富士通がFJBを完全子会社化-中堅市場をFJBで一元化


富士通 取締役副社長の広西光一氏

 富士通株式会社と株式会社富士通ビジネスシステム(以下、FJB)は5月21日、株式交換により富士通がFJBを完全子会社することで合意したと発表した。株式交換比率は、富士通1に対して、FJBが3.50。株式交換により交付する富士通の普通株式は4399万8377株。6月開催予定のFJBの定時株主総会で承認を得たのち、8月1日を株式交換の効力発生日とし、10月1日に新生FJBとしてスタートする。なお、今回の完全子会社化にともない、7月28日にFJBの上場廃止を行う予定。

 今回のFJB完全子会社化について、富士通 取締役副社長の広西光一氏は、「利益と成長を両立する領域として、システムソリューション分野を中心としたサービスビジネスをコアコンピタンスに位置づけている。これまでに富士通シーメンスの子会社化や海外ビジネスの強化などを図ってきたが、今回国内地域再編を目指して、FJBを完全子会社化することを決定した」と、サービスビジネスの強化を目指したものであると説明。

 具体的には、「大手企業や官庁といった大手市場に関しては、富士通本体が営業パワーを集中し、中堅市場に対して新生FJBおよび販売パートナーが担当するという役割分担を行う。これにより、グループ内のリソースを有効配分していく」(広西氏)と、市場規模に応じて営業体制を再編したと述べた。

 広西氏は、「このタイミングが早かったのか、遅かったのかの議論はあるだろうが、現在進めている各種構造改革の中で、グループ内子会社の連携強化と役割の明確化を進めている。新たな成長を目指すための判断だ」と、国内販売体制の再編によって成長戦略を進めているとした。


大手市場は富士通本体が、中堅市場は新生FJBが担当大手市場向けでは業種ソリューションを軸に展開中堅市場では年間5%以上の成長を目指す
FJB 代表取締役社長の鈴木國明氏

 FJB 代表取締役社長の鈴木國明氏は、「FJBは60年を超える古い会社で、これまでオフコンを中心に発展してきた。しかし、ここ十年を見ると、ハードの比率は低下し、サービスの売り上げが45%をしめるなど大きく伸びている。今回のグループ内での事業リソースの集中によって、グループ各社に散在している営業機能を一本化していく。とはいえ、既存顧客もあるので、まずは東名阪地区から進めていく。また、中堅向けの強力なソリューションに欠けているのが現状なので、その分野での商品力を強化していきたい。パートナーとの関係については、販売・商品パートナーとの連携強化を進めていく」とした。

 新生FJBの売り上げ目標について、鈴木氏は「FJBの2008年の売り上げは1500億円規模だった。このうち、中堅が500億円で、あとは大規模企業や大手・官庁などに依存しているのが現状。増えるところと減るところが出てくるだろうが、将来的には3000億円規模のビジネスになるよう目指す」と述べた。


FJBに営業機能を一本化中堅向け商品化機能も集約し強化パートナーとの協業関係の強化も図る



(福浦 一広)

2009/5/21 18:14