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OKI、新社長に川崎秀一常務が昇格へ

「激変の時代に最適な社長」と篠塚現社長

新社長に就任する予定の川崎秀一常務取締役

記者会見に臨む篠塚勝正社長(左)と川崎秀一常務取締役(右)
 沖電気工業株式会社(以下、OKI)は3月12日、川崎秀一常務取締役が、代表取締役社長兼CEOに就任する人事を発表した。6月下旬に開催予定の定時株主総会および取締役会で正式に決定する。また、篠塚勝正代表取締役社長兼CEOは、代表権がない取締役会長に就任し、今後は、対外的活動に力を注ぐという。これに先立ち、川崎秀一常務は4月1日付けで、代表取締役副社長兼副社長執行役員に就任する。

 川崎新社長は、1947年1月10日生まれで東京都出身。1970年3月に早稲田大学法学部卒業後、同年4月沖電気工業入社。1990年に金融システム営業本部営業第三部長、1992年に秘書室長、1999年NTT営業本部長を経て、2000年にネットワークシステムカンパニーバイスプレジデントに就任。2001年執行役員、2004年常務執行役員兼ネットワークシステムカンパニープレジデントに就任した。2005年には営業推進本部長および常務取締役に就任。2008年には情報通信グループ金融事業グループ長に就任した。

 OKIに入社以来、20年あまり金融部門の営業畑を歩み、その後秘書室長を経て、通信部門を担当。常にお客さま基軸でもの行動を考え、率先垂範で行動するタイプだという。また、周囲に対して、いつも気配りし、明るくユーモアにあふれ、好奇心旺盛で、誰からも好かれ、頼りにされているという。

 座右の銘は、誠心誠意。好きな言葉は、京都紫野大徳寺大仙院住職・尾関宗園師の「気は長く心はまるく腹立てず人は大きく己は小さく」。趣味はジャズ鑑賞、散歩だという。

 川崎新社長は、「これまで営業部門を中心に歩んできた。会社生活のDNAは、営業だと思っている。お客さまとともにあり、お客さまの視点で考え、行動することを信条としてきた。お客さまに育てられたと思っており、感謝している。お客さまあってのOKIであり、私である。お客さま視点で考え、行動していく姿勢を、全社に浸透させたい。厳しい時代であるからこそ、明るさが必要。また、OKIは、インフラを支える企業として、安定して確実に利益が出る会社になることが大切。しっかりとした経営体質を整えることが大切だ。事業の選択と集中、より効率的なマネジメント、強い商品と技術の創出に力を注ぐ。私自身、営業の最前線に出て活動する」とした。

 さらに、「営業は、商品開発の原点、基点を担う部門。顧客ニーズ、マーケットニーズを把握し、市場を先取りした新製品を、技術部門に作らせる責任がある。これによって、技術部門が競争力のある商品を作るというサイクルができあがり、これが企業を強くする」と営業部門出身らしいコメントも聞かれた。


篠塚勝正代表取締役社長兼CEO
 一方、篠塚社長は、「川崎新社長は、人格、資質、経験すべてにおいて、激変の時代に最適な社長」とし、「行動第一の人間であり、顧客、社員からも信頼がある。人の話をよく聞き、対話を重視する。また、決断が早くバランスの取れた人物」と評した。

 1999年に、川崎氏がNTT営業本部長に就任した際には、「篠塚社長の鶴の一声」(川崎新社長)で、情報部門の営業から、通信部門の営業に抜てき。同社初の部門を超えた大型人事となった。「私自身もこれが大きな転機になり、自らの成長につながった」と川崎新社長が語れば、篠塚社長も、「事業の基盤を作り、期待に応えてくれた」と評価した。

 「常に後継者を考えていた」という篠塚社長は、2009年2月下旬に、川崎氏に社長就任を打診。川崎氏は、「立場としては現在でもナンバー3であり、候補の一人ともいえるが、私自身はそうは思っていなかった。正直驚いた。こうした時期に本当に私でいいのかと自問自答し、熟考した結果、むしろ、このような時期に私がやらずに誰がやると思い、最近になって決断した」と語った。

 また、篠塚社長は、社長就任期間を振り返り、「世の中の変化を的確にとらえ、新たな技術と製品によって、顧客を大切にし、安定した収益をあげることを最大の使命と考えてきた。ATMのトップベンダーとしての地位を固め、情報と通信の融合によるIPベースの通信事業への転換をいち早く実施し、グローバルパートナーとの各種アライアンスも行った。プリンタ事業も赤字から黒字に転換した。OKIの強みを発揮できる体質になった。だが、厳しい経済環境のなか、事業構造改革に取り組んでおり、社員と幹部に痛みを伴うことになった。6月からOKIの新たな成長を図るには、新体制が最適と判断した」などと語った。

 なお、篠塚社長が代表権のない会長に就任することについては、「1998年6月の社長就任以来、11年間の経験で得たのは、社長はすべての責任者であるということ。社員が、私をみたらいいのか、社長をみたらいいのかわからないというのは異常な状態。相談には乗るが、責任は社長が持つのがいい」とした。

 また、今後の構造改革については、「現在発表しているものを推進する」(川崎新社長)として、追加施策は現時点では用意していないことを示した。



URL
  沖電気工業株式会社
  http://www.oki.com/jp/
  代表取締役および役員の異動について
  http://www.oki.com/jp/press/2009/03/z08148.html
  社長人事に関するお知らせ
  http://www.oki.com/jp/press/2009/03/z08147.html
  4月1日付け人事異動のご案内
  http://www.oki.com/jp/press/2009/03/z08146.html


( 大河原 克行 )
2009/03/12 16:23

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