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XenServer無償化の狙い-シトリックス大古会長に聞く
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シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は3月31日、サーバー仮想化ソリューション「Citrix XenServer」の最新版を無償で提供すると発表した。これまでも、XenServer Expressという機能制限された無償版を提供していたが、マルチサーバー管理、ライブマイグレーション、テンプレートライブラリなど、他社製品では有償版でないと利用できないレベルの機能まで無償化した。
今回は、XenServer無償化の狙いについて、同社取締役会長の大古俊輔氏に話を伺えたので、一問一答形式で紹介する。
■ 無償化発表でポジティブな評価
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取締役会長の大古俊輔氏
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―XenServerの無償化発表を最初に聞いたときは正直驚きました。また、ライブマイグレーションなど、高度な仮想化管理機能も含まれていることを知って、さらに驚きました。これまで有償版を販売されていたパートナーから何か言われませんでしたか?
大古氏
XenServer無償化をアナウンスしてからの反応をみますと、ポジティブにとらえているのがほとんどですね。パートナーの方からも評価していただいていますよ。
というのも、パートナーの方々はソフトウェアだけを売っているわけではなく、インテグレーションやサービスなども含めてお客さまに提供しているからです。逆に、XenServerが無償化したことで、予算をほかの分野にまわせるわけですから、パートナーにとっても手厚いサポートなどにつなげることができるので好意的に受け入れていただいています。
仮想化の基盤となるソフトウェアが高いとなると、導入する段階でお客さまは二の足を踏んでしまいがちです。無償にすることで、そういった障害を取り除けますので、市場全体を広げることにもつながります。結果、業界にとってもお客さまにとってもいい話というわけです。
―お客さまの反応もよかったのですか?
大古氏
いいですね。これまで、テクノロジーは評価していただいても、ライセンス料が多くかかるといってた方々が喜んでいます。また、他社の仮想化製品を導入しようとしていた企業が、発注を止めたという話も聞いています。
―XenServerのベースとなっているXenのユーザーはどうですか? すでにオープンソースで無料のXenを使っているわけですから、それほどインパクトはないようにも思えます。
大古氏
Xenのコミュニティに対してもインパクトはあったようです。というのも、オープンソースのXenでは、高度な機能はサポートされていませんから、XenServerを利用するメリットが出てくるわけです。それもXenを使っていたときと同じように無償で使えますから。
【お詫びと訂正】初出時、ライブマイグレーションの機能がXenでサポートされていない表現となっておりましたが誤りでした。お詫びして訂正します。
また、Xenのコミュニティに参加されている方にとっては、これまでのスキルを生かせるのもメリットとして大きいようです。
■ 仮想化市場のすそ野を広げるのが目的
―無償化すると、今度はどこでもうけるのかが気になります。同時に発表した管理ツールの「Citrix Essentials for XenServer」でもうけるということでしょうか?
大古氏
今回の無償化は、仮想化のベースとなる製品でお金をとらないということが一番の方針です。
仮想化というとサーバーに注目が集まりがちですが、デスクトップの仮想化もあれば、アプリケーションの仮想化もあります。デリバリーセンターとシトリックスでは呼んでいますが、サーバーだけでなく全体の価値を提供することで強みを発揮していきます。そのためにも、ベースとなるXenServerを無償化して導入しやすくすることが目的です。短期的になにかでもうけようという考えで取り組んだわけではありません。
―経済環境が悪化していますが、そういった背景が後押ししたわけでもないということですね?
大古氏
XenServerの無償化は、仮想化の大きな流れの中で必然的に行われたととらえていただいたほうがいいでしょう。VMwareさんが10年前に仮想化に取り組まれて以来、確実に市場は成長していますが、まだまだ不十分です。さらにすそ野を広げるには、仮想化の基礎となる部分で費用が発生してはいけないとおもうのです。今後は、どのような付加価値を提供できるかで勝負することになると考えています。
■ 1ベンダーのテクノロジーしかない市場は問題あり
―XenServerのベースとなっているXenがLinuxベースのハイパーバイザーということもあり、Windowsユーザーにとっては少し距離感があるようにおもいます。
大古氏
まず、XenServer上でWindowsはちゃんと動作します。これは問題ありません。また、XenServerそのものも、Windowsユーザーが利用していただいても違和感のない製品となっています。MetaFrame(現、XenApp)の時代からマイクロソフトと協力関係にありますから、このあたりは安心して利用していただける製品に仕上げています。無償化しましたので、これを機にぜひ使っていただきたいですね(笑)。
また、マイクロソフトとは仮想化技術で協力関係にあります。Windows Server 2008 R2が登場するころにあわせて、仮想マシンの移行を容易に行える機能なども発表する予定です。こうした関係もありますので、Windowsユーザーの方も安心してXenServerを利用していただけるとおもいます。
―VMware包囲網をシトリックスとマイクロソフトで構築しているようにもみえますね(笑)。
大古氏
いえいえ、決してそういうものではありません。仮想化の市場というのはまだまだ未成熟な市場です。互いの足を引っ張りあうような市場ではありません。
重要なのは、ひとつの市場にひとつのベンダーのテクノロジーしかないのは問題であるということです。仮想化に関してもそうです。複数のベンダーが市場に参加すれば、競争が生まれ、製品も進化していくものです。今回の無償化もそうした大きな視点でとらえていただきたいですね。
われわれとしては、限定された機能の無償版ではなく、すべての機能を利用できる無償版で、仮想化を正しく評価していただきたいと考えています。テクノロジー的には他社に負けないものを持っています。使っていただき、気に入ったらそのまま使い続けられるのは利用者にとってメリットは大きいと思います。
―ありがとうございました。
■ 関連記事
・ シトリックス、サーバー仮想化製品「XenServer」の無償提供開始(2009/03/31)
・ WindowsユーザーのためのXenServer入門【前編】(2008/12/25)
・ WindowsユーザーのためのXenServer入門【後編】(2008/12/26)
( 福浦 一広 )
2009/04/06 00:00
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