)事業、OSM(大塚・セキュリティ・マネージメント)事業は売り上げ増となっているものの、オリジナル業務ソフト「SMILE」、ODS21(大塚・ドキュメント・ソリューション21・フォー・オープン・ナレッジ・オフィス)の売り上げは昨年を下回り、複写機、サーバーの販売台数も昨年を下回った。
「ソフト事業は、SMILEは前年割れとなったが、受託事業が伸びているので、ソフト全体では順調な成果となった。サーバー、パソコンはJEITAなどのデータを見比べると決して悪くはないが、当初計画を達成することはできなかった」(大塚社長)
同社の新規顧客獲得に大きな力を果たしているMRO事業の売上高も順調に増加しており、口座数も2008年末で62万6932口座と前年に比べ11.1%増となっている。
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重点事業の状況
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顧客獲得に大きな力を果たしているMRO事業の推移
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サポート事業についても、トータルサポートサービス「たよれーる」の提供により、ITサポートと共に、振り込み代行などの業務サポートの提供も行う体制を構築している。
こうしたストックビジネスは、「たのめーる、たよれーるの様なストックビジネスの増加によって、社員数を増やすことなく安定的な売り上げ獲得が実現できた」と収益の柱となっている。
その結果、社員一人あたりの売上高、営業利益は、前年に比べれば減少し、2006年並となったものの、1998年時点と比較して売上高は37.8倍、営業利益は11.7倍となった。
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大塚商会が提供するサポート事業の体制
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大塚商会単体のストックビジネスの推移
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2009年度(2009年12月期)については、基本方針と中期計画は変更せず、連結売上高は4470億円、営業利益185億円、経常利益190億円、当期純利益92億6000万円を目指す。
セグメント別内訳は、システムインテグレーション事業が2383億円、サービス&サポート事業が2067億1000万円、その他の事業が19億9000万円。
「厳しい経済環境は2009年も続き、景気回復は2011年ごろまでは望めないと考える。しかし、そういう時期だからこそIT活用の必要性はあるわけで、大塚商会自身、人を増やさず、売上増加を達成できているのはITのおかげ。ITコストが下がるサーバー統合といったソリューションをアピールしていけば、ITビジネスを進めるチャンスの時期でもある。ただし、予測は昨年度のように未達ということがないよう厳しい内容とした。2009年は次の成長につながる踊り場となる、礎の一年間ととらえたい」(大塚社長)
単体での予測は、売上高が4180億円、営業利益が172億円、経常利益が179億円、当期純利益が89億円としている。
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2009年度の連結売上高および利益の計画
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2009年度の連結でのセグメント別売上高計画
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新規取り扱いを開始したLED照明機器を手にした大塚社長
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また、大塚社長は、「この売上目標に加算していないが、新規ビジネスとして昨年資本提携したライオン事務器とのアライアンスによるオフィスデザインサービスの提供、昨年夏ごろから本格的に動き始めたLED照明の取り扱い開始など、当社のビジネスであるオフィス内の商品提供の穴をさらに埋めていくようなビジネス活性化は進めていきたい」既存ビジネスの延長としての事業拡大にも意欲を見せた。
■ URL
株式会社大塚商会
http://www.otsuka-shokai.co.jp/
平成20年12月期 決算
http://www.otsuka-shokai.co.jp/corporate/release/2009/090203a.html
( 三浦 優子 )
2009/02/04 00:01
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