日本CA、バックアップとレプリケーションの連携を実現したリカバリ管理製品


パートナー営業本部 本部長の今野芳弘氏
CA ARCserve Backup r12.5のデータディデュプリケーションのコンセプト
CA ARCserve Backup r12.5のSRMレポート付きダッシュボードの初期画面

 日本CA株式会社は5月11日、企業のデータやシステムを全般的に保護するリカバリマネジメントソリューションの最新版「CA ARCserve r12.5シリーズ」を発表した。同シリーズは、バックアップソフト「CA ARCserve Backup」と、レプリケーション(複製)ソフト「CA ARCserve Replication」および「CA ARCserve High Availability」の最新版で構成され、今回のバージョンから各ソリューションの連携が可能となった。

 パートナー営業本部 本部長の今野芳弘氏は、「CA ARCserve r12.5シリーズは、当社が日本市場に向けて投入する、初めての包括的なリカバリマネジメントソリューションとなる。バックアップとレプリケーションの融合が企業のデータ保護に有用であることは、これまでも認識されていたが、使いこなすためには設計やトレーニング、運用などで多大な工数とコストが必要だった。今回の新シリーズでは、バックアップとレプリケーションの連携利用を前提にデザインしており、これによってストレージ管理者への負担を最低限に抑えながら、より深いデータ保護が可能となる」としている。

 バックアップソフトの最新版である「CA ARCserve Backup r12.5」は、1)運用管理、2)セキュリティ、3)DR(災害対策)/BC(事業継続性)の3点において、大幅に機能強化を行っている。まず、運用管理では、新たにデータディデュプリケーション(重複排除)機能を提供。データの重複排除により、重要なデータを保護しながら、ストレージをさらに有効活用できるとともに、同一ディスクサイズをより長期的に活用可能となり、ディスクベースバックアップの経済効率を高めることができる。また、レポート機能を強化し、SRM(Storage Resource Management)レポート付きダッシュボードを提供。これにより、バックアップ環境上での、最も失敗の多いノード、バックアップデータの場所、保護対象サーバーのボリュームやディスク使用量など、さまざまな情報を一元的に参照可能となった。

 セキュリティでは、ユーザープロファイルによるアクセスコントロールと監査機能を提供。役割に応じた権限をもつユーザーを設定し、権限のないユーザーによる不正な操作を防止する。監査機能としては、特定のCA ARCserve Backupユーザーによって実行された操作の詳細を提供することで、どのユーザーが何を実行したのかを確実に追跡できる。さらに、パスワード管理機能を備えており、バックアップの実行時点で、暗号化/セッションパスワードをCA ARCserve Backupデータベースに格納することができる。

 DR/BCについては、仮想環境の拡張をサポート。シンプルかつ操作性の高い管理手法で、全体のバックアップ運用プロセスにHyper-VとVMware環境を統合でき、イメージレベルのバックアップからファイルレベルのリストアまで簡単に実行可能となる。このほか、保護対象を64ビットのOracle Databaseにまで拡張できるとともに、CA ARCserve BackupのGUIからRMANベースのバックアップとリカバリモードを実行することができる。

 パートナー営業本部 ストレージ・ソリューション営業部 Backup Solutionグループ マネージャーの今井敏博氏は、「今回のCA ARCserve Backup最新版では、さまざまな機能強化を行ったが、その中でも特にデータディデュプリケーションと仮想環境の拡張サポートが重要なポイント。それぞれ、ストレージ管理者が抱えるコスト削減や容量増加といった課題に対し、広くメリットを訴求できる機能だ」としている。

「CA ARCserve Backup r12.5」アクセスコントロールと監査パートナー営業本部 ストレージ・ソリューション営業部 Backup Solutionグループ マネージャーの今井敏博氏

 一方、レプリケーションソフトの最新版である「CA ARCserve Replication r12.5」、および同製品に自動スイッチオーバー/スイッチバック機能を備えた「CA ARCserve High Availability r12.5」は、1)容易な操作性、2)CA ARCserve Backupとの連携、3)プラットフォーム対応強化の3点において機能拡充を実施した。

 容易な操作性では、CA ARCserve Backupの直感的でわかりやすい操作性を移植し、さらに管理画面やドキュメント類を完全日本語化することで、あらゆるユーザーが簡単にデータレプリケーションを行えるようにした。また、CA ARCserve Backupとの連携機能によって、バックアップとレプリケーションを組み合わせた運用が容易になった。例えば、連携機能を利用して、レプリカサーバーのバックアップを行うことで、従来の運用に比べてバックアップウインドウを広くとることができる。プラットフォーム対応強化では、VMwareやHyper-Vなどの仮想プラットフォーム、Windows Server 2008、Oracle Databaseなど新たにサポートプラットフォームを拡張し、幅広い環境を保護できるようになった。

 パートナー営業本部 ストレージ・ソリューション営業部 Replication Solutionグループ コンサルタントの森正臣氏は、「レプリケーションソフトの最新版によって、簡易的なデータ保護を始め、バックアップとの組み合わせ、さらにはデータベースの保護まで、幅広い用途でレプリケーションを活用することが可能となった」としている。

 新シリーズの販売戦略について今野氏は、「当社の調査では、2008年のIAサーバーにおける有償バックアップソフトの導入率は32%だった。こうした既存ユーザーに向けては、新シリーズの最新機能、およびバックアップとレプリケーションの複合ソリューションを提供することで、さらなるシェア拡大を目指す。一方、有償バックアップソフトを導入していない新規市場の開拓に向けては、新シリーズによって、有償バックアップソフトの優れた点を訴求するとともに、レプリケーションを活用した手ごろなデータ保護ソリューションを積極提案していく」(今野氏)との方針を示した。

CA ARCserve Replication r12.5の特徴CA ARCserve High Availability r12.5の特徴CA ARCserve Replication/High AvailabilityとCA ARCserve Backupの連携機能

 価格は、CA ARCserve Backup r12.5が15万円(税別)から、CA ARCserve Replication r12.5が19万8000円(同)から、CA ARCserve High Availability r12.5が39万8000円(同)から。出荷開始は、CA ARCserve Backup r12.5が6月10日、CA ARCserve Replication r12.5とCA ARCserve High Availability r12.5が7月1日となっている。


(唐沢 正和)

2009/5/11 17:48