アイエニウェア、ライセンス体系を刷新したRDBMS「SQL Anywhere 11」

200の機能強化と新機能の追加を実施

 アイエニウェア・ソリューションズ株式会社(以下、アイエニウェア)は5月13日、RDBMSパッケージの最新版「SQL Anywhere 11」日本語版を7月1日より出荷開始すると発表した。

 SQL Anywhereは、省リソースで稼働する高性能データベースエンジン「Ultra Light」、および他社製データベースとの双方向のシンクロナイゼーションを提供する「Mobile Link」を含むRDBMSパッケージ。これまでにパッケージソフトへの同梱やハードウェアへの組み込み、中・大規模システムおよびモバイル向けに、全世界で1000万ライセンスを超える導入実績をもっている。前版では、高可用性とデータ保護の機能を大幅に向上したが、今回の最新版は、新たに200の機能強化と新機能を加え、ミッションクリティカルな大規模環境での利用にも対応できるパフォーマンスを実現した。

米iAnywhere Solutions エンジニアリング担当副社長のデーブ・ニュードルファー氏
Relay Serverのアーキテクチャ

 米iAnywhere Solutions エンジニアリング担当副社長のデーブ・ニュードルファー氏は、最新版の特徴について、「使いやすい、組み込み可能といった、従来までの製品デザインを継承しつつ、さまざまな機能拡充を行った。特に重点的に新機能を搭載したのが、『パフォーマンス・信頼性・スケーラビリティ』、『フロントライン分析』、『先進のデータ同期処理』、『デベロッパーフリーダム』の4つの領域である」と説明した。

 まず、パフォーマンス・信頼性・スケーラビリティについては、圧縮インデックスやシンプル構文キャッシングによるマルチユーザーでのパフォーマンスを強化するとともに、並列ソート、並列インデックススキャン、インデックス・オンリー検索なども追加することで、クエリパフォーマンスを改善した。これにより、3万5000ドル未満のソリューションでTPC-Cベンチマークの最速のパフォーマンス結果を記録している。また、データベースサーバーの状態をクイックチェックできる「データベース・概要ダイヤグラム」、SQL AnywhereとMobile Linkサーバーの状態を監視する「SQL Anywhereモニター」などを提供する。

 フロントライン分析では、組み込み全文検索や正規表現検索、即座にリフレッシュされるマテリアライズド・ビュー、ミラーサーバーへのリードアクセス、OLAP対応など、リモートロケーションにおけるエンタープライズ機能を実現している。

 先進のデータ同期処理では、モバイル機器とモバイル・ミドルウェア・サーバー間の通信を容易にする「Relay Server」を提供。モバイル・ミドルウェア・サーバーに負荷分散やフォールトトレランスの機能を実現し、規模の大きな同期環境をよりスケーラビリティに構築可能となった。また、MySQLも同期対象の統合データベースサーバーとして対応したほか、同期クライアントの対応OSにBlackBerryやEmbedded Linuxなどの携帯端末向けOSを追加し、これらでバックグラウンド同期が可能となった。

 デベロッパーフリーダムとしては、対応言語や対応プラットフォームを拡大。.NET Framework 3.5のフルサポート(ADO.NET 3.5プロバイダ、エンティティ・フレームワーク、LINQ対応)、Visual Studio 2008との統合、PHP、Perl、Pythonへの対応を強化した。

SQL Anywhere 11の新ライセンス体系
有償エディションの機能比較
アイエニウェア 代表取締役社長の早川典之氏

 また、最新版では、システムの規模や用途に応じて柔軟に導入・活用できるよう、これまで1つの有償エディションと1つの無償エディションで展開していたライセンス体系を見直し、6つのエディションを用意。部門サーバー以上のより大規模な環境でも、SQL Anywhereの高い信頼性とパフォーマンスを利用できるようにした。

 アイエニウェア 代表取締役社長の早川典之氏は、今回のライセンス体系変更の狙いについて、「マイクロソフトのSQL Serverのエディションおよびライセンス体系とほぼ同じものにするとともに、コストパフォーマンスはSQL Serverよりもリーズナブルな価格で提供していくことが大きなポイント。さらに、今回から、Windows、Linuxに加え、日本では対応していなかったSolarisをサポートする」としている。

 有償エディションのラインアップとしては、基本機能は網羅しつつ、ユーザーがよく使うオプション機能や導入環境を考慮し、「Workgroup Edition」、「Standard Edition」、「Advance Edition」の3つを用意。Workgroup Editionは、中小規模システム/スタンドアロン向けのエディションで、最大2CPUまで使用可能。Windows、Linuxに対応する。価格は、ネットワークシートライセンス価格が13万8000円(5クライアントライセンス付)、CPUライセンスモデル価格が39万9000円/CPU(ソケット)。

 Standard Editionは、さらなる高信頼性と高パフォーマンスを求める中小規模システム/クライアントサーバー向けエディション。基本機能に加え、ハイアベイラビリティ関連のオプション機能を追加している。最大4CPUで、Windows、Linux、Solarisをサポートする。価格は、ネットワークシートライセンス価格が29万3000円(5クライアントライセンス付)、CPUライセンスモデル価格が85万6000円/CPU(ソケット)。

 Advance Editionは、大規模システム向けエディションで、Standard Editionのすべての機能に加え、インメモリ・ランタイム、FIPS暗号化機能を付加しており、レポーティングや分析エンジンとしての活用に最適となっている。CPUの使用制限はなく、Windows、Linux、Solarisで利用できる。価格は、ネットワークシートライセンス価格が214万5000円(25クライアントライセンス付)、CPUライセンスモデル価格が356万円/CPU(ソケット)。

 無償エディションのラインアップは、「Developer Edition」、「Education Edition」、「Web Edition」の3つ。Developer Editionは、従来どおり開発とテスト用途向けに無償で利用できる。CPUの使用制限はなく、すべての対応プラットフォームで利用可能。Education Editionは、今回初めて追加されたエディションで、高等教育以上の教育機関において、教育、非商用リサーチおよび学問のために、学生や教職員が使用する場合に無償で利用できる。CPUの使用制限はなく、Windows、Linuxで利用可能。Web Editionは、インタラクティブなWebブラウザベースのクライアントアプリケーション用途向けに提供するエディション。ブラウザアプリケーションの開発および配布に最適となっている。CPUの使用制限はなく、Windows、Linuxで利用可能。


(唐沢 正和)

2009/5/13 17:01