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携帯電話とRSSリーダーでフィードサーフしよう-エル・カミノ・リアル木寺社長
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本日のゲストは、携帯電話専用のRSSリーダーを開発・提供している株式会社エル・カミノ・リアル代表取締役の木寺祥友(きでらよしとも)氏です。エル・カミノ・リアルとは、シリコンバレーを縦断する道のことですが、スペイン語で「真実の道」「王の道」という意味を持っています。木寺氏は、携帯電話のRSSリーダーというアプリケーションに、どのような道を見いだしているのでしょうか。
■ Javaとモバイルに特化
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代表取締役の木寺祥友氏
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―本日はよろしくお願い致します。まず、自己紹介を簡単にお願いできますか。
木寺氏
NTTソルコ(旧社名 NTTテレマーケティング)のサイバーモールを作るという話がありまして、日本初のJavaプロジェクトだったのですが、それにプランナーとして有名な久保田達也さんらと一緒に携わったのが始まりでしたね。実際に訪米して、Java開発の現場を調べて回りました。1995年頃に携帯電話が普及し始めたころには、Java端末と携帯電話が一体化するとおもいつき、それからずっとJava技術に特化してやってきました。2001年にプライベートカンパニーを株式会社にして、今に至っています。
―就職したことがないんですよね。
木寺氏
ええ、ありません。
―ピュアな起業家というわけですね。
木寺氏
そんな格好いいものでもないですけど、まあそうです。
―現在、御社はRSSリーダー、それもケータイ版に特化しておられますが、それはどうしてですか?
木寺氏
2003年でしたかね、携帯電話でのコミュニケーションツールを作っていて、それを米国在住の友人に見せたんです。ニュース配信サービスを追加するつもりだと言ったら、友人がネット上にたくさんあるんだからニュースアグリゲーターサービスをやればいいだろ、といわれたわけです。それが技術的にいえばRSSリーダーだったんですけど、当時は知らなくて。まあ、でもとりあえず作ってみよう、ちょうどケータイで見られるサイズがいいだろう、と考えて試したのが始まりです。
RSSをどうこうしようと思ったのではなくて、「更新情報」を提示するサービスを作ろうというのがきっかけといえます。更新情報をどこででも知るには、携帯電話でのサービスしかないだろう、という考えを持っているわけです。携帯電話上で、SNSを作ってみようと考えたこともあるんですが、NEWという更新がつく頻度が少ないサービスになるんじゃないかな、とも思いました。更新情報を知るということは大事なことで、その管理サービスを先にやろうよということで、SNSは後回しにしました。10年くらいあとには更新情報自体がお金になると思いますね。
■ 3つの理想のビジネスモデル
―現時点では収益構造はどうなっていますか? 課金はしてないはずですよね?
木寺氏
ええ、してません。広告も出してないので、今は完全に持ち出しです。
―ビジネスモデルをどのように考えておられますか?
木寺氏
今はあまり詳しく言えないので、一般論ふうにしゃべります。まず私が成功するビジネスモデルをどう考えているかということなんです。それは3つあります。
一つ目は、Yahoo!のビジネスモデルです。私はYahoo!=カテゴリであると考えます。ネット上の情報をカテゴリ化し、分類をしてくれた良いサービスです。であれば、われわれもケータイユーザーに、RSS化された情報の場所を教えてあげるために、きちんとカテゴリ化して提示してあげればいいだろうということになります。
iTunesはYahoo!のカテゴリのまねだと思うんですけど、まずMacから始めて、自分たちでコントロールできる良いお客様と良いカテゴリを押さえた。そして次にWindowsへと発展させました。いいカテゴリ、いい情報だけを先に得ようとしたということが重要です。だから、われわれも比較的高価で、ヘビーユーザーが集まるドコモの900系に絞ってサービスを開始しました。
―なるほど。
木寺氏
二番目はGoogleです。私はGoogle=キャッシュであると考えています。自分でデータをクロールして、そのキャッシュを表示する。だから早い。エル・カミノ・リアルのサービスもそうしています。
グラフィックを表示する場合、jigなどのフルブラウザでのサービスのように、リクエストに対してアクセスしてリアルタイムにグラフィックを縮小しようとすると、どうしても遅くなります。われわれが登録しているサイトは、われわれが提供している一種のイントラネットの中にある。クロールしてデータを溜め込み、キャッシュを見せているわけです。ケータイ用に、横240×縦320にグラフィックを圧縮してキャッシュして、更新情報をケータイに投げているんです。
―御社のサービスは、ほぼ全文を見せていると伺っていますが。
木寺氏
ええ。本文の中にHTMLがなければ、それをとりにいってキャッシュしています。最大10,000字まで表示できます。
―著作権上の問題はでませんか?
木寺氏
グレーかもしれないですね。今のところは、ユーザーの便宜性を優先して考えています。
さて、3番目のビジネスモデルとは、Amazonのリコメンド、です。Amazonのサービスの本質はリコメンデーションにあります。時間軸や重要度、アクセスの頻度などからユーザーの嗜好(しこう)をはかり、その人に必要な情報をリコメンドすることは良いサービスになると考えています。
―わかります。
木寺氏
加えて言うならば、私は実はDJをやってるんですけど、Blog Jocky(BJ)というか、BJをサービス化したらいいと思いますね。よいブログをジョッキーする、推薦する。そういうカリスマBJがでても不思議じゃないです。
―ソーシャルブックマークサービスが近いかもしれないですね。
木寺氏
ええ。なにしろ、フロントエンドの人間が書いている人間よりも重宝になる時代だと思います。
■ 携帯電話でのFeed閲覧傾向は「じっくり」型
―Feedの登録方法は?
木寺氏
登録方法は簡単です。3つあって、URLを直打ちする方法と、うちのサイトにQRコードを置いて、それを使って推奨サイトを登録してもらう方法、そしてアプリ上に置いたさまざまなカテゴリから登録してもらう方法です。
―アプリ上にはどのくらいのFeedが登録されているのでしょう?
木寺氏
4000くらいですね。われわれはそれを次から次へと読んでいくことをフィードサーフと呼んでいます。
―PCでのFeedの読み方と携帯電話上でのそれの違いをどうお考えですか?
木寺氏
Feedの楽しみ方としてはかなり違います。PCのリーダーでは飛ばし読みになりがちですが、ケータイでは逆にじっくり読む傾向にあります。家の居間や、トイレ、電車の中などで、ゆっくりと時間をかけて、本を読むように読むんです。だからこそ、われわれのサービスではポータル的ではなく、カレンダーもつけず、あくまで更新情報を出していきます。
―モバイルとFeedは本当に相性がいいと思います。
木寺氏
PC版はつなぎ放題なので、送り込むのは小さなデータでいいですよね、リンクがあるから。ケータイはつながっているようでつながっていないわけで、そこをつないであげるのがエル・カミノ・リアルの役目だと思っています。われわれが携帯電話でのFeedを常時接続にしていきます。
―次の目標は?
木寺氏
端末の種類を増やしたいですね、そろそろ。全キャリアに対応したいし、それと海外展開もしたいと思っています。あと、メールをRSS化してケータイで読ませようとも考えたりしています。
―われわれもMail2Feed(メールをFeed化する機能)として考慮しています。やはり、考えることは同じようになりますね。PC版には対応しない?
木寺氏
ケータイに特化します。Web 2.0を考えるからこそ、とんがった層をつかまえたいんです。
―わかりました、今日は長い時間、ありがとうございました。
木寺氏
ありがとうございました。
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小川 浩(おがわ ひろし) フィードパス株式会社 COO。1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業および在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業。1999年9月にアジアと日本をまたがるSNSを開始。その後日立製作所にてコラボレーションウェア「BOXER」を立ち上げたのち、ネットビジネス・プロデューサーとしてサイボウズにジョイン。ブロガーとして「Web2.0 BOOK」「ビジネスブログ」シリーズなどの著作がある。 |
2006/05/19 00:00
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