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「仮想化はもろ刃の剣、優れた道のりでの導入を」-米Dell


米Dell グローバル・インフラストラクチャー・コンサルティング・サービス 仮想化担当プラクティス・エグゼクティブのロン・オグルスビー氏

仮想化については、「典型的なパス」と「優れたパス」、2つの道のりがあるという

仮想化は導入効果が累積するため、早期に優れたパスで導入すれば、それだけ効果が大きくなる
 「仮想化は非常にポテンシャルが高いが、適切に導入しなくては混乱する。適切にやっていくことで、仮想化の恩恵を受けられるだろう」――。こう話すのは、米Dell グローバル・インフラストラクチャー・コンサルティング・サービス 仮想化担当プラクティス・エグゼクティブのロン・オグルスビー氏。同氏は、2月20日に行われたデル株式会社の仮想化プレスミーティングで、仮想化の問題点や、同社の仮想化ソリューションの価値などを説明した。

 長年、仮想化にかかわってきたオグルスビー氏によれば、「企業が仮想化を導入するにあたって、2つの異なる道のり(パス)をたどっていることを発見した」という。悪い例として挙げられた“典型的なパス”では、ROIが不透明、仮想化の展開に柔軟性を欠く、VMスプロール(増殖)、組織のITスタッフが自分たちの役割を理解していない、といった問題があるという。

 例えばROIの問題については、「当社で仮想化プロジェクトに関する調査をCIOに対して行った時に、『仮想化が失敗だった』とした回答の半分は、『仮想化でどれだけのコスト削減ができたのか可視化できなかった』というものだった。誰も効果をきちんと追跡できていない、というのではなく、プロジェクト全体にわたってきちんと反映されるようなコストモデルを顧客と一緒に作って、明確なROIを作っていくことが重要だ」と説明する。

 また、VMスプロールとは、無秩序に仮想マシンが増殖してしまう問題。仮想マシンは簡単に複製できる上、増やすにあたっての必要なコストが見えにくいために、こうした問題が起こるという。「初期に仮想化を導入された企業に多いことで、仮想マシンの課金方法をきちんと設けていないと、『仮想マシンはタダ』だと思ってどんどんどんどん増殖させてしまう」としたオグルスビー氏は、これを避けるために、仮想マシンへの社内課金システムをきちんと作り上げるべきだとした。

 こうした問題を内包した典型的なパスであっても、仮想化されていない状況と比べればコスト削減効果が出ているかもしれない。しかしオグルスビー氏によれば、「課題が解決されている優れたパスを導入すれば削減率は高まるし、仮想化によるコスト削減は蓄積されていくため、より早く導入すれば、コスト削減幅は大きくなる」とのこと。従って、なるべく早く課題を解決し、優れたパスへの道筋を立てていくことが重要だというのだ。


 なおデルでは、初期の導入段階から、優れたパスでの仮想化を実現できるよう、コンサルティングサービスを提供している。キーとなるサービスは全部で4つあるが、例えばアセスメントサービスでは、顧客のサーバー環境と負荷分散を分析し、仮想マシン化する候補付きのサーバーリストを提供。実際の稼働率などをもとに、どれを仮想化するかしないか、またそれによっていくらのコスト削減効果があるのか、といった現実的なROIを顧客に示す。

 立案とプランニングのサービスでは、顧客のIT部門を取材し、ITスタッフと一体になってアーキテクチャを構築する。また、その後は、具体的な作業仕様書を策定するほか、仮想化に伴って発生するコストを算定し、移行計画の詳細を組み上げていく際の支援を提供するなど、総合的なサービスを提供している。

 デルでは、こうした際に活用できるノウハウの蓄積に自信を持っており、管理ツール、レポートツールなどの活用によって、大規模な環境にも対応できるとのこと。「仮想化の技術そのものには柔軟性があるが、管理する人間側に問題がある。設計段階におけるテクノロジーも大事だが、人、プロセスから変化が起こってこないといけない。これらの変化によって、より良いパスでの移行を行え、コスト削減を実現できるだろう」(オグルスビー氏)。



URL
  デル株式会社
  http://www.dell.com/jp/


( 石井 一志 )
2009/02/20 19:09

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