マイクロソフト、OEM専用Windows Server 2008

サーバー利用率1.6%を改善する製品に

Windows Server 2008 Foundationの機能概要
Windows Server 2008 Foundationの位置付け
マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏

 マイクロソフト株式会社は4月22日、従業員数15人以下の中小規模企業を対象にした低価格サーバープラットフォーム「Microsoft Windows Server 2008 Foundation(以下、Windows Server 2008 Foundation)」を4月から提供開始したと発表した。OEM各社からのプリインストールモデルおよびバンドルモデルに限定し、2010年6月まで提供する予定。

 Windows Server 2008 Foundationは、マイクロソフトが現在展開中の「Save Money. ~苦境をのりきる、攻めのITを~」キャンペーンの一環として投入するもの。専門的なIT知識を持つITエンジニアの不足や高額な導入コストなどが原因で、今までサーバー製品を導入できていなかった従業員数15人以下の中小規模企業にフォーカスをあて、従来のサーバー製品と比較してさらなる低価格を実現したサーバープラットフォームとなっている。

 マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は、低価格のサーバー製品を投入する背景について、「厳しい経済環境が続いているが、長期的に見れば必ず成長期に戻ると確信しており、今後も技術革新による生産性向上は重要な課題になると考えている。しかし、日本の企業全体の8割を占める中小規模企業では、非生産的なIT活用をしているケースが多く、サーバーの利用率もわずか1.6%にとどまっているのが現状だ。そこで、今回、中小規模企業の利用環境に最適化したサーバー製品を開発し、OEMメーカーのハードウェアにプリインストールして提供することで、手軽かつ低コストでサーバー製品を導入できるようにした。また、ソフトウェアパートナー各社と協力して、中小規模企業が必要とする各種ソリューションも低価格で用意していく。この製品によって、IT活用による業務効率の改善やコスト削減を支援し、日本の中小規模企業を元気づける起爆剤にしていきたい」と述べた。

 Windows Server 2008 Foundationでは、中小規模企業に求められるコスト効率の高いテクノロジ基盤を追究し、Windows Serverが持つプラットフォームの信頼性、セキュリティおよび管理性を確保しながら、Windows Server 2008 Standardが実装する機能を限定して提供する。主な機能としては、ファイルやプリンタの共有、単機能のワークロードを効率的にホストするサーバーの基本的な機能を備えているほか、デスクトップのテーマを変更することで、ユーザーにとって親和性の高いWindows OSと同様の画面操作を実現し、専門的なIT知識がなくても利用できるようになっている。さらに、サーバーハードウェアのシステム要件を満たしていれば、Windows Server 2008に対応するアプリケーションが使用できる。また、導入企業のビジネスが拡大した場合には、仮想化機能などを搭載した上位版のWindows Server製品に移行することも可能で、今後、アップグレード施策を展開する予定。

 米Microsoft ゼネラルマネージャー Windows Serverマーケティング担当のビル・ヒルフ氏は、Windows Server 2008 Foundationの開発にあたり、「当社では、企業規模やニーズにあわせたサーバー製品ファミリをラインアップしているが、中小規模企業向けの製品においては、利用環境に最適化した機能に絞り、価格帯を抑えるとともに、購入してすぐに使えるようにハードウェアにプリインストールして提供する必要があると判断した」と説明している。

 現在、Windows Server 2008 Foundationのプリインストールを予定しているハードウェアパートナー企業は、デル、NEC、日本IBM、日本HP、日立、富士通の6社。「すでに、デルからはWindows Server 2008 Foundationを搭載したオールインワンのサーバーパッケージを5万4800円という低価格で提供することが発表されており、今までPCのみの運用で効率的なIT活用ができていなかった中小規模企業にとって、サーバー製品を導入する絶好のタイミングになる」(マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏)としている。

米Microsoft ゼネラルマネージャー Windows Server マーケティング担当のビル・ヒルフ氏デルのWindows Server 2008 Foundationパッケージマイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏

 また、発表会には、ソフトウェアパートナー企業としてソースネクスト、PFU、ピー・シー・エーが同席し、それぞれWindows Server 2008 Foundation対応への取り組みを説明した。ソースネクスト セールスディビジョンマルチチャネルグループ 執行役員の石山努氏は、「Windows Server 2008 Foundationによって、サーバー付きパソコンという新しい市場が創出されることに期待している。当社の取り組みとしては、第1弾として、ウイルスセキュリティZEROをWindows Server 2008 Foundationに正式対応し、5月下旬から提供開始する」と述べた。

 PFU ビジネスプロモーショングループ ECMソリューションセンター センター長の福島正弘氏は、「ドキュメントファイリングソフトウェアの楽2ライブラリをWindows Server 2008 Foundationに近日中に対応させ、富士通の対応サーバーと組み合わせて提供することで、中小規模企業における紙にかかわる業務の効率化、コスト削減を支援していく」とした。

 ピー・シー・エー 代表取締役社長の水谷学氏は、「Windows Server 2008 Foundationをトリガーにして、基幹業務のネットワーク化を支援するPCAネットワーク製品の販促施策を展開していく。具体的には6月から、Windows Server 2008 FoundationとPCA 9 V.2 with SQLクライアント製品を同時購入する場合、キャンペーン価格で提供する」としている。

ソースネクストのWindows Server 2008 Foundation対応への取り組みPFUのWindows Server 2008 Foundation対応への取り組みPCAのWindows Server 2008 Foundation対応への取り組み

 なお、マイクロソフトでは、Windows Server 2008 Foundationのリリースにあわせて、中小規模企業への販売促進策として、初めてのサーバー導入を支援する「はじめてでも安心! Windows Server 2008 Foundationセットアップガイド」を5月1日からWebサイトで提供する。また、コミュニティサイト「答えてねっと for Business」において、Windows Server 2008 Foundationをプリインストールしたサーバーを5名にプレゼントする「もらって答えて サーバープレゼントキャンペーン」を5月1日~31日まで実施する。さらに、Windows Server 2008 Foundationに関する質問もしくは回答した会員を対象に、1スレッドあたり100ポイントをプレゼントする「聞いて答えて ポイントゲット!キャンペーン」を4月22日から6月20日まで展開する。このほか、サーバー販売で実績を持つ国内最大級のオンラインPCストア「NTT-X Store」との共同プロモーションも計画している。


(唐沢 正和)

2009/4/22 17:48