リコー、2008年度決算は減収減益-ITサービス/ソリューションの方向性を決めた1年


2008年度通期の実績

 株式会社リコーは4月24日、2008年度連結決算を発表した。

 売上高は前年比5.8%減の2兆916億円、営業利益は同58.9%減の745億円、税引前利益は同82.3%減の309億円、当期純利益は同93.9%減の65億円となった。

 地域別では、国内売上高は前年比7.6%減の9383億円、海外売上高は同4.2%減の1兆1533億円。海外売上高は為替の影響を除くと、同8.5%増となっている。

 2009年1月に公表した見通しに比べて、営業利益で254億円減、税引前利益で390億円減、当期純利益で284億円減となった。営業利益では、販売減で252億円減少、構造改革費用の積み増しで124億円減少となっている。

 第4四半期だけでは、118億円の営業赤字となっているが、124億円の構造改革費用を計上していることから、これを除けば6億円の黒字とした。

 リコーの三浦善司取締役専務執行役員は、「経済環境の悪化が利益のマイナス要因となり、また円高の進展も影響した。第3四半期の決算発表以降も、なかなか足元の業績が伸びず、2009年3月までの構造改革を進め、その費用を計上した。だが、16次中期経営計画の刈り取り、プロダクションプリンティングの新製品投入、ITサービス/ソリューションの方向性が決まってきたこと、成長に向けて昨年11月にIKONを買収したことなど、今後、世界経済が立ち上がるときには、力を発揮できる礎を築いた1年だった」と総括した。


2008年度通期における前回見通しとの差異リコーの三浦善司取締役専務執行役員

 ITサービス/ソリューションでは、ワークフロー、セキュリティ、TCO、コンプライアンス、環境に焦点を当てた顧客価値の提供を拡大するとともに、複数の複写機、プリンターを効率的にネットワークで連携させたプリンティングソリューションの提供、ファイルサーバーによる集約的な保管、検索、出力といったシステムを構築、運用するドキュメントソリューションの実現などに取り組んだという。

 地域別には、米州はIKONの買収効果があり、売上高が前年比15.7%増の5028億円となったものの、営業損失は259億円の赤字となった。欧州は売上高が同13.2%減の5234億円、営業利益が同50.3%減の194億円、その他地域は売上高が同23.4%減の1270億円、営業利益が同52.0%減の126億円となった。

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年比4.0%減の1兆8330億円、営業利益は同38.0%減の1453億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年比6.5%減の1兆5986億円、ネットワークシステムソリューションが同17.2%増の2344億円。

 販売体制の強化やプリンター事業の拡大などが影響したが、景気後退や為替の影響を受けた。

 一方、産業分野は、売上高は前年比19.6%減の1196億円、営業損失は49億円の赤字。半導体やサーマルメディアおよび電装ユニットの売り上げが低調に推移した。

 その他分野の売上高は、前年比13.9%減の1430億円、営業利益は同85.9%減の3億円となった。デジタルカメラが減収となったという。

 なお、同社では、2009年度の業績見通しを発表した。

 売上高は前年比3.3%増の2兆1600億円、営業利益は同12.8%減の650億円、税引前利益は同77.8%増の550億円、当期純利益は同359.4%増となる300億円とした。営業減益では為替の影響が352億円になると予想している。

 国内の売上高は前年比0.2%増の9400億円、海外が同15.5%増の1兆2200億円。

 「国内については、落ち込みを止めるということであり、海外については、2008年度には1200億円だったIKONの貢献が2800億円に拡大することになる影響によるもので、こちらも決してアグレッシブなものではない。営業減益は構造改革を引き続き推進するためのものであり、新たな組織を作って、本気になって進めていく。だが、2009年夏に予定しているタイの工場をも見直すといったことは考えていない。IKONおよびInfoPrintを除くと2007年度第4四半期から前年割れとなっている。これを2009年度下期からは巡航速度に戻したい」とした。

 上期売上高は、国内で前年比4.1%減、海外で同2.4%増とするが、下期は国内が同4.7%増、海外が同9.2%増を目指す。営業利益では、上期150億円、下期500億円としている。

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が前年比4.5%増の1兆9159億円、営業利益は同10.5%減の1300億円。産業分野の売上高は同9.9%減の1041億円、営業利益はブレークイーブン。その他分野の売上高は、同2.1%減の1400億円、営業利益は同233.3%増の10億円とした。

2009年度通期の業績見通し2009年度通期の業績の考え方



(大河原 克行)

2009/4/24 19:19