Enterprise Watch
連載バックナンバー
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年

64ビットCPUはビジネスをどう変えるのか?!

第六回・日本オラクル -64ビット機は大きなビジネスチャンス-


 Itanium2、Opteron、いずれのCPUを搭載したベンダーがあげる、「重要なソリューション」のひとつがデータベースである。データベースの最大手の1社である日本オラクルでは、「64ビットに対しては、Itaniumの登場前、RISCの64ビット機が登場してきた時点から対応し、OSベンダー、ハードベンダーと協力したサポート体制を作り上げてきた」(マーケティング本部システム製品マーケティンググループ・杉崎正之シニアマネジャー)とRISCサーバーでの、64ビットソリューションの実績をアピール。そして、2004年を、「準備が整い、64ビットサーバービジネスの実績を作る年」と位置づける。


ユーザーが選ぶのはHP-UXプラットフォーム

マーケティング本部システム製品マーケティンググループ・杉崎正之シニアマネジャー
 データベースは、日本IBMのDB2、そしてマイクロソフトのSQL Serverと他にもあるわけだが、「IBMはAIX、マイクロソフトはWindowsと、自社が抱えるプラットフォームがビジネス的に優先されるものの、当社は特定プラットフォームによらず、UNIX、Linux、Windowsと全プラットフォームに対応。ユーザーサイドで、プラットフォームを選んでもらえばいい」(杉崎マネジャー)と、プラットフォームを選ばないところが、競合データベースの中でオラクルの強みである。

 また、これまでRISCサーバーのデータベースとして実績をもっていることから、「IA64についても、64ビットの大規模基幹システムとなるとオラクルを採用するユーザーが増加する傾向にあるようだ。64ビットのIAサーバーは、当社にとってはビジネス的にも大きなプラスとなる」と大規模システムでは絶対の強みを見せる。

 しかし、実際にユーザーが選択するプラットフォームとしては、「HP-UXを選択するユーザーが圧倒的に多い」という。

 「当社としては、ユーザーにどのプラットフォームがいいという説明をすることはない。どのプラットフォームを選択するのかは、ユーザー次第。だが現状では、HP-UXを選択するユーザーが圧倒的に多く、Windowsを選択するユーザーはほとんどいない。これは64ビットWindowsの出荷数が少ないことが要因のひとつであり、Windowsでの大規模システム構築には不安を感じるというユーザーが多いことがもうひとつの要因。64ビット対応のWindowsについては、まだ評価が終わっていないようだ」

 そのため、プラットフォームとしてはHP-UXを選択するユーザーが多いというのだが、HP-UXを選んだユーザーが、すでに実績あるRISCサーバーではなく、IA64サーバーを選択する理由はどこにあるのだろう。

 「やはり、これまで32ビットのIAサーバーを利用していたユーザーが、64ビットでもIAを選ぶというケースが多い」と、使い慣れたアーキテクチャのアップグレードが多い。

 「当社では、数十社の先進的なユーザーに対し、試験的な利用を実施している。2004年は試験利用段階が終わり、いよいよ普及期に入るタイミングとなるのではないか。普及拡大のために、昨年には1,000人規模の技術者にハンズオントレーニングを実施し、64ビット機を使った際のパワーを体感してもらった。こうした市場を作る取り組みが評価され、普及・拡大が見込めるのが2004年となる」と、2004年を境に普及が本格化すると指摘する。


UNIXユーザーが注目するLinuxプラットフォーム

 2004年、HP-UX同様、導入が始まりそうなのが、「Linuxプラットフォーム」である。「これまでRISCサーバーを使ってきたユーザーが、Linuxに注目している。昨年の5月に受注を開始したが、64ビットLinuxのパッチファイルをオラクルが作るなど、オラクルとLinuxの関わりは深い。当社としても、問題が起こった際にも原因解決をしやすく、トータルコストでもLinuxを使ったソリューションにはコストメリットもあると判断したユーザーが、Linuxを選択することになる」

 オラクルでは、昨年の5月に64ビット対応を発表すると同時に、(1)「Unbreakable Linux」技術サポート体制の確立のため、2003年6月1日より、オラクルのデータベース製品、アプリケーションサーバー製品、コラボレーション製品、ビジネスアプリケーション製品のLinux対応版を対象にRed Hat LinuxまたはUnitedLinuxを基盤としたLinuxOSを含む統合的な技術サポートを提供、(2)「Unbreakable Linux」を販売する新たな営業体制として、Linuxビジネスを推進する専門の営業組織「Linuxビジネス推進室」を日本オラクルのクロスインダストリー本部内に新設し、顧客や販売パートナーへのLinux導入支援を実施、(3)「Unbreakable Linux」技術者の育成、(4)「Unbreakable Linux」の検証済みハードウェアベンダーによる推奨構成の提案のために、ハードウェアベンダーから、「Oracle9i Real Application Clusters」を利用したクラスタ化システムの推奨構成を提示することも発表している。

 これだけ支援体制を整えたことで、Linuxビジネスは2004年から立ち上がっていく見通しだ。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 三浦 優子 )
2004/01/21 00:00

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.