富士通、企業のさまざまな情報を戦力に変えるデータ収集・蓄積ソフト


情報統合プラットフォームを構成する新商品
ミドルウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部 事業部長の今村浩一氏

 富士通株式会社は4月24日、企業のさまざまな情報をビジネスの戦力に変えるソリューションとして、データ収集・統合ソフトウェア「Interstage Information Integrator V10」、およびデータ蓄積ソフトウェア「Interstage Information Storage V10」を販売開始すると発表した。

 Interstage Information Integrator V10は、各種の業務システムからデータを収集・統合し、活用に適した形に変換、配布することができるソフトウェア。複数のデータを組み合わせ、必要な時に必要な方で情報を提供するデータ統合を低コストで実現する。一方、Interstage Information Storage V10は、リレーショナルデータベース(RDB)のような綿密な設計をする必要なく、さまざまな形式の大量データをストレージに高圧縮で蓄積するソフトウェア。多重度に強い抽出機能も備えており、必要な時に必要なデータを柔軟かつ高速に取り出すことができる。

 新製品の発表にあたり、ミドルウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部 事業部長の今村浩一氏は、「情報統合へのニーズは、今後さらに多様化、高度化が進み、従来のような情報活用の目的に合わせて事前に詳細設計が必要なシステムでは対応が難しくなる」と指摘。これに対して同社では、「まず集める、まずためる、使う時に自在に統合して活用する」をコンセプトに、データ収集と活用の機能を独立させたダイナミックな情報統合システムの実現を目指しており、「今回発表した2製品は、当社の情報統合プラットフォームにおいて、それぞれデータ収集・統合とデータ蓄積の領域をカバーするもので、ダイナミックな情報統合を実現するための基盤を担うソリューションとなる」(今村氏)と、その位置付けを説明した。

 Interstage Information Integrator V10の主な特徴は、1)デザインシートの活用による高い作業効率、2)収集と活用の独立を損なわない運用性、3)高度なデータ変換処理、の3点。1)では、システムの設計時に作る仕様書(デザインシート)をインポートすることで、データの所在、形式や変換ルールなどの定義が自動生成され、テストや運用にそのまま利用可能となる。「これにより、従来のファイル転送ソフトとデータ加工プログラム開発によるデータ統合に比べて、開発・テストの作業工数を75%削減できる。さらに、ETLツールを利用した場合と比べても45%の工数削減を図ることができる」(今村氏)という。

 2)としては、受け渡しの単位、時間帯、方法(プッシュ・プル)といったシステム間の運用ルールの違いを吸収する機能を備えており、それぞれの業務の事情に合わせた柔軟なデータ収集、配布を実現する。また、3)では、文字コード変換やデータ形式変換を含む多様なクレンジング機能を備えるほか、オートマトン技術による高度データ変換により、鮮度、精度の高いデータを配布できる。


Interstage Information Integratorの特徴現場の作業にフィットしたデザインシートを提供「収集と活用の独立」を損なわない運用性を持つ

 Interstage Information Storage V10の主な特徴は、1)多種・大量のデータ蓄積、2)並列・多重処理アーキテクチャによる安定した性能、3)スケールアウト型のシステム構成、4)安心・安全に蓄積、の4点。1)では、従来の基幹系業務データだけでなく、マーケティングデータやWebアクセスログといった多種・大量なデータをファイル形式のまま格納することで、綿密なインデックス設計を必要とせず、簡単に蓄積することができる。さらに、データの圧縮転送技術により、少ないディスク容量で大量のデータを長期間保管することが可能となっている。

 ソフトウェア計画本部開発企画統括部 プロジェクト統括部長の楠本博巳氏は、「インデックスレスとデータ圧縮を実現することで、RDBを使用した場合に比べてディスク容量を5分の1に削減できる。また、導入工数についても物理格納設計やインデックス設計の手間が省けるためRDBの3分の1まで工数削減が可能で、あわせて運用コストの削減も図ることができる」としている。

 2)については、複数の抽出要求を一括して実行するハイトラフィック技術によって、複数のアクセス要求が競合した場合でも安定したレスポンスを維持する。また、データの特性を管理するカテゴリパーティショニング技術により、抽出条件に該当するファイルのみに絞り込んでアクセスすることで、大量データでも高い抽出性能を実現している。

 3)では、オープンなハードウェアを組み合わせ、機種やモデルに依存せずにサーバーとストレージを独立して増設できるため、必要な時に、必要なだけハードウェアのリソースを追加することができる。これにより、スモール構成でのスタートから柔軟なスケールアウトが可能となる。4)については、利用者階層別のデータの管理と保全を実現するとともに、データへのアクセス証跡も蓄積することができる。


Interstage Information Storageの特徴多種・大量のデータを蓄積できるスケールアウト型のシステム構成を採用する

 価格は、Interstage Information Integrator V10が150万円(税別)から、Interstage Information Storage V10が450万円(同)から。出荷開始は7月末を予定している。


(唐沢 正和)

2009/4/24 17:05