NTTのファイルシステム「NILFS」がLinuxに採用、国産では初


 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は6月11日、同社が開発した「NILFS」が日本発のファイルシステムとして初めてLinuxに採用されたと発表した。

 NILFSは、NTTのサイバースペース研究所で開発が進められているファイルシステム。2005年9月に第1版、2007年6月に第2版が開発者向けのオープンソースとして公開されている。第2版はDebian GNU/Linuxなどですでに採用されているが、Linux公式版にも採用を提案してきた結果、「カーネル 2.6.30」に採用されることとなった。日本発のファイルシステムでは初という。

 NILFSの特長は、サービスを停止することなく、ファイルシステムのスナップショットを連続的に取得できる点。過去の任意の時点におけるシステム状態やユーザーデータを復旧可能なほか、一連のトランザクションが完了した時点で、時刻情報付きスナップショットを生成するため、一貫性検査なしで迅速な復旧が可能となる。また、記録済みデータへの上書きを行わず、データの追加や変更分をHDD上の空き領域にチェックサム付きで追記する仕組みも搭載。これにより、データの破壊確率を格段に低くできるという。

 このほか、スナップショットを自動的に削除するクリーナー機能も搭載。ユーザーにとって意味のあるスナップショットは長期間残せるように、任意のスナップショットを削除しないよう設定することもできる。

 ファイルシステムの管理には、動的に変化する情報を高速に検索する手法「B-tree」を採用。大きなファイルや多数のファイルの処理が効率化されている。

 NTTでは今後も、Linux開発コミュニティとの連携を継続。次世代ファイルシステムの議論と開発を通じて、Linuxの信頼性向上に貢献するとしている。


(川島 弘之)

2009/6/11 17:03