レッドハット株式会社は3月12日、2月に米国で発表された同社の新仮想化戦略に関する記者向けの説明会を開催。KVMベースの新仮想化製品群「Red Hat Enterprise Virtualization」の説明が行われた。
Red Hat Enterprise Virtualizationは、仮想サーバーの統合管理ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization manager for Servers」、仮想デスクトップの統合管理ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization manager for Desktop」、スタンドアロンのハイパーバイザ製品「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor」、Linux OS「Red Hat Enterprise Linux」により構成される同社の次期仮想化製品の総称。
これらの新仮想化製品群のベースになるのが、2008年9月に買収したQumranet社のハイパーバイザ「KVM」やSolidICE、SPICEといったテクノロジー。同社マーケティング本部 部長 兼 プロダクト・マーケティング・マネージャの中井雅也氏は、「SolidICEは、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)を実現する製品群。Linux+KVMをホストOSに使用した仮想デスクトップサーバー(VDS)で、Windows XPを仮想マシン上で稼働し、独自の通信プロトコルのSPICEを使ってシンクライアントなどに配信する仕組み。仮想デスクトップコントローラ(VDC)を使うことで、複数のデスクトップ環境の統合的な管理にも対応している」と紹介。これらのテクノロジーが、新仮想化製品群で採用されている。
Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisorは、LinuxカーネルとKVMで構成された仮想マシン専用の実行環境。ハイパーバイザの動作に特化しており、64MBとフットプリントの小ささが特長。サポートするホストマシンは最大96コア・1TBメモリ、仮想マシン側は16仮想PU、64GBメモリとなっている。
Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Serversは、KVMベースの仮想環境を集中管理する製品。サーチボックスから管理対象のマシンを簡単に検索できるサーチ指向のインターフェイスが特長。管理機能としては、ライブマイグレーションやHAといった機能が用意されている。
Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Desktopsは、QumranetのVDIをベースにした仮想デスクトップの管理製品。独自プロトコルのSPICEを採用することで、マルチモニターや高品質のビデオなど物理PCに近いユーザーエクスペリエンスを仮想デスクトップ環境で実現できるのが特長。
Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers
Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Desktops
Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor
KVMベースの仮想環境は、Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisorだけでなく、次期バージョンのRed Hat Enterprise Linux 5.4でOSの機能としてサポートされる。なお、従来より提供されていたXenも引き続きサポートするとしている。
提供時期に関して、「今後3カ月から18カ月にわたって提供する予定。最初の製品に関しては、2009年夏ごろに提供する予定。Red Hat Enterprise Linux 5.4に関しては、KVMをOSに組み込む関係から、2009年後半になるだろう」と説明した。