dit、タッチパネルで軽快に操作できるフルHD対応テレビ会議システム

MCUなしで最大128拠点の接続も実現

常務取締役兼高度ネットワーク開発事業部長の三橋薫氏

 株式会社ディアイティ(以下、dit)は6月5日、独自開発のH.264ソフトウェアコーデックをベースとした「DayConnect PRO TV会議システム(以下、DayConnect PRO)」を発表した。7月1日より順次販売開始する。

 DayConnect PROは、簡便な操作で臨場感に富んだ会議を実現する次世代テレビ会議システム。特殊なハードウェアを必要とせず、コーデックからGUIまですべてのクライアントがWindowsソフトウェアとして実装されているため、柔軟性とカスタマイズ性に優れるという。

 dit独自開発のH.264ソフトウェアコーデックを採用し、QQVGA(160×120ドット)からフルHD(1920×1080ドット)まで、さまざまな解像度をサポートする。映像・音声の低遅延と高品質にもこだわり、テレビ並みの30fpsの速度を実現したほか、必要帯域もSD(VGA)で最大8Mbps程度、HD(1080i)で最大30Mbps程度と、従来よりも低帯域で済むよう設計。遅延は100ミリ秒以下に抑えられている。画像の動的制御も可能で、「例えば会議中にパフォーマンスが不安定になった際、通常ならパラメータを変更して接続をつなぎ直す必要があったのだが、同製品では接続をつないだままフレームレートや画質を変更できるようになっている」(常務取締役兼高度ネットワーク開発事業部長の三橋薫氏)。

 端末としては、フルHDに対応した大規模会議向け「DayConnect PRO HD」、VGAに対応した中規模会議向け「同 SD」のほか、タッチパネルに対応した25型ディスプレイ一体型「同 Touch」、および12型ディスプレイ一体型のタブレットPCモデル「同 Portable」の計4種類を用意。後者2製品でタッチパネルを採用したのが「今回もっともこだわった点」(三橋氏)で、すべての操作を指で行うことで、「誰でも簡単に使える直感的なインターフェイスを実現している」。

DayConnect PRO HD。ディスプレイは別売りで、ハードウェアの機種は未定。DayConnect PRO Touch。タッチパネルに対応DayConnect PRO Portable。持ち運び用端末で、タッチパネルに対応。写真に記載されているのはプロトタイプ。

タッチパネルでログイン操作を行う様子このほか設定も含め、すべての操作を指で行うことができるDayConnect PRO Portableでどこでも会議が可能。プロトタイプでは日本HPのタブレットPCが採用されている
DayConnect PRO Server。ユーザープロファイルを一元管理できる。

 管理サーバーの「DayConnect PRO Server」でも工夫を凝らし、会議情報やSIP接続のほか、ユーザーのプロファイルも一元的に管理可能となっている。三橋氏によれば、「従来、各端末にひも付いて管理されていたユーザープロファイルを一元管理し、ログインした時点で自動配布するようにしたことで、ユーザーはどの端末からでも自分の環境を利用できるようになっている」という。

 また通常、大規模に多地点接続を行う場合、MCU(多地点接続装置)を用いるのが一般的だが、DayConnect PROではMCUなしで最大128拠点まで接続することが可能となっている。多数の拠点で会議を行う場合、このMCUがコストのネックとなるケースもあるのだが、同製品ではその心配がなく、「このあたりの先進的な技術が“次世代”をうたう理由だ」と三橋氏は述べている。

 会議を行う際は、最大6地点のメインビュー表示と最大122地点のサムネイル表示が可能。メインビューとサムネイルの切り替えもタッチパネル方式で行えるようになっている。通常のビジュアルコミュニケーションのほか、資料共有機能やチャット機能によるやり取りにも対応する。

 リリーススケジュールとしては、DayConnect PRO Server/Touchが7月1日、同 HD/SDが9月の発売予定。このほか、SIer向けにソフトウェアクライアント「同 Client」も、今後投入する予定という。価格例は、同 Serverが74万8000円(税別)、同 Touchが69万8000円(同)。ditでは、直接・間接販売により、初年度500システムの販売を見込んでいる。

利用イメージ。資料共有機能も搭載画面レイアウトは画面数に合わせて自動切り替え(選択も可能)



(川島 弘之)

2009/6/5 15:51