ブラック・ダック、OSSを利用した開発プロセスを自動化できるマルチソース開発製品
米Black Duck Software 社長兼CEOのティム・イートン氏 |
マルチソース開発のイメージ |
ブラック・ダック・ソフトウェア株式会社(以下、ブラック・ダック)は5月20日、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用したソフトウェア開発を支援するマルチソース開発ソリューションの新製品「Black Duck Suite」を発表。あわせて、日本における今後の事業展開を説明した。
今回の新製品発表にあたり、米Black Duck Software 社長兼CEOのティム・イートン氏は、「厳しい経済状況を受け、世界的にIT予算が縮小される中で、OSSはソフトウェア開発において大きな経済価値をもたらすことから、多くの企業で利用が進んでいる。一方で、マルチソースプロジェクトにおいて大量のOSSを利用する際は、数多くのOSSから企業のポリシーや開発プロジェクトに適したものを選ぶマネジメントとその自動化が不可欠となる。さらに、コンプライアンスやリスク管理、セキュリティへの対応も、大規模なOSS利用での重大な課題となっている」と、OSSのメリットと課題を指摘。「当社のマルチソース開発ソリューションを利用することで、ソフトウェア内で利用するコードの検索から選択、承認、そしてそのコードを使ったソフトウェアの構築、検証、モニターまで、オープンソースの開発プロセスを自動化することが可能となり、マルチソースソフトウェア開発環境でのOSS利用の課題をすべて解決できる」と述べた。
新製品のBlack Duck Suiteでは、コードをOSSや社内・社外コードから検索、選択、承認、検証、モニターする各プロセスを最適化/自動化するための、新しい方法論とプラットフォームを提供する。コア技術として、20万以上のOSSプロジェクトを収録する世界最大規模のオープンソースデータベース「Knowledge Base」、コードを自動スキャンしてOSSをマッチングする技術「Code Print」、組織全体で管理できるマルチユーザーおよび全ブラウザ型「Collaboration Platform」を活用している。
マネジメントと自動化のプラットフォームモデル |
Black Duck Suiteのアーキテクチャ |
ブラック・ダック 代表取締役の金承顕氏 |
Black Duck Suiteの構成製品は、「Black Duck Code Center」、「Black Duck Protex」、「Black Duck Export」の3製品と開発キットの「SDK」。Black Duck Code Centerは、OSSを含むソフトウェアコンポーネントのマネジメントを目的としたプラットフォーム。必要とするコードをKnowledge Baseなどから検索し、ポリシーに沿って選択、承認されるプロセスを効率的に、自動的に実行する。一度認証されたコードは内蔵されているCatalogというデータベースに格納され、自由に利用することが可能となる。
Black Duck Protexは、ソースコード内に存在するすべてのOSSを洗い出すことができるソリューション。Knowledge BaseとCode Print技術を利用し、該当するOSSを高い精度で検索する。また、Black Duck Code Centerで承認され、開発されたソースコードの内容を検証できるほか、外部パートナーからのソフトウェアコンポーネントや組み込まれたソフトウェアモジュールを検証する際にも活用できる。さらに、社内や社外の特定コードをKnowledge Baseに登録し、ソースコード内での検出にも利用できる。
Black Duck Exportは、ソースコード内にある特殊暗号などを検知するソリューション。特に米国では国外への輸出禁止の暗号があり、品質管理段階でそれをチェックすることができる。開発キットのSDKは、ブラック・ダックのソフトウェアと商用の開発ツールや社内システムとのインターフェイス作成に利用できる。
ブラック・ダック 代表取締役の金承顕氏は、「これらの製品を組み合わせることで、従来まで煩雑な作業が必要だったマニュアルフローを自動化し、OSSおよび外部コードを利用した開発プロセスのスピード化、効率化、低コスト化を実現できる」としている。
日本での今後の展開については、「当社は今年1月に日本法人として設立し、OSS利用の啓発活動を行うとともに、NECをリセラーパートナーとしてマーケティング活動を進めている。今後は、組み込み業界やSI業界、投資関連などにもパートナーを拡充し、拡販体制を強化していく。また、サポート体制の強化にも力を注ぎ、日本における技術・製品サポートの充実を図る。さらに、現在は英語版で提供しているBlack Duck Suiteの日本語化を早期に実現したい」(金氏)との方針を述べた。
2009/5/20 19:04