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「BIはレポートだけじゃない、“予測”まで含めた活用を」-アクセンチュア


システムインテグレーション&テクノロジー本部 インフォメーションマネジメントサービス グループ統括パートナーの後藤洋介氏

本来のBIは分析/アナリティクスといった予測の部分までを含めたものだという

各手法のROIを予測することで、マーケティング予算の最適化が実現できるという
 アクセンチュア株式会社は4月7日、ビジネスインテリジェンス(BI)の活用に関する説明会を開催。システムインテグレーション&テクノロジー本部 インフォメーションマネジメントサービス グループ統括パートナーの後藤洋介氏が、BIの現状について解説した。

 後藤氏はまず、現在の不況について、数々の要素が絡み合い順を追って影響が広がっているとした後、「企業が先をすべて予測するのが不可能だが、これが起きたらこれが次に起きそうというくらいは予測して対応する、それが生き残りのために求められるのではないか」という点を指摘。そのために、“勘”ではなく、ファクトベースで情報を分析し、将来を予測できる仕組みが重要だという点を強調する。

 そして、そのための強力な武器として利用できるのがBIだとする。ただし、日本でBIといったときにはレポート、クエリー、アラートといった情報アクセス/レポーティング分野を指すことが多いのに対し、米国では分析/アナリティクスの分野、つまり予測の部分までを含めてBIと位置付けているという。

 では、予測によってどんな効果が出るのだろうか。これについて後藤氏は、キャンペーンやマーケティングのコストを例に出して説明する。例えば、対象となる顧客を絞り込まずにアプローチした場合では30%の効果しか発揮できなかったものでも、ターゲティングリストを作り、収益の高い優先顧客からアプローチをすることにより、同じ費用で75%の効果を上げることができた例があったという。

 またマーケティングでは、プロモーション、クーポン、DMをはじめとする数々のマーケティング手法を全部あわせた予測モデルを作ることで、効果的な予算の使い方に反映できる、という例を紹介した。例えば、クーポンは投資効果が出るものの、ある程度で効果が横ばいになってしまうため、一定額以上の投資は必要なく、余剰予算を効果の高いプロモーションに振り分けて効果を上げる、といった活用法が可能になる。この例のように、投資の最適化が可能になれば、経営を取り巻く環境が厳しい今の企業にとって、大きな価値が見込めるのだ。

 こうした事例が出ているように、「“ハイパフォーマンス”企業は、パフォーマンスの低い企業と比べると、情報の活用度合いがまったく違う」(後藤氏)のが現状だが、ではどうやって高めればいいのか。これについて後藤氏は、「情報をフルに活用するためには、情報の基盤をしっかり作ること」と説明。全社レベルでアーキテクチャを考え、情報基盤を整備することの重要さを訴える。

 ただし、これは経営のトップクラスがその重要さを理解していないと、なかなか進まないこと。米国では、CIOに対するテクノロジー領域の優先度調査において、BIが4年連続トップになっているが、日本ではまだまだそこまでの段階ではない。それでも、徐々にBI活用の気運が高まっているのは確かとのことで、「ファクトベースで意志決定を高度化することが日本の企業でも求められているし、それができる時期になってきている」(後藤氏)との見方を示している。



URL
  アクセンチュア株式会社
  http://www.accenture.com/jp/


( 石井 一志 )
2009/04/07 16:32

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