■ 『ウェブ進化論』から始まった社会現象
インターネット業界に久しぶりに訪れた破壊的な変革の波。それがWeb 2.0です。
Web 2.0という言葉は、ティム・オライリーの提唱に始まり、日本では梅田望夫氏の『ウェブ進化論』、そして拙書『Web2.0BOOK』の出版を機に、急激に認知を高めていきました。テクノロジートレンドであるのはいうまでもないことですが、いまやインターネットビジネスの業界の流行を超えて、ある種の社会現象化しているといえるでしょう。
■ 1年間の連載で57名をインタビュー
2005年12月26日、グロービス・キャピタル・パートナーズの小林雅氏に始まって、当連載では多くのネット業界の中心人物たちをインタビューしてきました。わずか1年の間ではありますが、実に(のべ)57名ものキーパーソンのリアルな言葉を書きとどめ、読者の皆様にお届けしています。
その中にはYahoo!、マイクロソフト、日本オラクル、NTTなどの巨大企業が名を連ねていると同時に、上場したばかりのドリコムやミクシィなどの新興企業、あるいは、これから急成長をすると目されるニュースターの方々がみられます。
そして、インタビューに答えてくださった方々の中には、当時所属していた会社を辞し、新たなチャレンジに身を投じている人も何人もいます。キーパーソンの多くは社長もしくはそれに準じた経営層にあるわけですが、それでも現状維持を良しとしないという傾向が見られるのです。(事実、筆者である小川自身が2006年12月でフィードパス株式会社を退職し、新たに起業準備に入っています)
Web 2.0は、テクノロジートレンドであると同時に、社会現象であると書きましたが、その本質をみれば再加工・再利用可能なオープンデータと、それが流動できる環境が揃いつつあるということです。人材そのものも、流動しはじめていることは、何の不思議でもないことかもしれません。
■ 新連載はより個人にフォーカス
当連載は、Web 2.0時代に一家言持つ、あるいは時代にフィットした事業モデルを持つキーパーソンをお呼びして、そのお話を伺いながらWeb 2.0の実体に迫ろうという、フィールドワークであったといえます。
この試みは、十分なサンプル数(57名分)を通じて成功したように思います。
これからは、さらに細分化して、Web 2.0がなんであるかではなく、Web 2.0の次のトレンドをリアルタイムに追っていくことが求められていると考えます。
そこで、当連載をいったん終了し、趣旨を変えスタイルを変えた新しい形で、改めて連載をスタートさせていくことにいたしました。
当連載は、データベースとして今後しばらくは読者に有用な情報源として残ると考えますが、新連載においては、よりいっそう個人に焦点を置き、Web 2.0時代にわれわれがどう生き抜いていくべきか、どうすれば仕事を楽しめるのかという、エッセンスを抽出していきたいと思っています。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/01/23 00:00
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