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NEC、NGNミドルウェアパートナープログラムの活動を強化

新パートナー制度など3つの重点施策打ち出す

NGNミドルウェアパートナープログラムの活動趣旨

NEC 取締役執行役員常務の大谷進氏
 日本電気株式会社(以下、NEC)は3月23日、次世代ネットワーク(NGN)を活用したサービス創出に取り組んでいる「NGNミドルウェアパートナープログラム」の活動を強化すると発表した。

 NGNミドルウェアパートナープログラムは、NGNの普及・拡大を目指すプログラム。NECが中心となり、主要ITベンダー各社とともに、2008年3月に発足した。現在は、日本IBM、EMCジャパン、日本オラクル、サン・マイクロシステムズ、ソフトフロント、ノベル、日本HP、マイクロソフト、ミラクル・リナックス、MontaVista Software、レッドハットの11社がパートナーとして参画している。

 NEC 取締役執行役員常務の大谷進氏は、「NGNミドルウェアパートナープログラムでは、サービス共創、API標準化、評価センターの活用、ネットワークのオープン化という4つの柱を軸に、パートナーシップによるNGNサービス創出を加速する仕組み作りを推進している」と、現在の状況を説明。これに向けて今回、1)アプリケーションパートナー制度新設、2)パートナーとのサービス共創具体化、3)国際標準化活動の開始、の3つの重点施策を打ち出し、プログラムの活動強化を図る。


新規パートナーの参画

サービス共創を推進する

NGNミドルウェア共通APIの標準化を図る
 1)は、NGNを活用したアプリケーション(業務システム)やサービスを新たに創出するために新設したもの。これまでのNGNミドルウェア共通APIの策定を目的としたミドルウェアパートナー制度に加えて、より広範囲な分野のパートナーを対象に参加を募っていくという。現在は、アンリツネットワークス、エンピレックス、シスコシステムズ、昭文社、ジェネシス・ジャパンの5社が参画している。

 2)では、NGN普及に向け、パートナー各社が自社に強みのある領域を中心に、NGN活用を行う数々のソリューションモデルをNECと策定。NGN評価センターを利用して検証を進める。NGNの基本機能であるセッション/QoSを利用した領域では、NGNのオンデマンド型VPNを活用したBC/DR(Business Continuity/Disaster Recovery)ソリューションやGISソリューション、ユニファイドコミュニケーションを策定した。また、NGNミドルウェア共通APIを活用した領域では、グループウェアからの利用やマッシュアップ型サービス開発環境への組み込みを策定している。

 現在、NGN評価センターで実証実験を行っているサービスとしては、日本オラクルとNECによるNGNのオンデマンド型VPNを活用したBC/DRソリューション、日本HPとNECによるマルチメディアプラットフォームを活用した映像ソリューション、昭文社とNECによるB2B型GISソリューションのSaaS型提供、マイクロソフトとNECによるユニファイドコミュニケーションのNGN活用検討、サン・マイクロシステムズとNECによる3DバーチャルオフィスのNGN活用検討、NECによる遠隔医療ソリューション、日本IBMとNECによるLotus Sametime&Lotusマッシュアップなどがあるという。

 3)については、通信サービス向けAPIの共通仕様であるParlay X 3.0をもとに、NGNや企業ネットワーク向けに機能拡張した「NGNミドルウェア共通API仕様第1版」を、パートナー企業と策定している。また策定したAPI仕様の一部である課金APIを、2月に行われた、国際標準化団体OMAのPSAアドホックグループに対する修正仕様案として提案した。


キャリアとの連携で、ネットワークのオープン化を目指す
 また、課金以外の拡張仕様についても、国際標準とするために、OMA内で別途新規のアドホックグループの立ち上げに向けて「Next Generation Service Interface(NGSI)」の構想提案を行っている。今後、この提案に基づき、NGN特有の機能を活用するAPI(認証、ID管理、QoS、高度マルチメディア制御など)、企業ネットワーク活用API(サービス履歴、基幹データ連携、ポリシー制御など)、シームレスネットワークとクラウド対応、の3つの領域での仕様策定活動を推進していく計画。

 さらに、2009年度に取り組む重点課題について大谷氏は、「今回の活動強化をベースに、パートナーとともにNGN活用サービスの創出や標準化を推進する一方で、キャリアとの連携をより密接なものにして、ネットワークのオープン化/ビジネス化に向けた取り組みにも力を注いでいく」と述べた。

 なお、今回の活動強化に関するプレス発表会にあわせて、NGN評価センターで実証検証中の一部サービスをデモ公開した。デモを行ったのは、日本HP、日本IBM、NECの3社。日本HPでは、マルチメディアプラットフォームを活用した映像系ソリューションとして、「映像対応コンタクトセンタ」と「映像による在宅医療支援サービス」のデモを実施。日本IBMでは、NGNミドルウェア共通APIを活用したサービスとして、「Lotus Sametime&Lotusマッシュアップ」を紹介した。またNECのデモでは、NGNを活用することで「遠隔医療相談」を家庭にも展開できる可能性を示している。


日本HPが取り組む「映像による在宅医療支援サービス」のデモ 日本IBMによる「Lotus MashupsとNECのNGNインフラ連携」デモ NECによる「家庭での遠隔医療相談」のデモ構成


URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0903/2301.html


( 唐沢 正和 )
2009/03/23 16:44

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