「1人あたり1カ月にコーヒー1杯分の価格」のクラウドセキュリティサービス「Zscaler」

日本向けのデータセンターも開設、日本法人代表には原田英昭氏が就任

サービス提供のイメージ。ユーザー環境とインターネットの間に位置し、セキュリティ機能を提供する
提供される機能一覧
管理用のWebコンソール。日本語にも、6月をめどに対応が予定されている

 米Zscalerは5月25日、SaaS型Webセキュリティサービスを提供している日本法人「ゼットスケーラー株式会社」を設立したこと、ならびに東京にデータセンターを設置したことを発表した。ゼットスケーラーの代表取締役社長には、NetScreenやIronPortの日本法人で代表を務めていた原田英昭氏が就任している。

 Zscalerが提供しているのは、HTTP/HTTPSを対象としたセキュリティサービス。インターネットと企業システムの間に入って、ウイルス/スパイウェア対策、URLフィルタリング、DLP(情報漏えい防止)などの機能を提供する。同社のCEOであるJay Chaudhry氏は「インターネットは便利であるが危険もはらんでおり、ユーザーを守るためには、インターネットとユーザーの間にセキュリティレイヤを設けるのが理想。SaaS、あるいはクラウドセキュリティと呼ばれる当社のサービスを利用すると、TCO削減のみならず、数段セキュリティが向上する」とサービスを説明する。

 すべての機能をクラウド経由で提供するので、追加の機器は購入不要。年額契約のサブスクリプション方式で導入できることから、ユーザー数の増減も容易に行えるメリットがある。Chaudhry氏は、「これまでのセキュリティアプローチでは、ポイントソリューションのアプライアンスをそろえて展開し、管理し、保守するのが一般的だった。しかしこれでは相応のコストがかかってしまい、現実的ではなくなっている。当社のサービスではWeb 2.0のセキュリティをカバーするなどセキュリティが向上しながら、スピード、信頼性、拡張性などすべてが確保されている」と述べた。

 なお、利用にあたっては、インターネット上のサイトへのトラフィックをZscalerのクラウドに転送することになるため、ファイアウォールもしくはルータ、Proxyの設定を変更するか、クライアント側でPAC(Proxy Auto Config)ファイルを用いる必要がある。

 具体的な機能としては、ウイルス・スパイウェア対策機能、ボットネットやフィッシングなどの新種の脅威に対する機能、バージョンの古いWebブラウザの通信をブロックするなど、一定の条件に満たないクライアントをブロックするWebアクセスコントロール機能などが利用可能。このほかURLフィルタ、Webアプリケーション制御、DLP、帯域制御、データ解析などの機能も備えている。ウイルス・スパイウェア対策とURLフィルタについてはサードパーティのエンジンをベースとして用いているものの、自社ならではの付加機能も提供するという。また、クラウドサービスではあるが、ポリシーはそれぞれの企業ごとに設定できる。

 販売はすべて間接モデルを採用。同日にはノックスとリセラー契約を結び、販売を開始したことが発表された。費用は、契約するサービスの種類やユーザー数などによっても異なるが、ノックスでの参考価格は、500ユーザー以上の場合で年額6000円/ユーザー程度になるとのこと。原田氏はこの価格について、「今ある技術でも、高価なものをそろえれば当社と同じセキュリティを提供できるが、価格は10倍かかるだろう。また米国と比べるとサービスの価格が高い日本では、他社のURLフィルタサービスだけの価格で、そのほかの機能が付いてくるイメージ」と述べ、優位性を主張している。

 「当社のサービスは、IT管理者のいない中小企業にも向くし、ゲートウェイが多くあるような大企業にも適している。世界中にデータセンターを持ち、どこにいても世界のデータセンターを利用することで、サービスを提供できる。費用の目安としては、1人のユーザーにかかるコストは、1カ月あたり1杯のコーヒー程度だ」(Chaudhry氏)。


米ZscalerのCEO、Jay Chaudhry氏ゼットスケーラーの代表取締役社長、原田英昭氏

(石井 一志)

2009/5/25 17:27