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日本HP、他社UNIXサーバーからの移行を推進-Integrity事業戦略

組織体制の強化と移行支援サービスを発表

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部長の上原宏氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月24日、2009年度のHP Integrityサーバー事業戦略説明会を開催。HP Integrityをより多くの顧客に使ってもらうため、1)提案力の強化、2)他社UNIXサーバー/メインフレームからの移行推進、3)顧客・パートナー満足度のさらなる向上、の3つの戦略を推進するとした。これに伴い、他社システムからの移行を支援する専任チームを新設するほか、具体的な移行支援サービスを同日から提供開始する。

 リーマンショック以来、IT投資の削減と透明化が喫緊の課題となっている。エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部長の上原宏氏によれば、「以前はベンダー統合のメリットが理解されつつも、ベンダーロックを嫌う傾向が強かったが、不況の影響でいまはTCO削減が最優先事項。コストを抑えるためなら、ベンダーロックもいとわないという声を多く聞くようになった」という。それと同時に「日本HPの管理ツールによりTCOを削減できることが立証されてきた」ことから、日本HP製品へのサーバー統合をさらに進める方針とした。

 「IT投資を削減するためには、まずコストを透明化することが重要。透明化しなければ、どこに無駄があってどこに不足があるのかも分からない。信頼性と拡張性に優れたIntegrity+HP-UXと、UNIX/Linux/Windowsも含めて一元管理できるHP Insight Dynamics VSEなどを組み合わせれば、“脱ブラックボックス”して、堅牢なシステムを低コストで運用することが可能になる」(上原氏)。

 以前から注力してきたメインフレーム移行に加え、Solarisなど他社UNIXサーバーからの移行も推進する意向だが、そのためのIntegrity戦略として、1)提案力の強化、2)他社UNIXサーバー/メインフレームからの移行推進、3)顧客・パートナー満足度のさらなる向上、の3点を掲げる。


2009年度のHP Integrity事業戦略 他社UNIXサーバー/メインフレームからの移行推進 顧客・パートナー満足度のさらなる向上

テクノロジー・サービス統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 データセンタートランスフォーメーションソリューション部長の内田恵氏

移行における顧客の不安

HP-UX プラットフォームへの移行支援サービス
 1)の提案力強化では、HP Integrityサーバーの拡販を加速する全社体制を確立。新たに「移行」をミッションとしたMFA営業部を立ち上げ、営業とプリセールスの一体化を図るという。

 2)の移行推進では、Solaris、AIX、メインフレームユーザーに対する移行推進チームを結成。営業、コンサルタント、エンジニア、マーケティングと多岐にわたる60名規模のチームワークで、移行のアセスメントなどを支援する。また、日本HP市ヶ谷本社内に、Solarisからの移行する際の相談窓口「Solaris Migration Center」を設置。TCO分析や販売パートナー支援を行う。

 加えて、より具体的なサービスとして「HP-UX プラットフォームへの移行支援サービス」を2月24日よりスタート。きっちりとメニュー化された同サービスで、移行の準備、計画、要件定義、設計、構築、移行、運用まで包括した総合的な支援を実施する。

 同サービスについて、テクノロジー・サービス統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 データセンタートランスフォーメーションソリューション部長の内田恵氏は、次のように説明する。「統合化されたIT基盤とは、標準化、集約化、仮想化、ユーティリティ化された環境のこと。この中で一番の課題となるのが標準化。このためには、ユーザーはベンダー混在で使い慣れた既存の環境を手放さなければならず、『移行の見積もりはきっちりと算出できるのか』『新プラットフォームで確実にアプリケーションが動くのか』『HP-UXはすぐに使いこなせるものなのか』『それらすべてひっくるめてサポートはどこまで行ってもらえるのか』といった不安が挙がっている。そこで同サービスでは、準備から移行、運用に至るライフサイクルすべてをカバーし、各フェーズのサービスをしっかりメニュー化することで、予算化を可能にしている」。

 中でも一番の特長は、綿密なアセスメントに対応する点だ。ソースコードを評価・分析し、移行の難易度や移行可能かどうかをあらかじめ判断するものだが、同サービスでは、C/C++/シェル言語で書かれたプログラムやJavaアプリケーションを対象に、数十万行規模のカバレッジでソースコード解析を行う。データベースに関しても同様にアセスメントを実施し、「どのコードをどのように直すべきかレポートで提示。加えて、移行に関係なく根本的な不具合があれば、その報告も行う」(内田氏)とした。

 価格は、アプリケーション単位の50万行までで200万円(税別)から。以降、超過分は応相談。データベースアセスメントの価格は、システム単位の50テーブル、20ビュー、トリガ・ストアドプロシージャ1万行までで500万円(同)から。

 アセスメント後は、ネットワーク、ハード設計から導入、技術支援まで行うインフラ構築サービスを個別見積もりにて提供。また実際の移行・運用フェーズでは、ポーティングやQ&Aなどの技術支援を行うとのことで、「ポーティングでは、当社がソースコードをお預かりし、コンパイルを完了するまでの作業を実施する」(内田氏)という。移行技術支援サービスの価格は、3カ月、100時間までの場合で200万円(税別)。


 最後の満足度向上では、HP-UX技術者コミュニティを形成し、イベントや情報共有プログラムを実施。併せて、販売パートナー向けには、定例情報共有会や技術トレーニングの実施により支援体制を強化する。

 内田氏は、「移行は、導入コストがかかるもの。当社では製品やサービスの質により、初年度でそのコストを相殺する効果を提供することが可能。さらに2~3年目には、運用性の高いシステム導入やシステムの透明化により、30%のITコスト削減を実現することができる」と、今回の施策によるベネフィットを説明。

 上原氏は、「x86と比べるとUNIXサーバーの先細り感は否めないが、その信頼性や拡張性を選ぶお客さまもいる。x86対UNIXという構図は今後もなくなりはしないかもしれないが、最近はProLiantとIntegrity双方に融和性の高いブレードシステムも台頭している。今後はHP BladeSystemとSuperdomeを注力製品として、Integrityの信頼性を訴求したい。今回の新サービスでは、2009年内に30件の受注を目指す」と意欲を見せた。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-061.html

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( 川島 弘之 )
2009/02/24 17:02

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