「今こそネットワークカメラのチャンス、パートナーとの三位一体で推進」、アクシス

ネットワークカメラ関連の新製品8モデルも発表

スウェーデンAxisの社長兼CEO、レイ・モーリッソン氏
アクシスの代表取締役社長、奥田智巳氏
パートナーとの三位一体モデルで販売を進めるという

 アクシスコミュニケーションズ株式会社(以下、アクシス)は5月27日、固定ドームカメラ「P33シリーズ」、ビデオエンコーダ「Q7404」など、ネットワークカメラ関連の新製品8モデルを発表した。また、この発表にあわせてスウェーデンAxis Communications AB(以下、Axis)の社長兼CEO、レイ・モーリッソン氏が来日し、同社の戦略を説明している。

 Axisはもともと、プリンタサーバーメーカーとして知られていた企業だが、今ではネットワークビデオ関連ソリューションの提供に経営資源を集中し、ワールドワイドの市場シェア33.5%を獲得。自社の売り上げについても、96%をビデオ関連が占めるようになっているという。また、ネットワークビデオは主に監視カメラとして使われるケースが多いものの、まだこの市場はアナログのカメラが主流。取り回しのしやすさなど、デジタル化によるメリットを考慮すると、今後もネットワークカメラの導入が進むと考えられており、この市場には非常に大きなチャンスがある。「2004年から本格的な成長を遂げているが、英国の調査会社であるIMS Researchのデータによれば、今後5年で5倍になる予想だ」(モーリッソンCEO)というほどなのである。

 このように大きな潜在顧客が見込まれている市場だけに、相次いで競合他社も参入してきたが、それに対してAxisでは、広範なポートフォリオをそろえるとともに、パートナーとの協業を推進するという。具体的には、1次販売店、2次販売店などのリセラーとの関係を強化するとともに、ADPと呼ばれるソリューションパートナーとも協業。Axisのネットワークカメラを中心に、Axisが持たない録画装置などの部分を補完してソリューションを組み上げ、インテグレーションして顧客に提供できる仕組みを整えている。

 こうした販売モデルについて、アクシスの代表取締役社長、奥田智巳氏は「当社は100%間接モデルのため、代理店の組織化、教育やサービスの提供がポイントになる。また、監視カメラがアナログからIPに変わる中で、管理の仕組みなどが変わってくるし、ソフトウェアのカスタマイズなども案件があるだろう。こうしたところに、ADPなどのパートナーと共同でソリューションを提供したい。販売パートナー、ADPと三位一体の体制で進めていく」と述べた。

 アクシスではそのために、商品価値を理解してもらうためのトレーニングや情報提供をより積極的に行うとした。特にビデオ製品は、「見ていただかないと、その価値を理解しにくい」(奥田氏)製品であるので、評価機の貸し出しや東京、その他の地域での展示会開催などを積極的に行って、製品に触れる機会を増やし、より提案しやすい仕組み作りをしていきたいとのこと。

 また製品面では、オープンスタンダードにこだわって製品を提供する計画。「標準化によって選択の自由をエンドユーザーに提供すれば、ベンダーの囲い込みから逃れられるし、製品間の互換性が確保されれば、市場の拡大が図れる」と述べたモーリッソンCEOは、H.264による高圧縮や、HDTV対応による高解像度・高品質な映像配信、High PoE、APIの標準化を進めるONVIFなどへの対応を進めるとの意向を示した。特にONVIFについては、エンドユーザーに機器選択の柔軟性を提供可能なほか、インテグレータ側にも導入時の負荷を軽減するなど、多くのメリットを提供できるため、積極的に展開したいとしている。

 もっとも、Axisならではの特徴も明確に打ち出すために、技術投資も毎年継続。ネットワークビデオの画像処理に特化したASIC「ARTPECチップファミリー」を自社で開発していることを示し、他社との差別化としてアピールしていた。

 今回提供された新製品は、固定ドーム型のP33シリーズ6モデル、最大4台のアナログCCTVカメラを接続できるビデオエンコーダのQ7404、小型の固定ドーム型「M3014」の計8モデル。いずれもH.264ビデオ圧縮に対応し、MotionJPGと比べると約80%帯域を節約できるという。価格は未定で、出荷開始は8月下旬の予定である。

固定ドーム型のうち、屋内モデルのスタンダードタイプ「P3344」アナログカメラをネットワーク化するビデオエンコーダ「Q7404」



(石井 一志)

2009/5/27 16:47