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シトリックス、インテルPCに組み込まれる仮想化技術「Project Independence」を解説


Project Independenceにより、次世代のノートPCは仮想化を組み込んだ状態で出荷されることに
 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は2月24日、1月に米国で発表された「Project Independence(開発コード名)」について、記者向けの説明会を開催した。

 Project Independenceは、Xenハイパーバイザーをベースとした同社の仮想化ソリューションとインテルの「vProテクノロジー」を組み合わせることで、あらかじめ仮想化技術を組み込んだPCを実現するもの。同社が提供する「Citrix Delivery Center」と組み合わせて利用することで、柔軟なデスクトップ環境を構築できるのが特長。物理PC上にハイパーバイザーを搭載しているので、物理PCと同等の性能を仮想マシンでも実現できる点が最大の特長といえる。

 Independence(独立)に込められた意味について、米Citrix Systems、Senior Manager of Product Marketing, Delivery Systems GroupのMichael Chang氏は、「ハイパーバイザーを組み込み済みの状態で出荷することで、個人用のノートPCに仕事用のデスクトップ環境を分離した形で搭載することが可能。これにより、従業員はいつも使っている私物のノートPCをそのまま仕事用として使うことができ、システム管理者は従業員個々にPCを与えることなく、1つのアプリケーション&デスクトップイメージを用意するだけで済むようになる。これにより、企業は、デバイスからも、アプリケーションからも、従業員からも、独立した環境を獲得できる」と説明する。


ひとつのノートPCを個人用としても仕事用としても利用できるようになる 仕事用の環境への切り替えはワンクリックで行える

 Project Independenceが登場することで、将来のデスクトップコンピューティング環境が大きく変わるとChang氏はいう。「まず、ノートPCそのものは企業の所有物ではなく、個人の所有物になるだろう。これまで制約されていたBYOC(Bring Your Own Computer:私有PCの持ち込み)は、Project Independenceにより携帯電話などを持ち込む感覚で許可されることになる。従業員は与えられた汎用PCではなく、好みにあったPCを使えるようになる」と、従業員に満足度を与えながら、企業のPC所有コストを削減する効果が得られると紹介。

 「また、デスクトップ環境の構築についても、アプリケーションとデスクトップイメージを作成するだけで、システム管理者の作業は終了することになる。あとは、この環境にさまざまなデバイスから従業員がアクセスして利用すればいいからだ。これまでのように、各個人のPCにインストールしたり、パッチを適用したり、セキュリティを気にしたりすることがなくなる。結果的にはデスクトップの管理費用よりもコーヒーやオフィス用品に使う費用の方が大きくなっていることだろう」(Chang氏)と、デスクトップの管理コスト削減にも大きく貢献できるとしている。

 そのほか、ワンクリックで仕事用と個人用のデスクトップの切り替えができること、サーバー上で仮想デスクトップ環境を動作することで、PCが遅いといった不満の解消も可能になることなどを挙げた。

 Project Independenceは、近日中に公開されるテクノロジープレビューを経て、2009年下半期に米国で提供を開始する予定。現在、複数のPCベンダーと調整中で、近日中にも正式発表できる段階にあるとしている。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  プレスリリース(抄訳)
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20090127_01.html
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20090127_02.html

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( 福浦 一広 )
2009/02/25 00:00

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