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SAPジャパンと豆蔵がSOAで協業-パッケージと独自開発のいいとこどりを実現


右から、豆蔵 代表取締役社長の山岸耕二氏、豆蔵OSホールディングス 代表取締役社長の荻原紀男氏、SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長の福田譲氏、SAPジャパン ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部BPPビジネス推進部グループマネージャーの神沢正氏

協業内容
 SAPジャパン株式会社と株式会社豆蔵は2月12日、SOA分野で協業すると発表した。今回の協業により、豆蔵はSAPのSOA戦略コンサルティングチームを設立し、SOA導入時の上流設計支援などを行う。また、SAPは豆蔵のSOA方法論である「enThology」を活用したSOA導入支援コンサルティングサービスを提供する。そのほか、ERPエンジニアがSOAアーキテクトへのスキル転換を支援するためのトレーニングや、技術者コミュニティ支援などを両社共同で実施する。

 SAPはNetWeaverにより、SOA志向のプラットフォームを実現しているが、従来からのERP開発方法に慣れ親しんだエンジニアが主流であり、なかなか柔軟なシステム構築が行えていないのが現実。SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長の福田譲氏は、「NetWeaverで呼び出して利用できるサービスも2800以上存在しており、SAPが固いだけのシステムではすでになくなっている。しかし、道具が進化しても(それを利用する)人が変わらないことには使いこなすことができない」と説明。今回、SOA構築で独自の方法論を持つ豆蔵と協業することで、新しい視点からのナレッジ提供につながることを期待している。

 豆蔵のenThologyの特長は、「業務全体をひとつのシステムとみなして開発する点」(豆蔵 代表取締役社長の山岸耕二氏)と説明する。「システム開発を行うとき、ユーザーにヒアリングしてシステムをまとめる手法があるが、これでは個々人の視野や視点に影響されてしまう。その結果、属人的・場当たり的なシステムができあがってしまい、結果使われないシステムになってしまっている。豆蔵がenThologyで提唱しているのは、要求開発アプローチという手法。これは、組織を横断する業務の全体構造をモデリング化して“見える化”するというもので、業務の視点からシステム化を進められるのが特長。これにより、個々のシステム開発を行う前に、ビジネス要求からシステム要求を導くことで、自社の業務を正確にとらえて実装することができる」と、業務構造からシステム化を行うメリットを紹介した。

 今回、豆蔵のenThologyを活用することで、SAP ERPをすでに導入している企業のシステム拡張に生かせるほか、新規ユーザーに対して、上流工程での中立的なコンサルティングを実現できると両社では説明している。豆蔵OSホールディングス 代表取締役社長の荻原紀男氏は、「これまで、パッケージシステムを提供していたSAPと、独自システムを構築していた豆蔵は、両極にある存在。今回、その両社が協業することで、IT業界に新しい波を起こすことができるだろう」と、両社の協業の意義を強調。「パッケージか独自開発かといった二択ではなく、両者のいいところを取り入れた企業システムの最適化を実現できる」(ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部BPPビジネス推進部グループマネージャーの神沢正氏)と、今回の協業による柔軟な企業システムの開発につながることに期待を示した。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/japan/
  株式会社豆蔵
  http://www.mamezou.com/


( 福浦 一広 )
2009/02/12 13:00

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