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APCジャパン、電源障害対策の新手法「1システム1UPS」を提唱

シャットダウンの“時間差制御”を実現

小型UPS事業部 ディストリビューション営業部 シニアアカウントマネージャーの前田力氏

サーバー・ストレージごとに個別にUPSを利用する従来の手法には、問題が多い

1システム1UPS手法では設計・制御がシンプルに
 株式会社エーピーシー・ジャパン(以下、APCジャパン)は3月17日、NAS・SANなどの外部ストレージ、ブレードサーバーの普及に伴い複雑化したシステムでも、中容量UPS(無停電電源装置)で効率的な電源管理を実現する新手法「1システム1UPS」を発表した。5~40kWの中容量UPSのラインアップを順次拡充することで、同手法の浸透を目指す。

 「外部ストレージは、増加するデータ量への柔軟な対応を可能にする一方で、外部ストレージを導入しない場合に比べ、電源管理を複雑にする」。そう指摘するのは、小型UPS事業部 ディストリビューション営業部 シニアアカウントマネージャーの前田力氏だ。同氏によれば、「停電などの電源障害により、システムをシャットダウンさせるとき、サーバー、外部ストレージ、ネットワーク機器の順に停止しないと同期エラーが発生。その逆に電源復旧時には、ネットワーク機器、外部ストレージ、サーバーの順に起動させないと起動エラーが発生する可能性がある」という。

 「こうした順序を考慮した時間差制御を実現するため、多くのIT環境では、サーバー・ストレージ機器にそれぞれ個別に1台ずつUPSを接続して、分散管理しているのが現状。その結果、管理工数が複雑になり、管理の困難、高コスト、高リスクの三重苦を招いてしまっている」(同氏)。具体的にどんな不都合があるかというと、個別にUPSで管理する場合、UPS同士で複雑な連携を設計する必要がある。さらにシステムを増強した際には、ゼロベースで設計を見直す必要があるほか、UPSのバッテリ消耗度合いによっては、せっかく行った時間差設計が崩れて、最初に停止してはいけない機器から電源が落ちてしまう可能性もあるという。

 そこで1システム1UPS手法では、サーバー・外部ストレージ・ネットワーク機器で構成される1つのシステムを1台の中容量UPSで管理。加えて、シャットダウン制御ソフト「PowerChute Network Shutdown」、高機能電源タップ「Switched Rack-Mount PDU」を活用することで、この三重苦を解消する。

 「中容量UPSにSwitched Rack-Mount PDUを接続し、各IT機器にはこのタップ経由で電源を供給。万が一、電源障害が発生した場合には、PowerChute Network Shutdownでサーバー、ストレージ機器、ネットワーク機器の順に停止する、時間差シャットダウンを実現する。同ソフトはVMwareとHyper-Vに対応しており、ハイパーバイザーに対してもシャットダウン制御を行うことも可能だ」(同氏)。

 逆に復旧時には、Switched Rack-Mount PDUの機能を活用。同製品では、複数あるコンセント口ごとに個別の待機時間を設定できるのだが、これにより、ネットワーク機器に給電後、数十秒後にストレージ機器、さらに数十秒後にサーバーに給電するといった時間差起動を実現する。「Symmetra LX」などのラック型UPSを活用すれば、電源容量の拡張も容易に行えるため、UPS同士の複雑な連携が不要となり、システム増強のたびに容量を気にすることもなくなるという。


時間差停止処理のステップ コンセントごとの時間差起動を実現するSwitched Rack-Mount PDU 実際に使用している様子

 このほか、電源設計が複雑なブレードサーバーの電源管理にも、1システム1UPSは効果を発揮する。「ブレードサーバーには複数の電源が冗長化構成で実装されているが、どのようにUPSにつなぐかが考慮されておらず、従来の電源管理手法では限界があった。この場合も複数の電源コンセントをSwitched Rack-Mount PDUに接続し、そこへUPSから給電することで、同じようにシンプルに安全に電源障害対策を行うことが可能になる」(同氏)という。

 APCジャパンではこの手法を広く訴求していくことで、中容量UPSの需要を喚起する方針。システムの規模に応じて最適な対策が講じられるよう、5~40kWの中容量UPSのラインアップを拡充していくとした。



URL
  株式会社エーピーシー・ジャパン
  http://www.apc.com/jp/

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( 川島 弘之 )
2009/03/17 18:42

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