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「2010年にグローバルで50万台を販売」、富士通がIAサーバー事業戦略を説明


代表取締役社長の野副州旦氏
 「2010年に、ワールドワイドで今の倍の50万台を売ることを目標とする。グローバルに共通の目標を持って活動するということは、当社の歴史の中でも新しい考え方だ」。富士通株式会社は3月30日、4月1日のFujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.(以下、富士通シーメンス)の完全子会社化後を見据え、IAサーバーの事業戦略を説明する記者会見を開催。その中で、代表取締役社長の野副州旦氏は具体的な数字を挙げ、事業の拡大に意欲を示した。

 富士通では現在、メインフレームの「GS21/PRIMEFORCE」をはじめ、UNIXサーバー「SPARC Enterprise」、IAサーバー「PRIMEQUEST」「PRIMERGY」など、サーバーハードウェアについては広範なラインアップを有している。顧客の既存アプリケーション資産を保護するために、少なくとも当面はこれらをすべて維持していく計画だが、サーバーハードウェアでは、Windows/LinuxのIAサーバーがもっとも伸びているのが現状だ。

 そこで富士通でも、「長期的なレンジで見た時に、IAサーバーを主流にする必要がある」(取締役副社長の富田達夫氏)として、IAサーバー事業の強化に積極的に取り組んできた。その中で、富士通シーメンスが富士通の100%子会社となり、グローバルで統一された事業展開が可能になる今回、IAサーバー分野の事業強化に、さらに積極的に取り組むという。


富士通シーメンスは100%子会社でなかったため、欧州は別の製販チェーンで動いていた 今回の完全子会社化により、グローバルでの統一的なオペレーションが可能になったという

取締役副社長の富田達夫氏

経営執行役上席常務 リチャード・クリストウ氏

ソリューションとしての提供を推進できる体制が整った
 具体的にはまず、4月から製品をグローバルに統一するほか、監視ソフトも「Server View」を統一。さらに、PRIMERGYの開発業務を、富士通シーメンスから名称を変更したFujitsu Technology Solutionsへ集約し、開発体制の一本化によるタイムトゥマーケットの向上を図る。最初の製品としては、インテルの新CPU「Nehalem(開発コード名)」ベースの2WayサーバーをCPU発表当日にリリースするほか、5月には低消費電力、業界トップクラスの高密度化を実現した新ブレードサーバーを発表するとのこと。

 また、これまで異なっていた富士通シーメンスと富士通本社との品質基準を共通化するとともに、量産に向けた製造・試験も共通化するとした。サプライチェーンについても、グローバルで調達の窓口を一本化し、「世界統一製品、統一台数を背景に価格交渉力を最大化し、ベンダーと交渉していく」計画。加えて、評価指標の共通化なども進める。

 富田副社長によれば、こうした施策を順次展開することにより、現状4位であるワールドワイドのx86サーバー市場において、10%以上を獲得したい考えという。同副社長は、「当社は4位とはいえ、まだ2008年は4%のシェアしかなく、(2010年の目標としている)50万台でも7%程度にしかならない見込み。それ以降も取り組みを進め、シェアを10%以上に拡大して、本当の意味での4強といわれるようになりたい」と意気込みを示した。一方、2008年はシェア14%で4位だった国内市場では、「2010年に20万台を販売し、シェア30%以上、トップシェアを獲得する」(富田副社長)としている。

 このために同社では、製品の差別化を進めるのとあわせて、販売体制の刷新も図る。プラットフォームソリューションビジネスグループを2月に設立し、ワンストップで営業、SE、パートナー支援を行える体制を整えたことに加えて、新規パートナー/二次店開拓を専門に行う部隊も設置した。さらに、3月26日に発表したマイクロソフトとの協業など、ISVとの提携によるソリューション推進も進めるという。

 野副社長は「販売チャネルの活用を考えた時に、当社が今提供しているようなインセンティブでは通用しないだろう。販売体制をもう一回当社の中で作り込むことが必要だ」と述べ、パートナー施策の見直しに言及した。ただし、「プロダクトをベースに同じ市場で競争すると価格勝負に陥るが、それではじり貧になる」と述べて、価格競争による安売りには否定的な見方を示す。これについては海外事業を統括する経営執行役上席常務 リチャード・クリストウ氏も「まずは競合優位性のあるプロダクトがなければお客さまにリーチできないが、ソリューションとして売るケースが大半、ということが重要だ」と話し、ソリューション中の1要素としての販売を進めたい考えを示した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/

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( 石井 一志 )
2009/03/30 18:12

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