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SAS、2009年上期のビジネス戦略を発表-緊急性の高い経営課題にフォーカス


代表取締役社長の吉田仁志氏

2009年の取り組み

重点ポイント
 SAS Institute Japan株式会社は2月5日、2009年度上期のビジネス戦略発表会を開催。同社代表取締役社長の吉田仁志氏が出席し、2008年度の業績と2009年度の経営方針を発表した。

 2008年度(2008年1~12月)のワールドワイドの売上は対前年比105.1%の22億6000万ドルと33年連続成長を実現したことを発表。日本市場については、ワールドワイドの成長率を上回る2ケタ成長を実現している。吉田氏は、「成長を続けている要因として、株式非公開という面は大きい。売上の4分の1をR&Dに投資したり、投資家ではなく顧客に対し真剣なビジネスができているのは、非上場だからではないか。また、SASが持つ分析力自体も高く評価されているのも成長の大きな要因」と、順調な業績であったと紹介した。

 2009年度に関しては、金融不況など厳しい経営環境が存在することを踏まえ、緊急性の高い経営課題への対応に注力すると発表。特に、1)社会的に緊急性の高い分野にソリューションをフォーカス、2)各業種に対して、強みを持っているパートナー企業との協業を推進、3)分析アナリストの設置などコンサルティング体制の強化、4)SAS 9.2をベースにした個別製品の機能強化、の4点を重点ポイントに挙げている。

 「不況でも行わなければならないのが規制への対応。また、収益拡大への取り組みも求められている。こうしたリスク管理やコスト管理など、企業にとって緊急性の高い分野で役に立つのがSASのソリューション」と紹介。特に情報基盤と業種別・業務別ソリューションを包括した「SAS Business Analytics Framework」をベースに、個別の経営課題に特化したソリューション提供に注力するとしている。

 「既存のBIは収集したデータを見るだけであり、なにをどうしたら売上が上がるのかといった分析には対応できていない。SASのソリューションでは、“見る”“知る”“予測する”を実現することができる。SASではこれを“予見力”と呼んでいるが、将来を予測し先手を打つ行動につなげられるのがSASの強さ」と、単純な分析ではなく、次を予見することが企業にとって重要であると強調した。

 また、こうしたソリューションをこれまでリーチできていない顧客にアプローチするために、昨年からパートナー制度を導入。コンサルティングやSI、リセラーなど各分野ごとに協業パートナーを強化する考えを示した。コンサルティング体制の強化については、分析コンサルタントの強化と、経営課題に対するソリューションを提供できる業務寄りのコンサルタントを強化する。個別製品の機能強化では、SaaS対応や管理機能など、SAS 9.2ベースの機能強化を行うとしている。


 吉田氏は、「IT投資の大部分を占めているメンテナンスの比率を下げ、戦略的なIT投資にまわしたいというのが経営者の考え。リスク管理・コスト管理といった分野で実績のあるSASにとっては、この不況をチャンスに変えていきたい。われわれが持つ予見力を、不況を乗り切るために提供する」と、厳しい経済状況だからこそ、先を見通す力を与える自社ソリューションの強みを生かした活動を積極的に行う考えを示した。



URL
  SAS Institute Japan株式会社
  http://www.sas.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/news/press/200902/05a.html
  http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/news/press/200902/05b.html


( 福浦 一広 )
2009/02/05 17:58

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