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「EXシリーズは好調、今後は他製品と同じOSで使える価値を訴求する」、米Juniper

製品体系は順次拡張、デスクトップスイッチも検討中

米Juniper アドバンスト・テクノロジ部門 アジア太平洋地域担当ディレクター、グレッグ・ブント氏
 ジュニパーネットワークス株式会社は3月13日、スイッチ製品「EXシリーズ」に関する説明会を開催。その中で米Juniper Networks(以下、Juniper) アドバンスト・テクノロジ部門 アジア太平洋地域担当ディレクター、グレッグ・ブント氏は、モジュラー型OS「JUNOS」を採用したことのメリットを何度も強調した。

 2008年1月に発表されたEXシリーズは、Juniperでは初となるネットワークスイッチ製品のブランドで、同社のルータに一貫して採用されてきたOS「JUNOS」ベースの製品として提供が開始された。シリーズ発表時に提供されたボックス型「EX 3200/4200」に加え、1月にはシャーシ型「EX8208」を新たに提供開始し、ラインアップを拡充している。

 こうしたEXシリーズのこれまでの実績を振り返ったブント氏は、「2008年第2四半期に、出荷後初めての売り上げである1000万ドルを計上した後、次の四半期からは80%、56%の成長を遂げた。また顧客数も、経済の悪化によって市場が停滞する中で、継続して増加している」と、ビジネスが順調である点をアピール。また、「50%以上のEXシリーズユーザーが、当社のルータやセキュリティ製品を購入したほか、30%以上のユーザーは新規顧客」と述べ、Juniperがリーチできる市場の拡大にも寄与しているとする。


多くの製品に共通して採用されるJUNOSの価値

シャーシ型スイッチのEX8216をリリースし、ラインアップを強化する
 では、EXシリーズはどこが評価されてビジネスを伸ばしているのか。これに対しては、以前から同社が標ぼうしている管理負荷の削減というメッセージが評価されているとした。JUNOSは、ルータはもちろんのこと、最近ではセキュリティ機能を中核とするダイナミックサービスゲートウェイ「SRXシリーズ」など、多くのJuniper製品で採用されている。EXシリーズもこのJUNOSを共通して採用しているため、管理者は新たなOSを学ぶことなく、スイッチを導入し、ほかの製品と同様に管理していけるのだ。

 また、旧NetScreen系のファイアウォール向けだった「Network&Security Manager(NSM)」で、EXシリーズやSSL-VPN製品なども管理できるようになっており、ユーザーにとっての利便性が増している。ブント氏が示した、中国のファストフードチェーンの事例では、EX3200以外にファイアウォールやJシリーズルータ、SSL-VPNなどを導入し、統合管理することによって、「柔軟かつ俊敏なネットワーク運用を実現している」という。

 さらにJUNOS自体も、キャリアグレードルータで培った高機能、高信頼性を持つ、評価の高いOSである。これをスイッチが搭載することにより、スイッチ自身の機能性や信頼性を向上している点も、大きなメリット。豪州シドニーの官公庁であるPittwater Councilでも、仮想サーバーソフトのホットマイグレーション機能とEX4200が備えるスタック技術「バーチャルシャーシ」とを活用し、信頼性/レジリエンシーの高いシステムを構築している。

 日本市場では、強力な国内ベンダーが存在することもあってか、エンタープライズ向けがEXシリーズの売り上げの8割を占める海外とは異なり、そこまで企業向けビジネスが伸びていない。しかしブント氏は、「単にルーティングやセキュリティだけではない、当社の広範なポートフォリオをアピールしたい。同じOSを使う価値をお客さまに提供できる」と話し、国内企業にも引き続き訴求していきたいとした。

 Juniperでは、こうした流れを加速させるために、新製品も提供していく考えで、まずは2009年第2四半期に、シャーシ型スイッチの上位機「EX8216」を提供する。EX8208/8216では、はじめからスロットあたり200Gbpsの処理性能を備えており、フォワーディングエンジンやファブリック、電源などを強化しなくとも、今後登場する40Gbps/100GbpsのEthernetにも対応可能。今も広く利用されている競合製品では、性能強化のためにエンジンを入れ替えなければネットワークの進化についていけなかったのに対し、EXシリーズはラインカードの差し替えのみで、継続して利用可能とアピールしている。

 加えて、デスクトップスイッチに分類されるような小型製品も提供を検討しているという。ここは、コモディティ化が著しく、利益の確保は難しい分野ではあるが、管理の一貫性などを考慮すると、同社にこの領域での製品リリースを希望するユーザーも多数いるはず。ブント氏は細かい機能については明言を避けたが、「高速であること、アクセスコントロールが徹底できること」などを考慮する必要があるとしており、この分野でも、付加価値を持った製品としてリリースすることをにおわせていた。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://www.juniper.co.jp/

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( 石井 一志 )
2009/03/13 15:39

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