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代表取締役社長の橋本孝之氏
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2009年は「礎-“次代への礎を築く年に”」をテーマに事業を進めるという
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月19日、2009年の方針に関する記者説明会を開催。1月に代表取締役社長に就任したばかりの橋本孝之氏が、「礎」をテーマに2009年の戦略を説明した。
まず、2008年を「お客さまのイノベーション実現」「グローバルに統合された企業への進化」「価値創造のためのオープン・テクノロジー」といったカットから振り返った橋本社長は、「こういう(悪い)経済環境の中で、ITを使って地球環境に貢献していく、また企業に貢献していく基礎固めができた年ではないかと思っている」と総括。「こういった基礎をもとに、前に進めていくという前向きな話でとらえていく」と述べた。
それを受けた2009年については、「礎-“次代への礎を築く年に”」というテーマを掲げる。これは、「新体制に変わって、もう一度原点に戻って会社の基礎を固めていこう」「世界経済を見たときに、今までと違った価値観で社会が動いていく。そのための基礎を固めよう」という2つのメッセージが込められているとのこと。そのために日本IBMでは、具体的に3つのフォーカスに沿って事業を進めるという。
まず1つ目は、「自由闊達(かったつ)な企業文化の醸成」。これについて橋本社長は「トップと現場との距離を縮めるのが大きなポイント」とし、役員・事業部長がおのおののコミットメントをイントラネットで表明するとともにその評価を行う、といった施策により、まずはリーダーから変えていくという。また、「顧客第一」という意識を徹底するために、この考え方を実践している社員をオンタイムで評価する仕組みを導入するなどして、「お客さまにもっともっとお邪魔して、前向きな提案ができるようにする」とした。
2つ目のフォーカスは「お客さまへの価値創造をリード」すること。橋本社長は、「経営環境が厳しい中での価値創造」「そのトンネルを抜けた後での価値創造」の2つを念頭に、それぞれについて提案できるようにする考えを示した。前者では、2月17日に発表した「緊急オファリング」を例に、「コスト、経費の削減が最大の課題。フォーカスを明確にすることとスピードによって、お客さまのビジネスそのものを支援する」と説明した。一方後者では、「不況を抜けた後の景色は、今とは違った景色になっているだろう」と述べ、「Smarter Planet」という概念を説明した。
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“スマート”なソリューションの例
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これは、世界が機能化(Instrumented)し、相互につながりつつ(Interconnected)あり、インテリジェント化している中で、地球規模のさまざまな課題を、「賢い地球」になることで解決しようという考え方。日本の渋滞、サプライチェーン未整備に起因する販売機会損失、水資源の最適化などを例に挙げた橋本社長は、「すべてを機能化(デジタル化)し、接続して得た情報から、ある洞察を導いてビジネスを作っていくのが、Smarter Planetの世界。まだ緒についたところだが、新しい時代のITの使い方を想像することも必要だ」と述べ、来るべき世界に向け、現在とはまた違った形でのITソリューション創造を行っていくとしている。
なお日本IBMではこのために、2008年に新設した未来価値創造事業にグリーンとクラウドコンピューティングの部隊を統合。さらに、大和事業所内に「ジャパン・ビジネス・ソリューション・センター」を設立し、顧客が具体的な要素技術、ビジネス上でのプロセスを見られるようにする。
最後の3つ目は、「新規ビジネスの拡大とパートナーシップ強化」。アウトソーシングの新規獲得を目指す専任部隊の設置、パートナー支援の強化などを行っていく計画である。
「昨年に続き経済環境は厳しいものが予測されるが、自分では前向きにとらえている。特に、変化があるときには新しいビジネスのチャンスがあるし、変化のあるときに成長できるソリューションがある当社は、強いだろうと思っている。一人一人の社員がわくわくして、お客さまに価値をお届け、シェアを獲得してビジネスが伸びてくる、そういった形を目指したい」(橋本社長)。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/2009/02/1901.html
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( 石井 一志 )
2009/02/19 15:35
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