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ネットエイジ後藤取締役「Idealabがロールモデル」
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株式会社ネットエイジはビットバレーから始まった日本のインターネットベンチャーブームの火付け役であり、今後も多くのベンチャーを育てていくであろう、インターネットビジネスのインキュベーターの代表的企業です。
今回はそのネットエイジで技術開発面で活躍されるとともに、筆者とともに『ビジネスブログブック2・3』『Web2.0 BOOK』の著作活動を行っている、後藤康成取締役をお迎えしました。
■ シリコンバレーのベンチャーで経験
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ネットエイジ 技術開発本部 取締役の後藤康成氏
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―今日はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?
後藤氏
はい。僕は2000年にネットエイジにジョインしたんですが、ずっとエンジニア畑で根っからの技術者です。10年以上前、まだネットスケープも生まれる前にシリコンバレーに行きまして、エンジニアリングのメッカをみたんです。その空気をじかに吸おうと、Digital DJというシリコンバレーのテクノロジーベンチャーに就職しました。この会社はFMデータ通信を基盤としたベンチャーで、株式、スポーツ、ニュースといったコンテンツをサブスクライブするというビジネスを行っていたんですけど、98年頃のアメリカは既にインターネットの波が押し寄せていて、Digital DJのビジネスモデルは一気に時代遅れになっていったんです。99年末にNASDAQで一応IPOしたものの、2000年の5月には米国ネットバブルが崩壊して株価は数十セントまで落ち込んで、後は落ちる一方、でした。
―なるほど。
後藤氏
Digital DJを辞してネットエイジに入ったのが、さっきも話したように2000年の秋です。ネットエイジがちょうどエンジニアリングチームを作り始めていたときで、僕が入ったときには、4、5名のチームだったのが、入った後から10人くらい一気増えて。
―今は何人ですか?
後藤氏
20人くらいですね。
■ ネットエイジはインキュベーター
―ネットエイジとはどんな会社なのでしょうか。
後藤氏
簡単にいうと、自主企画でのネットビジネスの育成と、ネットベンチャーに投資してそれを育てるというか大きくなる支援をするインキュベーターでしたが、2004年3月にグループ化しまして、ネットエイジグループがホールディング会社になって、ネットエイジはビジネスインキュベーションの実務、投資はネットエイジキャピタルパートナーズ、というように業務分担しました。
ネットエイジ自体はよそのベンチャーに投資するのではなく、自分で事業を企画して、マーケティングから開発、営業までを自分で行う会社です。
―デジタルガレージに近い、ですね?
後藤氏
ですね。あとはドリームインキュベーターが割と近いでしょうか。でも、自主企画の事業を育てていくというスタイルはネットエイジだけじゃないですかね。で、インキュベートしてスピンオフさせて、ネットエイジグループの連結に加えていくというのが、メタなビジネスモデルになっています。
―例としてはどんな企業がありますか。
後藤氏
ネットマイルがそうですね。作ってわりとすぐにスピンオフさせるケースと、ある程度育ててからスピンオフするケースがあるんですが、ネットマイルは前者ですね。後はEIR(アントロプレナー・イン・レジデンス)といって、社外からアイデアを持ち込んでもらって、それを支援していくというスタイルもやっています。いい例は富士山マガジンサービスですね。
―RSS広告社とブログエンジン社はどうです?
後藤氏
キャピタルパートナーズが出資して、ネットエイジがサポートするスタイルで、最初からスピンオフしたケースですね。
■ 去年はブログとRSS、今年はWeb 2.0
―ネット事業のモデルにははやり廃りがあるとおもいますが、どのような視点で事業をみていますか?
後藤氏
2005年度は実はテーマをブログとRSSに絞りきりました。BLOGNAVIというブログのアグリゲーションサービスとmoblo.jpという携帯電話向けのブログサービスを立ち上げたところ、手応えを感じたので、RSS広告社やブログエンジン社の起業につなげていきました。
今年度、つまり4月からのテーマはWeb 2.0、ですかね、やっぱり。まだここでは言えませんが、非常に面白いサービスを企画していますので楽しみにしていてください。
―Web 2.0についての見解を聞かせてください。
後藤氏
それは小川さんもご存知のように、『Web2.0 BOOK』にまとめているわけですから、そちらを皆さんには参照していただかないと(笑)。
―確かに(笑)。
後藤氏
Web 2.0については、やはりRSSフィードが中心になるでしょうね。データの振る舞いというか、それを使ってどういうアプリを作るかなど、いろいろ考えることは多いです。われわれ自身とすれば、例えば最近はてなの近藤さんがサービスを作るのに、完成度50%くらいのところですぐリリースしてしまう、あとはユーザーの声を聞きながら完成度を高める、ということをおっしゃっていましたが、われわれのアプローチもそこに近いんですね。考えはじめのビジネスプランがいくら完ぺきでも半年後にマーケットにフィットしているかといえば、それは誰にもわからないわけです。だから、エンジニアリングスタイルを、柔軟に切り替えていくことが大事なんですよ。そういうエンジニアリングスタイルそのものがWeb 2.0的である、ということなんじゃないですかね。
―同感です。いや、ここで否定したら本が売れない。
後藤氏
それは困ります(笑)。
冗談はさておき、ネットエイジは今後もインキュベーターとしての本分に集中していきたいですね。もともと、ロールモデルとしているのはIdealabなんですよ。ビル・グロスってご存知ですか?
―オーバーチュアの創始者ですよね。
後藤氏
ええ。いいビジネスをどんどん作っていく、柔軟なエンジニアリングをコアにしたインキュベーターというのが僕の考える理想像ですね。
―その立場で、今後のネット市場をどうみていますか?
後藤氏
そうですね。マイクロソフト対Googleが市場動向を左右するということは間違いないですね。実際、マイクロソフトはよくやっているとおもいますよ。IEがネットスケープを抜いて、今回SAS(Software as Service)へのシフトの中で、OS頼りの事業モデルや固定概念を変えようとがんばっているとおもいます。Googleの登場で初めて誰かを本気で追っかけなくてはならない深刻な立場になっているとおもいますけど、面白い戦いになるとおもいますね。
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小川 浩(おがわ ひろし) フィードパス株式会社 COO。1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業および在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業。1999年9月にアジアと日本をまたがるSNSを開始。その後日立製作所にてコラボレーションウェア「BOXER」を立ち上げたのち、ネットビジネス・プロデューサーとしてサイボウズにジョイン。ブロガーとして「Web2.0 BOOK」「ビジネスブログ」シリーズなどの著作がある。 |
2006/03/14 08:59
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