日本IBM、PL/SQL対応など汎用性を高めた「DB2 9.7」


理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏
DB2 9.7の新機能
PL/SQLを新たにサポートした
5年間のコストをOracle Databaseと比べると、約半分で済むという

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は5月21日、データベース管理ソフトの新版「DB2 9.7」を発表した。PL/SQLに対応するなど、汎用性を高めている点がもっとも大きな特徴とのことで、理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏は「歴史的に重要な転換期である発表だ」と述べ、期待の大きさを示した。価格は61万8500円(税別)から。

 下垣氏は現在のデータベースシステム運用に際しての課題として、1)管理コストの増大、2)データ量の急激な増加、3)ソフト保守費用の負担増、4)適用業務/インフラの変更にかかわる費用とスキル、といった4つを挙げる。それぞれに大きな問題があるが、下垣氏は特に4)の問題について、「Break Free」という概念を掲げて展開するという。

 企業がデータベースを別の製品に乗り換えようと思っても、主要データベース間であってもデータベース言語が各社によって異なっているため、乗り換えは容易なことではない。そこで日本IBMでは、Oracle Databaseで利用されるプログラミング言語のPL/SQLをサポートし、DB2への移行に関する障壁を低くした。

 もちろん、ユーザーが乗り換えようと思う魅力がなくては、こうした施策も意味がないが、DB2 9.7では、インデックス圧縮やテンポラリー表の自動圧縮などによって圧縮機能を強化したほか、従来より持っている、セルフチューニングメモリ管理をはじめとするオートノミック機能などによって、1)と2)の課題を解決可能という。さらに3)では、「5年間で、Oracle Databaseと比べて約半分のコストで済む」(下垣氏)というデータを示した上で、「お客さまは保守料金の高騰に苦しんでおり、これを支援したい」(同氏)と述べ、コストメリットをアピールした。

 日本IBMがこうした乗り換えのメリットを強調するのは、DBMS市場が成熟しきってしまっているためだ。「ミドルウェアの1つとして市場で定着はしたが、全体の底上げという意味では、ここ3年大幅な成長はできておらず、市場内での競争が激しくなっている」とした下垣氏は、パイの奪い合いに勝つため、製品面以外でもユーザーやパートナーに対する支援を強化すると説明した。具体的には、個別の技術セッションやアプリケーションを含めた移行支援サービスをユーザーに向けて提供する一方で、パートナーに対しても説明会の開催や技術研修の提供などを行い、移行支援に向けて一貫した体制造りを行っていくとのこと。

 「競合が出している『Unbreakable』というメッセージに対して、当社では『Break Free』を発信する。PL/SQLをはじめ、今お持ちのスキルをそのまま使っていただけるので、スキルに対する投資をせずに、4つの課題に対して壁を取り払っていける製品だ」(下垣氏)。

 100VU(Value Unit)あたりの参考価格は、DB2 Express Editionが61万8500円(税別)、DB2 Workgroup Server Editionが143万7000円(同)、DB2 Enterprise Server Editionが461万7000円(同)。


(石井 一志)

2009/5/21 16:56