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「トラフィックの増加にアプリケーション品質管理で対処しよう」-日本アルカテル


IP事業部システム・エンジニアの束 磊氏

エンハンスド・インターネット・サービスでの用途例

加入者を意識したウェブ・マーケティングでの用途例
 日本アルカテル・ルーセント株式会社(日本アルカテル)は2月10日、通信事業者向けのアプリケーション・アシュアランス統合ソリューションについてプレス向け説明会を開催した。

 今回の説明会では、P2Pやオンラインビデオの普及によるネットワークトラフィックの増加に伴い、国内でも同社アプリケーション・アシュアランス技術への注目度が高まってきたことを受け、昨年発表したアプリケーション・アシュアランス関連製品を統合ソリューションとして体系化し、その機能や特徴、活用例などを、デモを交えて説明した。

 IP事業部システム・エンジニアの束 磊氏は、ネットワークトラフィックの現状と課題について、「一部P2Pヘビーユーザーの影響などを受けたネットワークトラフィックの増加によって、サービス加入者のための帯域が減少。速度低下や切断などが発生しており、コンテンツオーナーはオンライン体験の悪化で広告配信が困難になっている。そして、通信事業者にとっては加入者当たりの平均帯域幅が押し上げられ、ユーザー体験の劣化に伴う解約の増加、さらには帯域幅の追加投資に伴う収入減少が大きな課題になりつつある」と指摘。

 「こうした課題に対して当社のアプリケーション・アシュアランス統合ソリューションでは、ネットワークに流れているアプリケーショントラフィックを識別して、QoS/ポリシーによるアプリケーションごとの制御、およびレポートを提供する。これにより、アプリケーションを意識した帯域管理を実現し、動画配信やゲームなど『エンハンスド・インターネット・サービス』の品質向上を図ることができる。また、コンテンツ事業者は、加入者の通信動向データを把握し、的確な広告配信による収入創出につなげることも可能となる」と説明した。

 同社の提供するアプリケーション・アシュアランス統合ソリューションは、ハードウェアコンポーネントとして、「7750サービス・ルータ(SR)」および「7450イーサネット・サービス・スイッチ(ESS)」とアプリケーション・アシュアランスモジュール「Application Assurance-Integrated Service Adaptor(AA-ISA)」の組み合わせに、アプリケーション制御のための管理ソリューションコンポーネント「5750 Subscriber Services Controller(SSC)」、「5620 Service Aware Manager(SAM)」、「5670 Reporting Analysis Manager(RAM)」で構成される。


アプリケーション・アシュアランスの機能概要

アルカテル・ルーセントのIP製品
 この統合ソリューションの中核となるのがアプリケーション・アシュアランスモジュール「AA-ISA」で、スイッチングファブリックの一部のようなイメージで動作し、対象トラフィックのみを処理。シグネチャーベースのアプリケーションフローを識別するとともに、システム/アプリケーション/プロトコル/加入者ごとの制御、モニタリング、レポーティング機能を提供する。また、10Gbpsのパケット処理能力を備え、加入者をサポートする。

 管理ソリューションコンポーネントの機能としては、「5750 SSC」では、加入者ごとのポリシー制御、アカウンティング機能を提供。また、「5620 SAM」では、ネットワークエレメントやサービスの管理、「5750 SSC」により生成されたポリシーの整備、「5750 SSC」によるトリガーに基づいた加入者セッションのポリシー変更、といった機能を提供する。「5670 RAM」は、今回新たに提供するもので、統計情報を収集・分析し、レポートを生成する。レポートフォーマットは自由にカスタマイズすることができ、Webブラウザ経由でのレポート表示や複数フォーマットのファイルレポート作成が可能となっている。さらに、しきい値ベースのトリガーによるNotification Email送信機能により、ユーザーや管理者にアラートを出すこともできる。

 また、説明会では、機能説明とあわせて、アプリケーション・アシュアランス統合ソリューションの適用例として、「ヘビーP2Pユーザーの制御」、「エンハンスド・インターネット・サービス(HTTPビデオ)の提供」、「VoIPトラフィックの識別と制御」の3つのケースについてデモが行われた。

 なお、同ソリューションは、現在、豪州およびニュージーランドの通信事業者でフィールドトライアルが進んでおり、中国の通信事業者でも導入前テストを実施している状況だという。国内での導入実績はまだないが、ニーズは拡大しており、すでに導入の検討段階に入っている通信事業者もあるという。



URL
  日本アルカテル・ルーセント株式会社
  http://www.alcatel-lucent.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2009/02/10 19:52

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