日本NPOセンター、全国のNPOにソフトを無償提供する「TechSoup Japan」

マイクロソフト、アドビ、シマンテックが協力

TechSoup Japanコンセプト

 特定非営利活動法人日本NPOセンターは6月3日、米国のNPOであるTechSoupとパートナーシップ契約を結び、国内のNPOに対する新しいIT支援事業「TechSoup Japan」を開始すると発表した。IT関連企業から社会貢献の一環として提供を受けたソフトウェアを、全国のNPOを対象に無償提供する。協力するのは、マイクロソフト株式会社、アドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)、株式会社シマンテックの3社。

 TechSoupは、1987年に創設された米国のNPOで、世界中の非営利および社会利益団体に向けてIT製品の提供などを行っている。1987年の創設以来、23カ国にパートナーネットワークを広げ、小売価格合計で18億ドル、配布数で40万ものIT製品を配布し、恩恵を受けたNPOは実に8万3000にのぼるという。

 TechSoup Japanはこの日本版で、日本NPOセンターが主体となって活動。同日より日本語Webサイトを開設し、全国のNPOにソフトウェアを無償提供する(手数料は必要)。

 無償提供されるのは、マイクロソフトの「Windows Vista」「Office Professional 2007」「SharePoint Server 2007」をはじめとする40種類以上のソフトウェア。アドビの「Adobe CS4 Design Premium」「同 InDesign CS4」「同 Dreamweaver CS4」「同 Acrobat Pro 9 CS4」「同 Photoshop Elements 7」「同 Premiere Elements 7」「同 Photoshop Elements 6」の7製品。シマンテックの「Symantec Backup Exec 12.5 for Windows Server」「同 AntiVirus Corporate Edition 10.2」「同 Endpoint Protection 11.0」「同 Mail Security 6.0 for Microsoft Exchange」の4製品。

 利用したいNPOは、TechSoup JapanのWebサイト上で団体登録。取得したアカウントでログインして製品を選択・申請する。その内容を日本NPOセンターが審査し受理されると、各社からソフトウェアパッケージとライセンスキーなどが送付される。

 ただし無制限に好きなだけ利用できるわけではなく、例えばマイクロソフト製品なら、1団体につき2年間で6製品、1製品につき50ライセンスまでなどの制限が付く。併せて、日本NPOセンターが審査で申請の適正性などを確認する形となる。

 同Webサイトにはこのほか、ラーニングセンターとコミュニティに関するコンテンツが設置され、前者では、TechSoupが発信する記事の和訳を中心に、NPO向けのIT活用ノウハウを配信。順次、日本オリジナルコンテンツも追加していく。後者では、TechSoupのグローバルボランティア活動と連携し、ITに関するホットトピックスなどを配信。将来的には質問を受け付けるコーナーもスタートする予定。

 なお発表会に登壇したTechSoup Global、Chief Operating OfficerのGeri Jin Doran氏は、「過去20年で、社会活動する組織にテクノロジやリソースの提供などさまざまな支援を行ってきた。すでに世界にパートナーネットワークは広がっているが、日本は、“コンテンツ”と“コミュニティ”の両方備えてスタートする初めての国となる。ドナープログラム数も、TechSoup新規国の中では過去最大なので、ドナーパートナーの開拓が期待される」と、TechSoup Japanの価値を紹介。

TechSoup Global、Chief Operating OfficerのGeri Jin Doran氏23カ国のパートナーネットワークTechSoupこれまでの活動成果

 IT各社からも、アドビシステムズ代表取締役社長のクレイグ・ティーゲル氏、シマンテック執行役員社長室担当の足立修氏、マイクロソフト執行役 法務・政策企画統括本部長の伊藤ゆみ子氏らが登壇し、各氏が「当社では以前より企業市民活動に力を入れてきたが、この新しい日本の活動にも全面的に協力したい」などと意気込みを見せた。

アドビシステムズ代表取締役社長のクレイグ・ティーゲル氏シマンテック執行役員社長室担当の足立修氏マイクロソフト執行役 法務・政策企画統括本部長の伊藤ゆみ子氏

 また、日本NPOセンターからはTechSoup Japan担当の吉田建治氏が登壇し、「国内にNPOは3万7000ほど存在するといわれているが、そのうち約20%が100万円ほどの年間予算しかないという」と、NPOの厳しい現状に触れ、「NPOにとっては、今回のソフトウェアを活用することで、情報発信をより魅力的に行えるなどがメリット」と説明。「また、参加するためには(団体登録などで)情報を公開しなければならず、この情報公開とセットであるのがTechSoup Japanの大きな特徴。これにより、NPOの透明性にもつながるのではないか」と二次的なメリットにも触れた。

日本NPOセンター TechSoup Japan担当の吉田建治氏Webサイト上で団体登録を行い、アカウントを取得する



(川島 弘之)

2009/6/3 18:36