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「リッチメディアをケータイで湯水のように使ってもらえる世界を作りたい」フロントメディア市川社長
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今日のゲストは、株式会社フロントメディア代表取締役社長の市川茂浩氏です。携帯電話のサービス市場は、ナンバーポータビリティの実施を前にして、新たな展開をみせています。PCのWebとは明らかに異なるモバイルインターネットの世界にも、2.0的な流れが生まれてくるのでしょうか。
■ ブロードバンドケータイのコア事業は映像配信
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代表取締役社長の市川茂浩氏
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―まずは自己紹介をお願いします。
市川氏
フロントメディアの社長をしております市川です。創業は2005年6月17日です。もともとケータイの某コンテンツプロバイダーにおりました。公式サイトを60個作りましたね。他にも待ち受け、ゲームなどをつくっていました。
最後に作ったのが着うたのコンテンツで、カバー曲の音源を使った着うたサイトです。4カ月で60万ユーザー集めたんですけど、それから音楽業界とのつながりが深くなったんです。
―着うた・着うたフルがケータイの公式サイトでの稼ぎ頭ですね。
市川氏
そのとおりです。ケータイの第3世代における象徴的なビジネスは、いうまでもなく音楽配信なんですね。でも、もう既にピークで、あと3年ももたずに廃れていくかもしれないとも思うわけです。
じゃあ次はどうするか? そんなことを2004年頃から悩み続けて、その結果たどり着いた結論を元に会社を作った。それがフロントメディアです。
―その結論とは?
市川氏
ブロードバンドケータイビジネスは映像の革命である、というのが私の結論です。一番のポイントは放送的かどうか? 放送端末になるの? ケータイが? ということなんですけど、まあ、いまは音楽配信と映像の中間がラジオ的な音声配信程度だとは思います。そこで、音声とテレビをまたがるところをまず、いこうと考えました。つまり、フロントメディアは映像配信をやろうとして創業したんです。
―いま従業員数はどのくらいですか?
市川氏
いまは21名ですね。バイトのスタッフを入れると29名。
―けっこう人数がいますね。
市川氏
放送は人がかかるんですよ。コンテンツプロバイダーであれば制作とマーケティングだけですみますが、放送となると番組編成が必要で、集客のための営業も大事です。
―収益モデルはなんでしょう?
市川氏
大きくいうと3つです。
1つめは、Qlick.TVという、VOD型&オンタイム型の動画放送サービスで、これは動画CM、デジタル広告を中心による収益です。
2つめは、ケータイ・ラジオのハイブリッド放送で、ケータイとラジオに同じ番組を配信しています。LLP(有限責任事業組合)を文化放送と作っているんですけど、放送局と共同でビジネスを展開することによってコンテンツの権利関係がスムーズになるのが大きなメリットです。完全に無料、ラジオ広告、クリック広告を収益源にしています。
―もう一つは?
市川氏
3つめは、着うた/着うたフルです。アニメコンテンツの提供もドコモでやり始めたりもしています。
■ 既存の放送局と連携してビジネスを加速
―他のケータイコンテンツのサービサーとの違いはなんでしょう?
市川氏
明確にいえるのは、われわれがVOD型のケータイ配信のパイオニアであるということですね。特に放送局と音楽配信をメイン事業としている企業はほかにはいない。放送局との差別化がポイントになっています。
―ワンセグは事業上の競合になりますか?
市川氏
ワンセグは視聴者参加型の放送はできないです、いまのところ。テレビ局の発想だと、番組の編成権を100%握っていることが「放送」の定義です。しかし、私は一部編成権を視聴者に渡しても、それは「放送」だと思うんです。MXテレビがYouTubeを使った放送をはじめましたけど、あれは当たり前で、さまざまな権利ホルダーがYouTubeでコンテンツ配信をはじめています。日本の放送業界はビジネス構造がまだまだ固いと思いますね。ワンセグが本格的に事業を始める前に、われわれはテストマーケティングをすませて、その先に進んでいると思います。
―PCのWebも「放送」をはじめているわけですが、ケータイとの競合はありますか?
市川氏
GyaOのようなWebテレビの事業と比べてケータイの面白いところは、たとえばメールと連携しているところですね。プッシュ配信に対する反応は鋭利で速い。号外メールを送るときに、メールリンクでニュース映像を送れば速報性があります。テレビではプッシュができないですね。
反面、ケータイの場合は接触時間が細切れになりがちです。細かい接触時間であればメールで、長いケースではゲームなどを使うことになります。ですから、利用形式や目的が違うと思います。
■ ケータイ2.0は検索エンジンが開くか?
―現状で番組をユーザーに発見してもらう方法は? PCの世界では検索がトラフィックの起点になっています。
市川氏
いまのところコンテンツホルダーと連携して告知してもらうか、公式サイトでの展開、あるいは雑誌と提携か、広告するしかないですね。
ケータイのGoogleを使ったことありますか?
―いえ。まだないですね。
市川氏
いまのところ、検索結果は最悪ですよ。ただ、だんだん良くなっていくと思います、インデックス化が進めば。
ケータイの検索エンジン戦争はわからないですけど、auはGoogleでソフトバンクは当然Yahoo!を使っていく。ドコモはgooが中心でしょうが、門戸は広げていくでしょうね。そうなれば、勝手サイトの事業機会はどんどん大きくなるでしょう。
話は違いますが、われわれからすると、ドコモとどうつきあうかは大切なことです。ストリーミングのキャパはドコモが一番です。インフラには相当の自信があるんでしょう、だからドコモはおそらくより突っ込んだリッチコンテンツ戦略を打ち出してくると思いますよ。
―最後にフロントメディアの事業の、今後の見通しを聞かせてください。
市川氏
ケータイの世界も、放送の世界も、Web 2.0の影響を受け始めていますよ。
公式サイト中心の事業が、ケータイ1.0だとすると、Googleがはいってきて開かれた世界になれば、それがケータイ2.0のスタートか、と思います。
その世界で、われわれは通信と放送の連携のリーダーになりたいですね。そして、リッチメディアをケータイで湯水のように使ってもらえるような世界を自力で作りたい、と思っています。
―分かりました。今日は長時間ありがとうございました。
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小川 浩(おがわ ひろし) フィードパス株式会社 COO。1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業および在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業。1999年9月にアジアと日本をまたがるSNSを開始。その後日立製作所にてコラボレーションウェア「BOXER」を立ち上げたのち、ネットビジネス・プロデューサーとしてサイボウズにジョイン。ブロガーとして「Web2.0 BOOK」「ビジネスブログ」シリーズなどの著作がある。 |
2006/09/14 00:00
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