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米Dellのマイケル・デル会長兼CEO
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デル株式会社は3月24日、米Dell 会長兼CEOのマイケル・デル氏来日に伴う記者会見を開催した。
世界経済が厳しい状況にあり、企業もコンシューマも“買い控え”に走っている状況の中で、デルCEOは「効率性と生産性を継続的に提供し、それによって、次世代のテクノロジーをお客さまに買っていただける方向に持って行かなくてはならない」と、イノベーションの重要さを指摘。代表的なものとして仮想化を取り上げ、これにフォーカスしているとする。「仮想化はサーバーから始まり、ストレージ、クライアント、ネットワークにまで広がってきた。そこから今までにない価値が生まれており、特に、今のような厳しい時期だからこそ、お客さまは仮想化にフォーカスしている。当社にとっても仮想化は重要だ」(デルCEO)。
また、ITにおいて将来を見据えた時に、重要な要素が3つあるという。1つ目として「テクノロジーインフラの標準化」を挙げたデルCEOは、「当社では何よりもITの標準化を提供しており、それに関してはリーダーだ」と主張。「ITの複雑さは常に課題であり、標準化が重要なポイントになる。独自のプラットフォームを展開しているベンダーもあるが、お客さまの俊敏性が確保できないため苦戦している」と述べている。
2つ目の要素は「イノベーション」。エンタープライズ向けでは、インテルの新CPU「Nehalem(開発コード名)」ベースのサーバーを近々発表するほか、iSCSIストレージ「EqualLogicシリーズ」でも新たな発表があるだろうとした。一方のコンシューマでは、最近発表したばかりのスタイリッシュな薄型ノートPC「Adamo」に触れ、自社の製品に自信を示す。
3つ目は「グリーン」。「当社はグリーンではリーダーで、リサイクルを進めるとともに、エネルギー消費を抑えている。これは製品レベルだけでなくブレードサーバーのプラットフォームでも同じ。ワットあたりのパフォーマンスも、他社より20%以上の改善を図ってきた」などと述べ、これまでの取り組みをアピールした。
なお、記者会見での一問一答は以下の通り。
―コンシューマビジネスをどう見ているか?
デルCEO
コンシューマは当社にとってシェアが低く、成長できる分野だ。昨年は業界を大きく上回る35%の成長があった。シェアが低ければ、多くのチャンスがあり、早く成長できるだろう。また、十分な機能を蓄積して魅力的な差別化を提供し、お客さまに買ってもらえるようにしなくてはいけない。Windows 7、タッチスクリーン、薄くて軽いデザインなどだ。
―米IBMが米Sun Microsystemsの買収に成功すればどういうインパクトがあるか?
デルCEO
まだうわさのレベルだが、いろいろなチャンスが出てくるだろう。当社ではSolarisからx86、Linuxへスムーズに移行するお手伝いもしており、大きなビジネスチャンスだ。お客さまの間ではSPARCからx86への移行が進んでいるが、今回のうわさで緊張感が増しており、それがチャンスになるのではないかと考えている。
―クラウドコンピューティングへの関心が高まる中で、Dellはどういうチャンスを見いだしているか?
デルCEO
クラウドについて当社では、インフラを提供するビジネスをしている。クラウドの起点はコンシューマだったが、そこから中小企業や大企業にも広がっていった。コンシューマやSMB向けで考えると、Yahoo!やGoogle、BIDU、Facebookなどがお客さまであり、ストレージなどのインフラを提供している。
一方エンタープライズでは、プライベートクラウドが中心になるのではないか。独自のアプリケーションも存在するし、機密性の高い情報など、パブリッククラウドへ出したくないものもあるだろう。そこで、VMwareなどとのコネクションを考えていく。
―日本企業をどう見ているか?
デルCEO
ITを見ると、日本企業は非常に早い変化をしており、変化するグローバルの実情に対応していると思う。時間はかかるだろうが、正しい方向に進んでいるように見える。多くの合理的でないような活動もまだ存在すると思うが、これから(良い方へ)進んでいくだろう。
―ネットブック市場についてはどうか。
デルCEO
ネットブックは今後も継続的に成長していくと思うし、興味深いカテゴリ。薄型軽量のマシンは今後の大きなトレンドになっていく。接続性や機能性も高まり、それに従ってオンラインのサービスも増えていくだろう。ただし、スクリーンが小型化に向かうのでその点に注意が必要と思っている。ビジュアルな情報をコンシューマに提供したいが、スクリーンが小さいと情報量が限られてしまうからだ。
―買い控えも出ている中で、高価なAdamoを提供した理由は?
デルCEO
より多くのバリューを提供しよう、今までにない美しいデザインで、機能も今までになく、突破口になる製品だと思って提供した。ハイエンドのコンシューマを狙っている。
■ URL
デル株式会社
http://www.dell.com/jp/
( 石井 一志 )
2009/03/24 14:48
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