日立電線、レイヤ3にも拡張可能な高密度ボックス型スイッチ-「10Gを1Gのコストで提供」


奥側から順に、Apresia13000-X24-PSR、Apresia13100-48X-PSR、10G SFP+ Direct Attach Cable
執行役 情報システム事業本部長の辻正明氏
SFP+トランシーバーの採用で、高密度化と低コスト

 日立電線株式会社は6月1日、ボックス型スイッチ「Apresia13000シリーズ」のラインアップに、10Gigabit Ethernet(GbE)対応の高密度型スイッチ「Apresia13000-X24-PSR」「Apresia13100-48X-PSR」を追加すると発表した。いずれも、10GbEインターフェイスとして小型かつ安価なSFP+を採用し、低価格で10GbEを利用できるという。価格は基本構成で200万円から。発売は8月末を予定する。

 Apresia13000-X24-PSRとApresia13100-48X-PSRは、ボックス型スイッチながらコアスイッチに利用可能な能力を持つApresia13000シリーズの新製品。それぞれ、24基、4基のSFP+スロットを備えており、10GbEの高密度実装を実現したという。

 執行役 情報システム事業本部長の辻正明氏は、「(仮想化による)サーバー集約が進む中で、トラフィックのボトルネックが発生し、広帯域ネットワークのニーズが高まっている。しかし、広帯域を実現するための10GbEはまだまだ高い。10GbEの普及のキーになるのは、実はトランシーバーで、低コスト化に加えて、小型化、低消費電力が要求されている」という点を指摘。「当社ではSFP+を採用することにより、これを解決した」とアピールする。

 そのSFP+は、10GbEトランシーバーの第1世代となるXENPAKと比べて、消費電力で89%、体積で93%、価格で67%、それぞれ削減されており、特にApresia13000-X24-PSRでは、24基のSFP+スロットを搭載し、これまでにない高密度を実現。しかも、SFP+はコネクタがSFPと共通化されていることから、同製品のSFP+スロットはSFPも利用可能で、既存のGbEネットワークとの併存による、柔軟なネットワーク構成を可能にしている。

 Apresia13000-X24-PSRはSFP+×24に加えて、SFP×2、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×2を搭載。Apresia13100-48X-PSRはSFP+×4、SFP×4と、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×44を備えている。いずれもレイヤ2機能に加えて、レイヤ3ライセンスの購入により、レイヤ3機能も利用可能。電源は冗長電源を標準搭載し、SDカードに記録しておいたファームウェアや設定ファイルを使ってブートする「SDカードブート」機能も利用できる。

 冗長電源ユニットを含めた基本構成の価格は、Apresia13000-X24-PSRが300万円(税別)、Apresia13100-48X-PSRが200万円(同)、レイヤ3ライセンスが30万円(同)。SFP+用の光トランシーバーは、10GBASE-SRが15万円(同)、10GBASE-LRが30万円(同)、10GBASE-ERが100万円(同)。日立電線では、3000IP端末クラスの10GbEネットワークに向けたコアスイッチやトップオブラックスイッチなどとして、これらの製品を展開する考えである。

10G SFP+ Direct Attach Cableの特徴

 なお今回は同時に、スイッチ間/サーバー間接続用のメタルケーブル「10G SFP+ Direct Attach Cable」も発表された。両端にSFP+モジュールが付いたメタルケーブルであり、トランシーバーレスの構造によって、10GBASE-CX4の10分の1という低コストを実現した。ラック内接続向け、隣接ラック間接続向けに、1/3/5/7メートルの4種類が用意される。価格は1メートルのケーブルで2万円(税別)から。


(石井 一志)

2009/6/1 16:07